日本酒を知る

日本酒用語集

日本酒用語集

青カビ

あおかび

パン、餅、ミカン、チーズなどによく繁殖し、青緑色の胞子をつくる。ペニシリンを生産するカビとしてよく知られているが、酒類製造に利用されることはなく、雑菌として扱われる。

あかい酒

あかいさけ

麹の一部に紅麹(べにこうじ)を用い、その紅麹菌(モナスカス)が生産する紅色色素を利用した赤色の清酒、新潟県醸造試験場の特許。

赤色酵母

あかいろこうぼ

人工的に突然変異で造られた酵母で、菌体内に赤色の色素を蓄積するため赤色を呈する。桃色濁り酒の製造にはこの酵母が利用される。

赤酒

あかざけ

清酒とよく似た方法で醪(もろみ)をつくり、発酵終了時に灰を投入する。熊本地方特産の赤褐色の酒。

赤めし

あかめし

気温が高いときなど、水切りした白米を長時間放置してから蒸すと赤い蒸米ができることがある。これを赤めしという。米の表面に細菌(シュードモナス属菌)が繁殖したためである。

赤ワイン

あかわいん

黒色系または黒紫色系のブドウを用い、果梗(かこう)は除き、果皮、種子、果汁を一緒にして仕込み発酵させたワイン。発酵中に果皮から色素が、また種子からタンニンが溶出されて、赤ワイン特有の色調と渋味が備わる。

秋上がり

あきあがり

冬季に製造した清酒が、貯蔵して秋になると酒質が向上すること。逆の場合を秋落ち(あきおち)という。

亜硝酸

あしょうさん

生もと系酒母では、水中の硝酸が硝酸還元菌によって還元されて亜硝酸となり、この亜硝酸が酵母の早湧き(はやわき)を抑えるという重要な役目をする。しかし一般に、水中に亜硝酸が多いことは細菌による汚染の可能性が大きく、好ましくない。

厚蓋

あつぶた

泡なし酵母を除いて、普通の酵母の場合には、糖化と発酵が進むにつれて泡の状態がいろいろに変化する。留め仕込後2~3日経つと、醪の表面に数本の泡の筋が現れる。これを筋泡(すじあわ)という。さらに1~2日経つと、白くて軽い泡が前面に広がる。これを水泡(みずあわ)という。水泡をすぎると、泡は次第に高くなって岩のような形になってくる。これを岩泡(いわあわ)という。岩泡からさらに泡が高くなった状態を高泡(たかあわ)という。高泡が次第に低くなる時期を落泡(おちあわ)という。泡が落ちるとシャボン玉のような泡が残り、これを玉泡(たまあわ)という。玉泡が消えて醪の表面が現れた状態を地(じ)という。地の状貌には種々あり、醪の表面に何も浮かんでいないときは坊主(ぼうず)、薄い皮が浮かんでいるときはチリメン泡あるいは薄皮(うすかわ)、米粒が厚く浮かんでいるときは厚蓋(あつぶた)、飯蓋(めしぶた)などという。

甘辛度

あまからど

清酒の甘辛の程度を示す値で、清酒のブドウ糖濃度(S)と酸度(A)から次式により算出される。この式によって甘辛の81%が説明できる。Y (甘辛度)=0.86S-1.16A-1.31また、ブドウ糖濃度の代わりに日本酒度(N)を用いる場合には次式による。Y =(193593/(1443+N))-1.16A-132.57甘辛度と清酒の甘辛の程度との関係は下記のとおりである。甘辛の程度=甘辛度非常に辛い=(-3)かなり辛い=(-2)すこし辛い=(-1)どちらでもない=(0)すこし甘い=(1)かなり甘い=(2)非常に甘い=(3)

甘酒四段

あまざけよだん

麹と蒸米と湯で仕込み、55℃程度で糖化して甘酒をつくり、これを親桶の醪に添加する方法。

アミノ・カルボニル反応

あみの・かるぼにるはんのう

一般に、アミノ基とカルボニル基の反応をいう。清酒は熟成とともに着色度を増すが、これは清酒中のアミノ酸とグルコースが反応するアミノ・カルボニル反応によると考えられている。

アミノ酸

あみのさん

アミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH)をもつ化合物の総称であって、蛋白質の構成成分である。アミノ酸のなかで最もよく知られているのはグルタミン酸であり、グルタミン酸ナトリウムの形で調味料として使われる。清酒中には19種のアミノ酸が定量されているが、これらのアミノ酸は、甘味、旨味、酸味、苦味などをもっている。アミノ酸が多い酒はゴク味が豊かであるが、多すぎれば雑味が多くなり、少なすぎれば味がうすくなる。

アミノ酸度

あみのさんど

清酒10mlをとり、ホルモール滴定法で滴定したときの、0.1規定NaOH液の滴定ml数をいう。通常の市販酒のアミノ酸度は、1.3~1.7程度である。

アミラーゼ

あみらーぜ

澱粉(でんぷん)を加水分解する酵素の総称であって、澱粉をデキストリンのようなある程度大きな単位で分解する液化型アミラーゼ(α-アミラーゼまたは液化酵素ともいう)と、グルコース単位で分解する糖化型アミラーゼ(グルコアミラーゼまたは糖化酵素ともいう)がある。

アミロース

あみろーす

グルコースが直鎖状につながった高分子化合物で、アミロペクチンとともに澱粉を構成している。日本の粳米(うるちまい)では、澱粉の約20%前後がアミロースである。

アミロペクチン

あみろぺくちん

グルコースが枝わかれした鎖状につながった高分子化合物で、アミローストとともに澱粉を構成している。日本産の粳米(うるちまい)では澱粉の約80%、糯米(もちまい)では澱粉のすべてがアミロペクチンである。

