「GI三重」は2020年6月19日に国税庁長官の指定を受けました。
県全体として日本酒の地理的表示「GI」指定としては、「GI山形」に次いで2例目です。
三重県は、日本列島のほぼ中央部に位置する紀伊半島の東側にあります。北部から西部にかけては、紀伊山地や鈴鹿山脈といった標高1,000メートルを超える山々が連なっており、東部から南部にかけては伊勢湾および太平洋に面しています。
夏季は、太平洋を流れる黒潮の影響により温暖な気候となりますが、冬季には北東から紀伊山地や鈴鹿山脈を越えて、「鈴鹿おろし」や「布引おろし」と呼ばれる乾燥した冷たい風が吹き込み、冷涼な気候となります。特に内陸部に位置する伊賀盆地では、日中と夜間の気温差が大きくなります。また、鈴鹿山脈に冬季に降り積もった雪や、日本でも有数の多雨地帯である紀伊山地に蓄えられた雨水は、酒造りに適した優良な水として三重県全体に豊富に供給されています。このような気候条件や豊かな水資源により、三重県では暖かみがあり芳醇な酒質の清酒が育まれてきました。
三重の清酒は、総じて暖かみがあり、芳醇な酒質を有しています。
口に含んだ瞬間から旨味が感じられる滑らかな舌触りによって芳醇さが印象づけられる一方で、甘味や辛味はどちらも穏やかであるため、液体の温度に左右されることなく、暖かみが口の中に静かに広がっていきます。同時に、爽やかな酸味が砂浜に寄せる波のように静かに鼻へと抜けていき、飲み込むという行為が不要に感じられるほど自然に喉へと収まり、透明感のある余韻を残します。
例えば、魚介類など脂分が少なくたんぱくな味わいの食材と合わせることで、食材の旨味が酒の旨味と相まって程よく強調されるほか、食材特有の臭みが爽やかな酸味によってやさしく包み込まれます。そのため、特に貝類や甲殻類とともに、三重の清酒は食中酒として美味しく楽しめます。