「GI萩」は2021年3月30日に国税庁長官の指定を受けました。
萩の産地は、本州最西端に位置する山口県の北部にあり、北側は日本海に面し、それ以外の方向は標高400メートル程度の山々に囲まれた、平地の少ない地域です。この地域には、「阿武火山群」の火山活動によって形成された小規模な溶岩台地が点在しており、その間を縫うように、阿武川、蔵目喜川、田万川などが複雑な流路を描いて流れています。これらの溶岩台地と河川による浸食の影響により、むつみ地域や福栄地域を中心とした山間部には、面積は狭いながらも水はけの良い粘質土壌による平らな台地が形成され、古くから稲作が盛んに行われてきました。
酒造りに使用される水には、地域一帯に広く分布する火山性の岩石――たとえば、火山からの噴出物や地下のマグマが冷え固まってできた花崗岩など――に由来する、ミネラル分が少なく柔らかで良質な水を用いることができます。このような自然環境のもと、地元で収穫された米と良質な水を原料として醸造される萩の清酒は、米由来のふくよかで上品な旨味と、爽やかな酸味を併せ持った酒質となります。
萩の清酒は、総じて米由来のふくよかで上品な旨味と爽やかな酸味を主体とした、はつらつとした味わいが特徴です。香りには、芳醇なバナナやメロン、ライチのような果実香に加えて、青竹や新緑を思わせる香りを感じることができます。特に吟醸酒では、リンゴやパイナップルなどの爽やかな果物の香りが一層際立ちます。
余韻には一定の旨味が残りますが、酸味・苦味・アルコール感の切れが良いため、食事の邪魔をせず、続けて飲んでも飲み疲れしない酒質となっています。はつらつとした味わいを特徴とする萩の清酒は、萩の特産品である白身魚や蒲鉾といった淡白な味の食品と合わせることで、料理が持つ繊細な味わいをいっそう引き立たせてくれます。