荒櫂

あらがい

酵母あるいは醪を仕込んで数時間以上経つと、水を吸った蒸米と麹が山状に盛り上がってくる。そこで、固形物と液部とをよくまぜるために櫂を入れる操作のことを荒櫂という。

荒走り

あらばしり

醪を圧搾濾過して、清酒と清酒粕に分離する操作をいい。あげふねともいう。最近は自動醪圧搾機が普及しているが、昔は酒袋(さかぶくろ)に醪をつめて、槽(ふね)の中にならべて搾った。その操作は次のようである。まず、醪を酒袋(5~9リットル入り)につめ、槽(ふね)の中に並べて積む。この間に、最初に出てくる白く濁った清酒を荒走り(あらばしり)という。槽が袋でいっぱいになると、槽の上にカサ枠を乗せて、さらに酒袋を積む。積み終わってから3時間くらいは、自らの重さできれいな酒が自然に出てくる。この間を水槽(みずぶね)という。積み上げた酒袋の高さが低くなってくると、カサ枠を取り除き、押蓋(おしぶた)と枕木をのせて圧搾を始める。これを押槽(おしぶね)という。翌日、酒袋を積み替えて(袋直し、槽直し)再び圧搾する(責槽(せめぶね))。責槽から出る酒を責め(せめ)といい、また荒走り後責め(せめ)より前に出る酒を中垂れ(なかだれ)という。

アルキメデスの原理

あるきめですのげんり

「液体中にある物体は、その物体がおしのけた液体の重さの分だけ軽くなる」という原理。この原理によって、物体の浮き沈みや浮ひょうによる比重・日本酒度・アルコール分などの測定を説明することができる。

アルコール

あるこーる

分子中に水酸基(OH)をもつ有機化合物をいい、1分子中に水酸基を1個もつものを1価アルコール、2個もつものを2価アルコール、3個もつものを3価アルコールという。清酒中には、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソブチルアルコール、イソアミルアルコール、フェネチルアルコールなどの1価アルコールや、グリセリンと呼ばれる3価アルコールが含まれている。

アルコール収得歩合

あるこーるしゅうとくぶあい

原料白米100kgから発酵によって生成された清酒中に純アルコール数量(リットル)を表し、酒化率を表す一つの方法である。

アルコール使用限度数量

あるこーるしようげんどすうりょう

清酒の製造方法の承認基準により、製造場ごとの原料用アルコールの使用数料はその酒造年度に清酒製造の原料として使用する白米1,000kgにつき280リットル(アルコール分100度換算)の範囲とされている。

アルコール耐性酵母

あるこーるたいせいこうぼ

アルコール耐性が強く、醪の末期になっても死滅しにくいために、アルコール分20%位まで発酵する。きょうかい7号からつくられたアルコール耐性酵母は、きょうかい11号と呼ばれている。

アルコール脱水素酵素

あるこーるだっすいそこうそ

一般に、アルコールとアルデヒドの間の酸化還元反応を触媒する酵素をいう。酵母の菌体の中では、アセトアルデヒドをエチルアルコールに変える重要な働きをしている。

アルコール添加

あるこーるてんか

上槽前の醪にアルコールを加えること。第二次大戦後の原料米の不足を補う目的で、昭和18酒造年度から清酒醪にアルコール添加が認められるようになったが、現在では清酒の香味を軽快にするためと製造原価の低減をはかる目的でアルコール添加が実施されている。

アルコール添加清酒

あるこーるてんかせいしゅ

上槽前の醪にアルコールを加えること。第二次大戦後の原料米の不足を補う目的で、昭和18酒造年度から清酒醪にアルコール添加が認められるようになったが、現在では清酒の香味を軽快にするためと製造原価の低減をはかる目的でアルコール添加が実施されている。

アルコール発酵

あるこーるはっこう

生物が無酸素的に糖類を分解してエネルギーを得る様式の一つで、次のゲイ・ルサックの式にしたがって、ブドウ糖からエチルアルコールと炭酸ガスを生産する。略して発酵と呼ぶことが多い。ブドウ糖C6H12O6(180g)→エチルアルコール2C2H5PH(92g=117ml)+炭酸ガス2CO2(88g=44.8リットル)

アルコール分(度数)

あるこーるぶん(どすう)

清酒のアルコール分とは、15℃における清酒100ml中に含まれているエチルアルコールの容量をいう。清酒を蒸留し、水を加えて原容に復し、15℃で酒精度浮ひょうを浮かべて測定する。

アルデヒト臭

あるでひとしゅう

醪の発酵が旺盛なときにアルコール添加をした場合など、上槽後に木香とよく似た香気を生ずることがあり、これを木香様臭という。本体は、アセトアルデヒドと推定されている。アルデヒド臭ともいう。

α-アミラーゼ

あるふぁーあみらーぜ

澱粉(でんぷん)を加水分解する酵素の総称であって、澱粉をデキストリンのようなある程度大きな単位で分解する液化型アミラーゼ(α-アミラーゼまたは液化酵素ともいう)と、グルコース単位で分解する糖化型アミラーゼ(グルコアミラーゼまたは糖化酵素ともいう)がある。

α化

あるふぁーか

生の澱粉(β-澱粉(べーた-でんぷん))に水を加えて加熱すると、澱粉は膨潤して糊になり、酵素によって分解されやすくなる変化をいう。糊化ともいう。

α化米

あるふぁーかまい

蒸米の澱粉をα化したままの状態で脱水乾燥し、β(べーた)-澱粉に戻らないようにしたもので、仕込みのときは、そのまま投入できる。

α-澱粉

あるふぁーでんぷん

α化した澱粉をいう。

泡笠

あわがさ

酒母や醪の高泡の時期に、泡がこぼれないようにタンクの上縁に取り付ける枠のことをいう。

泡消機

あわけしき

醪や酒母の高泡時に泡を消す装置。図の下部の複数の金属棒が回転して泡を消す。

泡なし酵母

あわなしこうぼ

清酒醪や酒母の高泡時に、高泡を形成しない性質をもつ清酒酵母の総称。きょうかい酵母のうち、601号、701号、901号、1001号は泡なし酵母で、それぞれ6号、7号、9号、10号を親株とした変異株である。

泡盛

あわもり

琉球諸島特産の乙類焼酎。タイ産の砕米にアワモリ麹菌(アスペルギルス・アワモリ)を繁殖させた麹を原料にして糖化し、これを発酵させて単式蒸留機で蒸留する。掛米を使用せず、麹だけで仕込むのが特徴である。

