「桃の節句」には甘い白酒も飲みますが、本格的には「桃花酒」を飲みます。古代中国の故事で諸病を取り払い、顔色を麗しくするといいますから、桃の節句にはまさにピッタリの飲み物と言えます。
四季を通じて日本酒を楽しむ習慣や行事は、ここに紹介しているもの以外にも、まだまだたくさんあります。
これらを知るとともに、また生活の中で新たな飲酒スタイルを作っていくことで、日本酒の飲み方・楽しみ方は、さらに充実していくのです。
春、さまざまな
出会いや別れ、新年度の節目。
桜咲く季節に日本酒を楽しむ。
How to Enjoy Sake Spring
「桃の節句」には甘い白酒も飲みますが、本格的には「桃花酒」を飲みます。古代中国の故事で諸病を取り払い、顔色を麗しくするといいますから、桃の節句にはまさにピッタリの飲み物と言えます。
奈良・平安の時代から行われていました。娯楽の少ないこの時代、花見は庶民の最大の催しであったようです。それは現在にも受け継がれ、花見と日本人は永遠に切れない関係にあるようです。
夏、暑さも厳しくなり、
冷えた日本酒が美味しい
季節です。
How to Enjoy Sake Summer
6月の晦日に、半年間の汚れを流す意味から飲むお酒です。田植えも終わり、ほっと一息入れるこの時期に、これからの暑い夏を乗り越えるために祈りながら飲む、景気祓いのお酒です。
冷やとは常温を意味し、冷酒というのは冷蔵庫に入れたり、氷を入れたものを意味します。夏の暑い日、暑気払いにはこのような冷えたお酒が一番でしょう。シャーベット酒なるものもの、暑い夏だからこその楽しみ方と言えるでしょう。
日本酒の温度夏の季語として日本酒業界で知られる「甘酒」。古くは江戸時代から夏バテ予防に飲まれていました。飲む点滴と呼ばれるほど、多くの栄養を含み、疲労回復など、体に嬉しい効果がいっぱいです。
お盆といえば、故郷へ帰るだけでなく、海や山、海外へと出かける、絶好の機会です。旅行といえば、その土地特有のお酒に出会えるのも一つの楽しみと言えるでしょう。全国各地では、夏祭りの真っ最中。浴衣に下駄履きすすしげに、暑い夏の「祭り酒」を楽しみましょう。
海の幸、山の幸、日本酒。
すべてが実り、
美味しくなる季節。
How to Enjoy Sake Autumn
10月1日は日本酒の日です。十二支の10番目、酉の月の「酉」の字は、元々壺を表す承継文字で、お酒を著しました。このころから新米が収穫され、お酒造りが始められることから、10月はお酒の月、10月1日が日本酒の日となりました。
旧暦の、9月9日。この日、長生き効果のあるという「菊の花の酒」を飲む宴を張り、長寿を願い、災難を払うおまじないを行います。この日を酒井に、翌年の3月3日の「桃の節句」まで、日本酒はお燗にして楽しむのが正式な飲み方です。
冬から春にかけて造られた新酒が蔵の中で静かに息づき、夏を経て熟成した味わいとなって出荷されるのが「ひやおろし」です。酒蔵は夏でもかなり涼しく、保存されいてるお酒は真夏でもさほど温度は上がりません。それが外気も冷えて酒の温度と同じくらいになった頃、気温による酒質の変化の心配がないとして「火入れ」をせずに出荷したものです。
新年、新しい年を祝う季節。
寒い冬は熱燗で
心も体もぽかぽかに。
How to Enjoy Sake Winter
年頭に一家揃って飲むお屠蘇。もともとは中国の風習をまねたもので、平安初期に宮中で行われ、やがて民間に広がりました。みりんに屠蘇散を浸すようになったのは明治になってからで、もともとはお酒を用いました。年賀の客には初献に屠蘇を供し、あとは酒にするのが正式です。こうして年始の客にすすめる酒を「年酒」といいます。
祭壇にまつった鏡餅を、御神酒と一緒に祝って食べる行事です。また、おめでたい席で「日本酒の鏡開き」が行われます。酒樽の蓋が丸くて平らなことから鏡と呼ばれます。同じ樽から酌み交わすその仕草が、友情や親愛を深めます。
乾燥させたフグのヒレを焦げ気味にあぶって熱燗に注いだものです。その香りは、冬の味の味覚として愛飲されています。同様の代わり酒に、「カニの甲羅酒」、「骨酒」などがあります。
なんとも風流なこの習慣は、平安の頃、あの紫式部も行っていたと言われます。雪を眺めながらの飲酒は、なんとも風流だったことでしょう。つもり積もった雪をコップにぎゅっと積め、その上からお酒を注ぐ「雪割り酒」という飲み方があります。