「GI利根沼田」は2021年1月22日に国税庁長官の指定を受けました。
産地の範囲である利根沼田地域は、群馬県の北部に位置しています。この地域は、北部の武尊山や谷川岳を中心とする三国山脈と、南部の日光白根山、赤城山、浅間山などの火山によって形成されたラインに挟まれた場所にあります。
この地域の特徴として、約15万年前に存在していた「古沼田湖」に堆積した土砂によって形成された河岸段丘が挙げられます。武尊山や谷川岳などに降った雨は、「古沼田湖」の湖底に堆積した砂礫・泥礫層を通過することで、この地域に豊富な川の水や伏流水をもたらしています。この砂礫・泥礫層を通った水は軟水となり、それが利根沼田産の清酒に透明感のある味わいや色調を与える要因となっています。
また、豊富な川の水や伏流水を水田に張ることによって、水田の温度を一定に保つことができるため、酷暑による高温障害を防ぐうえでも効果的であると言われています。これにより、品質の良い米を安定して収穫できることが期待されます。さらに、冬の厳しい寒さは、酒造りに適した環境としても優れています。
透明感のある味わいの中に、適度な旨味を感じる味わいが特徴です。具体的には、爽やかな酸味や旨味を伴ったコクを与える苦みを感じますが、その後に、当地産原料米特有のまろやかな旨味や甘みが膨らみます。またアルコール感の切れが良いので、アルコール度数の割にアルコール感を感じず、透明感がある味わいになっています。
香りは、つきたての餅のような米由来の香りの他、酵母由来のグレープフルーツ、白桃、黄色いリンゴ、バナナ、メロンやライチを中心とする果実様の香りに加え、杏仁豆腐様の風味、青草や新緑を連想させる香りも感じられます。
色調は、透明感のある淡いゴールドがかったクリスタルが基調となっています。
余韻で感じる締まりを与えるほのかな苦みにより、苦み・旨味や酸味を中心とする味の食材との相性がよく、当地で収穫される、蕗のとうやタラの芽などの春野菜と相性がとても良く感じます。また、利根沼田の清酒由来のアミノ酸は、当地の特産品である畜産物(豚肉、牛肉、鶏肉)を用いた料理の動物性タンパク質由来の旨味と相まって料理の味を引き立てます。