行火

あんか

暖気樽(だきたる)によって酒母の温度を上げる代わりに、酒母タンクの下に電熱器などの熱源を入れて温度を上げる方法を行火法といい、この熱源のことを行火という。

アンプル仕込み

あんぷるしこみ

初添前の水麹時に酒母の代わりにアンプル入りきょうかい酵母(培養酵母)を用いる仕込み法で、一種の酒母省略仕込みである。添麹の一部と水を使って初添前日に水麹を行い35℃前後の温度に保ち酵母を増殖させてから、翌日初添を行う。初添以降は通常の仕込み同様に仕込む。酒母の代わりにアンプル入りきょうかい酵母を使用することからこの呼称が付けられた。

アンモニア

あんもにあ

NH3の分子式をもつ化合物。水中のアンモニア含量が0.1ppmを超えるときは、汚水混入の疑いがあり、醸造用水として好ましくない。アンモニア水は、清酒の除酸に用いることがある。

家つき酵母

いえつきこうぼ

純粋分離してこれを培養した培養酵母ではなく、その酒造場内に生息している野生酵母のことをいう。優良な清酒酵母の場合もあるが、一般に酸の生成量が多く、アルコール生成量が不十分で、香気不良な酵母である場合が多い。

イオン

いおん

荷電した原子団をいう。NA+、K+、CA++などを陽イオンといいC1-、SO4-などを陰イオンという。

イオン交換樹脂

いおんこうかんじゅし

イオン交換のできる樹脂をいう。陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂および両性交換樹脂がある。水の浄化や清酒の脱酸などに用いる。

異臭

いしゅう

正常な清酒にはない変ないやな臭いをいう。また、きき酒用語等にない臭いを表すときにも用いられる。

異種穀粒

いしゅこくりゅう

酒造用玄米のなかに混じっている籾(もみ)あるいは麦などの玄米以外の穀粒をいう。

移出

いしゅつ

酒類を出荷する場合など、酒類が製造場から出されることを酒税法では移出という。

移出価格

いしゅつかかく

酒類を移出するときの、酒税抜きの生産者販売価格をいう。

板粕

いたかす

酒粕の別名で、板状になっていることからこの名が生まれた。上槽直後の酒粕はこの状態で得られる。

1:2点法

いちたいにてんほう

酒AとBに差があるかどうかを知りたいとき、まず酒Aをきき酒し、次にAとBを盲できき酒して、Aと異なる方を当てさせる方法。出荷検査によく使われる。

一級酒

いっきゅうしゅ

清酒とウイスキー類に設けられていた税率区分のことで、それぞれ規格によって特級、一級及び二級の級別に区分されていたが、酒税法の改正によりこの制度は平成元年4月1日以降廃止された。

1個もと

いっこもと

1本の酒母を1本の醪に使用すること。1本の酒母を半分にわけて2本の醪に使用する場合は2個もとという。

イラ湧き

いらわき

醪の前期に糖化よりも発酵が急進し、品温が急昇して極端に前急型の発酵経過をとるとき、イラ湧きという。

入口タンク

いりぐちたんく

滓引き(おりびき)専用のタンクのこと。庫内で最も温度の低いところに置き、上槽したての酒をこのタンクに移して滓引きする。

色戻り

いろもどり

活性炭濾過をした清酒が後日着色し、活性炭処理前よりも色が濃くなる現象をいう。濾過助剤、活性炭あるいは容器などから鉄が清酒に混入することによって生じる。

岩泡

いわあわ

醪の発酵の前段階で、水泡から次第に泡が高くなり、岩のような形になった時期の泡をいう。高泡の初期の泡である。

ウイスキー

ういすきー

酒税法では次のように定義されている。(イ)発芽させた穀類と水を原料として糖化させ、発酵させたアルコール含有物(醪)を蒸留したもので、蒸留の際の留出時のアルコール分が95%未満のもの(いわゆるモルトウイスキー原酒)(ロ)発芽させた穀類と水によって発芽していない穀類を糖化させ、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもので、蒸留の際の留出時のアルコール分が95%未満のもの(いわゆるグレンウイスキー原酒)(ハ)上記の(イ)または(ロ)に揚げる酒類に、アルコール、スピリッツ、香味料、色素、または水を加えたもので、(イ)または(ロ)に揚げる酒類が10%以上混和されているもの。したがって、(イ)または(ロ)のうち、蒸留の際の留出のアルコール分が95%以上のものや、穀類以外の原料を使用したものは、ウイスキーではなくスピリッツ類になる。

ウイスキー類

ういすきーるい

酒税法では、ウイスキーとブランデー2品目(ひんもく)をまとめてウイスキー類としている。

ウェット炭

うえっとたん

粉末の飛散による汚れを避けるために、水分を50%程度含ませた粉末活性炭。

ウオッカ

うおっか

旧ソ連、ポーランドのほか、米国でも大量に生産されており、日本の酒税法ではスピリッツ類のなかの品目(ひんもく)スピリッツに分類されている。トウモロコシ、小麦などが原料であるが、北欧では馬鈴薯も使われる。これらの澱粉質原料を蒸煮して麦芽で糖化し、発酵させた後、連続式蒸留機で蒸留し、水で薄めてアルコール分を40~60%にし、白樺(しらかば)の炭の層を通して精製するのが特徴である。

薄皮

うすかわ

泡なし酵母を除いて、普通の酵母の場合には、糖化と発酵が進むにつれて泡の状態がいろいろに変化する。留め仕込後2~3日経つと、醪の表面に数本の泡の筋が現れる。これを筋泡(すじあわ)という。さらに1~2日経つと、白くて軽い泡が前面に広がる。これを水泡(みずあわ)という。水泡をすぎると、泡は次第に高くなって岩のような形になってくる。これを岩泡(いわあわ)という。岩泡からさらに泡が高くなった状態を高泡(たかあわ)という。高泡が次第に低くなる時期を落泡(おちあわ)という。泡が落ちるとシャボン玉のような泡が残り、これを玉泡(たまあわ)という。玉泡が消えて醪の表面が現れた状態を地(じ)という。地の状貌には種々あり、醪の表面に何も浮かんでいないときは坊主(ぼうず)、薄い皮が浮かんでいるときはチリメン泡あるいは薄皮(うすかわ)、米粒が厚く浮かんでいるときは厚蓋(あつぶた)、飯蓋(めしぶた)などという。

