日本酒を知る

日本酒の製造工程

日本酒の造り方

日本酒はワインやビールと同じ醸造酒の仲間です。
醸造酒とは、原料を酵母によりアルコール発酵させて造られる酒のこと。
その発酵の過程は酒ごとに異なり、日本酒は「並行複発酵」という高度な製法を用いていることが特徴です。

日本酒ができる仕組み

Alcoholic Fermentation and Saccharification

アルコール発酵

アルコール発酵には、糖分と酵母が必要です。
酵母は糖をアルコールと炭酸ガス(二酸化炭素)に変換します。

糖化

穀物から酒を造るには、まず穀物中のでんぷんを糖に分解する必要がります。この工程を糖化といい、日本酒造りでは麹菌の酵素がこれを担っています。

ビールやワインとの
製造工程の違い

Differences in the production process of sake from beer and wine

ビールの場合は、発芽(モルティング)時に活性化する酵素によって行われます。
ワインの場合は、ぶどうの果汁にすでに多くの糖分が含まれているので、糖化は必要ありません。

日本酒造りの特徴は、もろみのアルコール発酵(糖をアルコールに変える)と同時に
糖化(でんぷんを糖に分解する)が行われることです。
このような並行複発酵という醸造技術は、他のアルコール飲料には見られないもので、高度に訓練された技術、経験、知識が必要なのです。

日本酒の製造工程

日本酒はとても複雑な工程を経て造られます。
「一麹(いちこうじ)二酛(にもと)三造り(さんつくり)」と言われる日本酒作りの工程を見ていきましょう。

①精米・蒸米

Rice Polishing,Washing, Steeping, Steaming

酒造りは、原料となる玄米を精米し、蒸すことから始まります。蒸し米は麹造り、酒母(もと)、もろみの仕込みに使われます。

精米の様子
蒸し米の様子

②麹造り

Koji Making

蒸し米に黄麹菌を植えて麹を造ります。麹は酒母(もと)、もろみにいれて米のデンプンを糖化していく役割を果たします。

黄麹菌を振りかける様子

③酒母(酛)造り

Shubo Making

酒母(もと)は蒸し米、水、麹に酵母を加えたもので、もろみの発酵を促す酵母を大量に培養したもの。日本酒造りには、良い酵母が大量に必要ですから、文字どおり「酒の母」といえます。

④段仕込み

3-Step Fermentation

ここで日本酒造りの特徴である三段階に分けて仕込みをする段仕込みが行われます。一日目は初添え。翌日は仕込みはお休み。酵母はゆっくりと増えていきますが、これを踊りといいます。三日目に二回目の仕込み(仲添え)をし、四日目に三回目の仕込み(留添え)をして仕込みは 完了します。段仕込みは、雑菌の繁殖を抑えつつ酵母の増殖を促し、もろみの温度管理をやりやすくするための独得の方法なのです。

⑤もろみ造り

Moromi making

いよいよ、この酒母(もと)に麹、蒸し米、水を加えてもろみを仕込みます。このもろみがやがて原酒となります。

⑥上槽、ろ過、加熱、貯蔵、瓶詰め

Filtration, Pasteurization,Maturation

二十日ほどかけて発酵を終えたもろみは、圧搾機で搾られ、酒と酒粕に分けられます。搾りたての新酒は、ろ過、加熱(火入れ)され、そして貯蔵されます。また製成後、一切加熱処理をしないお酒を生酒といい、製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、出荷の際に加熱処理するお酒を生貯蔵酒といいます。

もろみ
搾りの様子
ろ過された日本酒
瓶詰めの様子

精米から、並行複発酵、
段仕込みという
とても複雑な工程を経て、
約六十日間をかけて、
日本酒は誕生するのです。

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