打瀬

うたせ

酒母の仕込み後、暖気(だき)または行火などによって加温を始めるまでの期間をいう。この期間に品温の降下をはかる。

裏うち

うらうち

酒粕(さけかす)の裏面に、醪中で溶けなかった麹や米粒が白い粒として残っている現象をいう。

粳米

うるちまい

通常の米飯や清酒製造に用いられる米。粳米の澱粉は80%近くのアミロペクチンと、20%近くのアミロースからなっている。

上立ち香

うわだちか

清酒に鼻を近付けて感じる香りで、利猪口(ききちょこ)などに入れて放置しておくと揮散してしまう香りをいう。

上呑

うわのみ

タンクの側面の底部に近い部分には、液を出し入れするための穴が上下2個あって、これを呑穴(のみあな)といい、上の呑穴を上呑、その下の呑穴を下呑(したのみ)という。

エアシューター

えあしゅーたー

蒸米や麹などを送風機の風圧で輸送する装置をいう。

A-B直線

えいびーちょくせん

Aはアルコール分、Bはボーメ度を表す。AとBの関係をグラフ上に直線で示し、醪の管理に用いる。

液化

えきか

飽和状態(ほうわじょうたい)にある蒸気の温度を下げると、蒸気の一部は液体に戻る。これを液化という。また、澱粉は水に不溶性であるが、これをα-アミラーゼで分解して可溶性にすることを澱粉の液化という。

液化型アミラーゼ

えきかがたあみらーぜ

澱粉(でんぷん)を加水分解する酵素の総称であって、澱粉をデキストリンのようなある程度大きな単位で分解する液化型アミラーゼ(α-アミラーゼまたは液化酵素ともいう)と、グルコース単位で分解する糖化型アミラーゼ(グルコアミラーゼまたは糖化酵素ともいう)がある。

液化仕込み

えきかしこみ

白米またはその粉砕物を仕込水とともに80~90℃くらいの高温で液化酵素の作用により澱粉を液化させ、冷却後に酒母と麹を加えて発酵させる清酒醸造法をいう。

エキス分

えきすぶん

酒税法では、温度15℃のときにおいて、原容量百立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数をいうと定義している。清酒のエキス分は次式により算出する。エキス分=(S-A)×260+0.21ただし、Sは比重であり、次式により日本酒度から求める。S=1443/(1443+日本酒度)また、Aはアルコール分を比重(15/15℃)に換算したものである。

SI培地

えすあいばいち

清酒が火落菌(ひおちきん)に汚染されているかどうかを検出するために使う簡易培地の一種。

SS

えすえす

浮遊物質量の略称で、水中に浮遊(ふゆう)・懸濁(けんだく)している固形物のことをいう。SSの量は、BOD、CODとともに、水の汚染度を示す指標として使われる。酒造米の洗米排水は、SSの値が高い。

エステル

えすてる

酸とアルコールから水がとれて結合したもの。有機酸のエチルエステルは、酒類の重要な芳香成分であるものが多い。

枝桶

えだおけ

醪の温度管理を容易にするために、醪を1本の大容器に仕込まずに、数本の容器にわけて仕込むとき、大容器を親桶(おやおけ)といい、これに付属する小容器を枝桶という。

エチルアルコール

えちるあるこーる

C2H5OHの化学式で示されるアルコールで、酒類中のエチルアルコールは、発酵性糖類から酵母による発酵によってつくられる。エタノールともいう。沸点78.3℃

MC炭

えむしーたん

分子篩活性炭。ビン香、老ね香などの脱臭に効果がある。MC炭はこの種の活性炭で、商品名である。

えん

酸と塩基(アルカリ)が中和するときにできる化合物をいう。たとえば、塩酸と水酸化ナトリウムが中和すると、塩化ナトリウム(食塩)という塩ができる。酒造に関係の深い塩には、食塩、リン酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどがある。

塩基

えんき

水溶液にしたときに水酸イオンOH-だけを陰イオンとして放出し、アルカリ性を示す物質をいう。酒造に関係の深い塩基としては、清酒の酸の定量に使われる水酸化ナトリウムや、中和剤に使われるアンモニア水(水酸化アンモニウム)がある。

オームの法則

おーむのほうそく

導線を流れる電流Aは、その両端の電圧Vに比例し、導線の電気抵抗Rに反比例するという法則をいう。これを式で表すと次のようになる。A=V/RまたはV=AR

追水

おいみず

醪の留仕込み後に、醪に添加する水のこと。水四段ともいう。

桶売り

おけうり

酒類を販売容器に詰めずに、主に原酒のまま製造業者間で売買することを桶取引(未納税取引ともいう)といい、売りを桶売り、買いを桶買いという。

桶買い

おけがい

酒類を販売容器に詰めずに、主に原酒のまま製造業者間で売買することを桶取引(未納税取引ともいう)といい、売りを桶売り、買いを桶買いという。

桶取引

おけとりひき

酒類を販売容器に詰めずに、主に原酒のまま製造業者間で売買することを桶取引(未納税取引ともいう)といい、売りを桶売り、買いを桶買いという。

押槽

おしぶね

醪を圧搾濾過して、清酒と清酒粕に分離する操作をいい。あげふねともいう。最近は自動醪圧搾機が普及しているが、昔は酒袋(さかぶくろ)に醪をつめて、槽(ふね)の中にならべて搾った。その操作は次のようである。まず、醪を酒袋(5~9リットル入り)につめ、槽(ふね)の中に並べて積む。この間に、最初に出てくる白く濁った清酒を荒走り(あらばしり)という。槽が袋でいっぱいになると、槽の上にカサ枠を乗せて、さらに酒袋を積む。積み終わってから3時間くらいは、自らの重さできれいな酒が自然に出てくる。この間を水槽(みずぶね)という。積み上げた酒袋の高さが低くなってくると、カサ枠を取り除き、押蓋(おしぶた)と枕木をのせて圧搾を始める。これを押槽(おしぶね)という。翌日、酒袋を積み替えて(袋直し、槽直し)再び圧搾する(責槽(せめぶね))。責槽から出る酒を責め(せめ)といい、また荒走り後責め(せめ)より前に出る酒を中垂れ(なかだれ)という。

落泡

おちあわ

高泡の末期になると泡が次第に低くなり、攪拌すると音を立てて泡が落ち込みながら消えるようになる。この時期を落泡または引泡(ひきあわ)という。

踊り

おどり

醪の添仕込みの翌日は、酵母の増殖を待つために、仕込みを1日休む。これを踊りという。

親桶

おやおけ

醪の温度管理を容易にするために、醪を1本の大容器に仕込まずに、数本の容器にわけて仕込むとき、大容器を親桶(おやおけ)といい、これに付属する小容器を枝桶という。

おり

上槽したばかりの清酒は白濁しているが、これを数日間静置すると、底部に白色の混濁物質が沈殿する。この沈殿物質を滓という。

オリゴ糖

おりごとう

10個以下の単糖類が結合したもので、加水分解すると単糖類が生成する。清酒中のエキス分の多くはブドウ糖とオリゴ糖によって構成されている。少糖類ともいう。

滓下げ

おりさげ

清酒の白ボケ(蛋白混濁)による商品価値の低下を防止するために、ビン詰前に滓となる成分を沈降させる操作を滓下げという。滓下げの方法には、柿渋(かきしぶ)などを使う物理的清澄法と蛋白分解酵素を使う酵素的清澄法があり、清澄の目的に使用する物質を滓下げ剤という。

滓酒

おりざけ

滓引きした後に残った白濁した清酒を製品にしたもの。

滓引き

おりびき

上槽したての白濁した清酒を数日以上静置して、上澄した部分を下部に沈殿した滓から分離する操作をいう。

折れ線グラフ

おれせんぐらふ

測定値が連続的な場合には、度数ヒストグラムの各々の柱の上辺の中点をとり、また両端の階級では階級の幅の2分の1だけ左右にとって各点を結んだグラフをいう。また、測定値が離散的な場合には、各測定値を横軸にとり、度数を縦軸にとって、各点を結んだグラフをいう。

温度補正

おんどほせい

浮ひょうでアルコール分や日本酒度を測定する際、測定温度が15℃以外のときに下記の補正表により15℃のときの示度に補正することをいう。アルコール分:酒精度温度補正表 日本酒度:日本酒度温度補正表

櫂入れ

かいいれ

酒母や醪などの物料(水と麹と蒸米をいう)を櫂棒を使ってかきまぜる操作をいう。

外硬内軟

がいこうないなん

良い蒸米の状態を表現する言葉。表面がべたつかず、握ったときに弾力があって芯が感じられないことをいう。

外硬内軟

がいこうないなん

良い蒸米の状態を表現する言葉。表面がべたつかず、握ったときに弾力があって芯が感じられないことをいう。

灰分

かいぶん

有機物を完全に焼いて残った無機物をいう。

櫂棒

かいぼう

酒母や醪の物料をか撹拌する木製(一部に竹を使用することもある)の道具をいう。蕪櫂(かぶらがい)は、竹棒(または木製の棒)の先に木製の板を取り付けたもので、長さによって大櫂(おおがい)(約2.3m)、三尺櫂(さんじゃくがい)(約1.8m)、もと櫂(もとがい)(約1.5m)などの種類がある。蕪櫂は、最も一般に多く使用される。この他、先端が扁平でへら状になったへら櫂と呼ばれる櫂があり、生もと系酒母の育成操作に使われる。

開放発酵

かいほうはっこう

清酒のように外気に接したままの状態で行う発酵を開放発酵という。これに対して、酒精醪の用に完全密閉タンクで発酵させる方法を密閉発酵という。

替え水

かえみず

白米の浸漬中に、水を入れ替えることで、漬替えともいう。掛流しと同じ効果がある。

化学的酸素要求量

かがくてきさんそようきゅうりょう

化学的酸素要求量の略称で、水の有機物による汚染の程度を表す指標の一つである。

柿渋

かきしぶ

青渋柿を砕いて水を加え、数日間密閉して放置し、濾過した上澄液を約半年間密閉保存してつくる。ゼラチンと併用して、清酒の滓下げに用いる。

格付法

かくづけほう

きき酒によって、清酒の品質を、良・不良、上・中・下、優・良・可・不可などと評価格付けする方法。

掛上げ

かけあげ

醪の仕込みで、水麹の温度より暖かい蒸米を投入して、目標の仕込温度にまで上昇させる仕込方法をいう。

掛麹

かけこうじ

醪の仕込(添、仲、留)に用いる麹の総称。初添(添仕込み)に用いる麹を添麹、仲添(仲仕込み)に用いる麹を仲麹、留添(留仕込み)に用いる麹を留麹という。

掛下げ

かけさげ

醪の仕込みで、水麹よりも低温の蒸米を投入して、目標の仕込温度にまで下降させる仕込方法をいう。

掛流し

かけながし

洗米後の白米を浸漬タンクに入れて水に漬け、タンクの下部より水を注入し、上部からあふれさせる方法をいう。15~30分の掛流しによって米中のカリウムやリン酸が減少し、醪の発酵が緩徐になる。

掛米

かけまい

蒸きょう後に、冷却してそのまま仕込む米のことをいう。

過酸化水素水

かさんかすいそすい

消毒殺菌剤。30~35%の過酸化水素水を水で10~30倍にうすめ、タンクや仕込み庫などの殺菌に使用する。

果実酒

かじつしゅ

酒税法では、果実酒は果実酒類のなかに分類される。

果実酒類

かじつしゅるい

酒税法では、果実酒と甘味果実酒の2つの品目に区分され、次のように定義している。(イ)果実または果実と水を原料として発酵させたもの(ロ)果実または果実と水に、糖類を加えて発酵させたもの(ハ)上記(イ)または(ロ)の酒類に、糖類を加えて発酵させたもの(ニ)上記(イ)から(ハ)までの酒類に、ブランデー等(ブランデー、アルコール、果実を原料としたスピリッツをいう)または糖類、香味料、色素もしくは水を加えたもの。(ホ)(イ)から(ニ)までの酒類に植物を浸してその成分を浸出させるか薬剤を加えたもの、またはこれらの酒類にブランデー等、糖類、香味料、色素もしくは水を加えたもの。上記各項の果実酒類のうち、(イ)は果実酒に、(ホ)は甘味果実酒に区分される。また、(ロ)、(ハ)、(ニ)で糖類等を添加した果実酒類のうち、次のいずれかに該当するものは甘味果実酒に区分される。(1)アルコール分が15度以上のもの(2)砂糖、ブドウ糖、果糖以外の糖類を加えたもの(3)ブランデー等の混和割合が10%を超えるもの(4)色素を加えたものこの品目区分によると、シャンパンやワインに果汁等を混和して造るワインクーラーなどは果実酒に区分される。

かす

酒粕のこと。酒醪をこした(上層した)ときに分離される固形分のことで、清酒醸造の副産物である。清酒粕または単に粕ともいう。

加水調整

かすいちょうせい

原酒に水を加えてアルコール分やその他の成分を調整すること。

加水分解

かすいぶんかい

無機化合物(むきかごうぶつ)あるいは有機化合物(ゆうきかごうぶつ)と水の複分解反応(ふくぶんかいはんのう)や、水による分解反応をいう。たとえば、麹のα-アミラーゼによる米の澱粉の分解は、加水分解である。

粕換算率

かすかんさんりつ

製成した粕の重量を容量に換算するために使われ、1リットル当たり1.1kgとされている。

粕離し

かすはなし

清酒醪の上槽後、酒袋(さかぶくろ)あるいは濾過(ろか)板から清酒粕を取り出す操作を粕離し、あるいは粕はがしという。

粕歩合

かすぶあい

原料の白米重量に対する粕重量の割合をいい、%で表す。

粕四段

かすよだん

醪の添・仲・留の仕込みが終わった後に、醪中に清酒粕を投入する仕込み方法をいう。粕四段は、吟醸粕の有効利用、異臭(ジアセチル臭)の除去、その他香味の調整などの目的で行われる。

課税標準

かぜいひょうじゅん

酒類にたいして酒税を課するときの計算のもとになるものをいう。従量税の課税標準は、酒造場からの移出数量であり、輸入酒の場合には、輸入する数量である。

片白

かたはく

掛米のみ白米とし麹米には玄米を用いて造った酒のことで、江戸時代諸白(もろはく)に対して用いられた呼称である。諸白以前の酒であるが、江戸時代にも造られた。

活性化エネルギー

かっせいかえねるぎー

たとえば、澱粉が分解されるとき、越さなければならないエネルギーの障壁がある。この障壁を飛び越すために必要なエネルギーを活性化エネルギーという。酵素は、この活性化エネルギーを下げる働きをする。

活性清酒

かっせいせいしゅ

清酒醪を荒ごしした濁ったままの酒で、濁り酒ともいう。微弱な発酵が続きガスが含まれているのでこの名が付いたが、酒質を安定させるため火入れをしたものが多い。

活性炭素

かっせいたんそ

仕込用水や割水(わりみず)用水の精製、および清酒の脱色、香味の調整、着色防止、火落防止のために使用される。活性炭ともいう。原料によって植物炭、動物炭、石油系炭素などに分けられるが、清酒で使われるのは主に植物炭である。また賦活法によって、水蒸気賦活炭、塩化亜鉛賦活炭の区別があるが、清酒では両方とも使用されている。また、形状によって粉末炭と粒状炭の区別がある。

カビ

かび

糸状菌のこと。菌糸と呼ばれる細長い細胞からなり、葉緑素をもたない微生物に対する俗称である。

下面酵母

かめんこうぼ

発酵の後半になって次第に凝集して下に沈殿する酵母をいう。日本のビール酵母などは下面酵母である。

ガラクトース

がらくとーす

単糖類の一種で、分子式はC6H12O6でグルコースと同じであるが、構造が一部異なる。酵母の性質を調べるときに、その発酵性が問題にされる。清酒酵母は、ガラクトースを発酵する。

枯らし

からし

精米から醪の仕込みまでの工程でできた中間生成物が次の工程で使用されるまで放置される状態をいう。(1)精米後の白米を紙袋に入れたりホッパーに移すなどして使用時まで放置することを白米の枯らしといい、この間を白米の枯らし期間という。米粒内の水分分布を均一にし、室温と湿度になじませることを目的としている。枯らし期間は精米歩合にもよるが、7~20日くらいとする。(2)出麹(でこうじ)後1日ほど放置してから仕込みに使用することを出枯らしという。枯らし中はうすく拡げて乾燥させる。(3)酒母のもと分け(丸冷まし)から使用時(もと卸し)までを酒母の枯らしといい、その間を酒母の枯らし期間という。酒母の種類等にもよるが、普通速醸酒母では5~7日くらいが適当である。

カリウム

かりうむ

元素記号はK。カビ・酵母の増殖に重要な役割を果たすが、多すぎると製麹や醪経過で温度が急昇し、管理が困難になる。

カロリー

かろりー

カロリー(1cal)とは、1gの水の温度を1℃高めるために必要な熱量をいう。1000calを1kcal(きろかろりー)または1大(だい)カロリーという。ただし、食物の栄養価や熱量の燃焼熱の場合には、単に1calと書き、大カロリーを意味することが多い。

関係湿度

かんけいしつど

湿度の表し方の一つで、一定体積の空気中に実際に含まれている水蒸気の圧力を、その空気の飽和水蒸気圧で割り、%で表したもの。

還元

かんげん

物質が水素と化合するか、酵素を奪われるか、あるいは、電子を受け取る反応をいう。

乾湿球温度計

かんしつきゅうおんどけい

2本のアルコール(または水銀)温度計を縦に並べてセットし、一方の温度計の球を湿ったガーゼで包んだもの。乾球温度計と湿球温度計の示度の差を乾湿差といい、麹室の湿度の管理に使用される。乾湿差から計算あるいは表によって相対湿度を求めることができる。

乾湿差

かんしつさ

2本のアルコール(または水銀)温度計を縦に並べてセットし、一方の温度計の球を湿ったガーゼで包んだもの。乾球温度計と湿球温度計の示度の差を乾湿差といい、麹室の湿度の管理に使用される。乾湿差から計算あるいは表によって相対湿度を求めることができる。

甘蔗

かんしょ

さとうきびともいう。ラムの原料になる。また、搾汁から砂糖をとった残りの廃糖蜜は、原料用アルコールの原料になる。

含糖質物

がんとうしつぶつ

砂糖、糖蜜、蜂蜜のように、糖分その他の成分を含むもので、その含有糖分が主として利用されるものをいう。

乾熱殺菌

かんねつさっきん

加熱水蒸気を使わず、加熱空気による殺菌方法をいう。ガラス器具や金属製器具の殺菌はこの方法による。

甘味果実酒

かんみかじつしゅ

酒税法では、果実酒と甘味果実酒の2つの品目に区分され、次のように定義している。(イ)果実または果実と水を原料として発酵させたもの(ロ)果実または果実と水に、糖類を加えて発酵させたもの(ハ)上記(イ)または(ロ)の酒類に、糖類を加えて発酵させたもの(ニ)上記(イ)から(ハ)までの酒類に、ブランデー等(ブランデー、アルコール、果実を原料としたスピリッツをいう)または糖類、香味料、色素もしくは水を加えたもの。(ホ)(イ)から(ニ)までの酒類に植物を浸してその成分を浸出させるか薬剤を加えたもの、またはこれらの酒類にブランデー等、糖類、香味料、色素もしくは水を加えたもの。上記各項の果実酒類のうち、(イ)は果実酒に、(ホ)は甘味果実酒に区分される。また、(ロ)、(ハ)、(ニ)で糖類等を添加した果実酒類のうち、次のいずれかに該当するものは甘味果実酒に区分される。(1)アルコール分が15度以上のもの(2)砂糖、ブドウ糖、果糖以外の糖類を加えたもの(3)ブランデー等の混和割合が10%を超えるもの(4)色素を加えたものこの品目区分によると、シャンパンやワインに果汁等を混和して造るワインクーラーなどは果実酒に区分される。

生一本

きいっぽん

単一の製造場でつくられた純米酒をいう。自社の別の製造場でつくられた純米酒や他社でつくられた純米酒を混和したものは、生一本の表示はできない。

気化

きか

液体が気体になることをいう。

木香

きが

樽、桶、桶の蓋など木製の容器から酒につく杉材由来の匂い。

機械麹法

きかいこうじほう

引込みから出麹まで完全に自動化する全自動式と、引込みから盛りまで従来の床で操作し、盛り後の操作を自動化する半自動式がある。

機械製麹法

きかいせいきくほう

引込みから出麹まで完全に自動化する全自動式と、引込みから盛りまで従来の床で操作し、盛り後の操作を自動化する半自動式がある。

規格外米

きかくがいまい

水分が多い、被害粒、死米、着色粒などが混入しているなどのため、検査基準からはずれている水稲粳玄米のうち、異種穀粒や異物を50%以上含んでいないものをいう。

気化熱

きかねつ

液体が蒸発するときに必要とする熱量をいう。麹の温度は、麹菌の増殖によって上昇するが、蒸米を手入れするときに蒸発する水分の気化熱によって調節される。

木香様臭

きがようしゅう

醪の発酵が旺盛なときにアルコール添加をした場合など、上槽後に木香とよく似た香気を生ずることがあり、これを木香様臭という。本体は、アセトアルデヒドと推定されている。アルデヒド臭ともいう。

きき酒

ききざけ

酒の官能検査のこと。色・透明度を見て良否を判断し、香りを嗅ぎ、味をみて差を判断し(識別)、評価(格付け、数量化)することをいう。

利猪口

ききちょこ

清酒のきき酒に用いる容器。底に藍色の蛇の目模様を入れた白磁製容器で、きき酒には通常、容量200mlくらいのものが用いられる。試料を8分目くらい注いできき酒に供する。

危険率

きけんりつ

仮説が正しいのに仮説を棄てる比率(%)をいう。

黄麹菌

きこうじきん

麹菌のうち、胞子の色が黄、黄緑、黄褐色のものをいう。清酒、みそ、しょう油などの製造に利用される。

器差補正

きさほせい

浮ひょうの示度から真実の示度を差し引いた値を器差といい、浮ひょうの示度から器差を差し引いて真実の示度に補正することを器差補正という。浮ひょうなど計量器には必ず器差があるので、真実の示度を知るには器差補正が必要となる。(真実の示度)=(浮ひょうの示度)-(器差)

基質

きしつ

酵素が分解する相手の物質のことをいう。たとえば、α-アミラーゼの基質は澱粉である。

基質特異性

きしつとくいせい

酵素が働きかける基質は決まっている。たとえば、澱粉を分解するα-アミラーゼは、蛋白質を分解することができない。これを酵素の基質特異性という。

記述統計学

きじゅつとうけいがく

大量のデータを要約して記述することを目的にする統計学をいう。

貴醸酒

きじょうしゅ

汲水の一部を清酒におきかえて、米、米麹、水、清酒を原料にして製造した清酒。極めて濃醇甘口で、内容成分は普通清酒の1.5~2.0倍である。

基調香

きちょうか

清酒を空気中に放置したときに、残部に残る匂いをいう。燗冷ましの匂いでもある。

規定濃度

きていのうど

溶液1リットル中に溶質1グラム当量を含む溶液の濃度を1規定といい、1Nと書く。清酒の酸度を測定するときには、10分の1規定(0.1N)の水酸化ナトリウム(NaOH)を用いるが、この溶液は1リットル中にNaOHの10分の1グラム当量すなわち4グラムを含んでいる。

気曝法

きばくほう

水に溶解している第1鉄イオンを空気中の酵素に接触させて難溶性の第2鉄イオンに変え、濾過によって除く方法。

希薄もと

きはくもと

汲水量を多くして糖濃度を低くし、乳酸を添加して雑菌の汚染を防ぎ、櫂入れによって通気を行い、酵母を増殖させるもと。

帰無仮説

きむかせつ

統計的仮説検定のためにたてる仮説をいう。

生もと

きもと

昔からのやり方でつくる酒母で、物料を摺り潰す山卸し操作などの煩雑な操作方法によってつくられる。これを簡易化した酒母が、山卸廃止もと(山廃もと)である。

生もと系酒母

きもとけいしゅぼ

酒母中に乳酸菌を増殖させ、その乳酸菌の生産する乳酸によって雑菌の汚染を防ぎ、酵母を健全に増殖させる酒母をいう。育てもとともいい、生もと、山卸廃止もとなどが含まれている。

級別

きゅうべつ

清酒とウイスキー類に設けられていた税率区分のことで、それぞれ規格によって特級、一級及び二級の級別に区分されていたが、酒税法の改正によりこの制度は平成元年4月1日以降廃止された。

きょうかい酵母

きょうかいこうぼ

日本醸造協会で頒布している優良酵母をいう。清酒用酵母としては、きょうかい6号、7号、9号、10号、11号、12号、13号、14号及び泡なし酵母のきょうかい601号、701号、901号、1001号が主なものである。ブドウ酒用酵母もある。

凝固点

ぎょうこてん

液体が固体に変わることを凝固といい、凝固の始まる温度を凝固点という。

凝集沈殿法

ぎょうしゅうちんでんほう

洗米排水の処理など水の浄化法の一種で、ポリ塩化アルミニウム(PAC)とポリアクリルアミド(PAA)等の凝集剤により排水中の浮遊物質や溶解物質を凝集、沈殿させて浄化する方法をいう。

きょく子

きょくし

生の穀類を粗く砕いた粉を水で練り固め、煉瓦状・だんご状・円板状にしてカビなどを生やした中国の麹のことをいう。

キラー酵母

きらーこうぼ

生育過程で培地中にキラー毒素(キラートキシン)と呼ばれる物質を菌体外に排出して、他の酵母を殺す酵母のこと。キラー毒素によって殺される酵母を感受性酵母、また殺されもしないし他の酵母を殺しもしない酵母をニュートラル(中性)酵母という。

切返し

きりかえし

製麹中(せいきくちゅう)、床もみ後10~20時間たつと、麹菌が生育をはじめて温度が上がり、堆積米の内外で温度と水分が不均一になるために、堆積をもみほぐし混合して均一にするとともに、酸素を補う作業をいう。最近、切返しを省略して製麹する方法も行われている。

切返し機

きりかえしき

製麹中(せいきくちゅう)に、米の塊を砕き篩(ふるい)を通して米粒をほぐす機械。当初切返しの時に使用する機械としてこの名称が付けられたが、近ごろは労務事情などから切返し操作が早く行われるようになり、この時期にはまだ蒸米が軟らかくて使用できないため、実際には盛りの時期に使用することが多い。

切りばな

きりばな

呑切りの際に、貯蔵タンクの呑穴から出てくる清酒が発する香りのことで、貯蔵清酒の異常の有無を判定する一つの目安になる。

吟醸香

ぎんじょうか

吟醸酒に特有の芳香で、酢酸イソアミルやカプロン酸エチルなどのエステルが主体と考えられている。

吟醸酒

ぎんじょうしゅ

製法品質表示基準に定める特定名称の清酒の一つ。精米歩合60%以下の白米、米麹、水、またはこれらと醸造アルコールを原料として、吟醸造り(低温でゆっくり発酵させ、粕歩合を多くする方法)でつくられ、固有の香味および色沢が良好な清酒をいう。醸造アルコールを使わないで造った吟醸酒は純米吟醸酒、また、精米歩合50%以下の白米を原料にして造った吟醸酒で、固有の香味及び色沢が特に良好なものは大吟醸酒、さらに、醸造アルコールを使わないで造った大吟醸酒は純米大吟醸酒と称することができる。

空寸

くうすん

醪や酒などの容器の満量面から内在している液面までの深さをいう。

クエン酸

くえんさん

柑橘類(かんきつるい)に多く含まれる酸で、爽快な酸味をもっている。清酒中に含まれる有機酸の一つである。また、黒麹菌や白麹菌が生産する主要な酸である。

屑米

くずまい

澱粉の集積度が不十分な米で、しいな米(しいなまい)(籾殻ばかりで実がない米)、死米(しにまい)(澱粉集積度が30~60%で停止した米)、死青米(しにあおまい)、未熟米(澱粉集積度が60~90%)などが含まれる。精米のときに、砕けやすい。

下り酒

くだりざけ

江戸時代、江戸に送られてくる灘、大阪あたりの上方の酒をいい、下りものとも呼ばれた。

組合わせ

くみあわせ

n個の異なるものから、順序を考えずにr個とりだす選び方を、n個からr個を取り出す組合わせといい、その数をnCrと書き、次式によって計算する。nCr=n!/(r!(n-r))

汲掛け

くみかけ

酒母の仕込み後3~4時間して蒸米が膨らんできたときに、蒸米をつぶさないために荒櫂を入れず、その代わりに酒母の中央に穴を掘って汲掛け用枠(アルマイト製の円筒かあるいは木製の角筒で、枠の外側に蒸米を移し、液だけが内部に流入して溜まるように工夫された枠)を入れ、内部に溜った液を時々ひしゃくで外部の蒸米にふりかけて、温度の均一化と蒸米の溶解をはかる操作をいう。

汲出し四段

くみだしよだん

四段仕込みの一つの方法である。親桶に直接蒸米を投入しないで、醪の一部を枝桶に汲出してそれに蒸米を投入し、2~3日糖化させてから親桶に戻す方法をいう。現在はほとんど行われていない。

汲水

くみみず

酒母や醪の仕込みに使う水のことを汲水という。

汲水歩合

くみみずぶあい

総米重量に対する汲水(仕込水)量の割合のことで、%で表す。通常は留添までの総米(三段総米)の重量に対する汲水量の割合をいい、125~130%が普通である。汲水歩合=(留添までの仕込水(リットル)/留添までの総米(kg))×100また、酒母の汲水歩合とは、酒母の総米重量に対する汲水量の割合をいう。

クモノスカビ

くものすかび

リゾープス属に属するカビをいう。中国の麹の主要なカビである。

グラム当量

ぐらむとうりょう

酸の分子量を、水素イオンに変わり得る水素原子の数で割ったものを当量といい、これにグラムをつけたものをグラム当量という。塩基(アルカリ)の場合には、1分子中の水酸基の数で分子量を割ったものを当量いう。

栗香

くりか

出麹の頃になると発生する、蒸した栗、あるいは焼いた栗に似た香りのことをいう。

グリセリン脂肪酸エステル

ぐりせりんしぼうさんえすてる

蒸米の空気輸送や、製麹操作を容易にする目的で、蒸米のサバケを良くするために添加するエステル。

グルコアミラーゼ

ぐるこあみらーぜ

麹菌の糖化酵素。

グルタミン酸ナトリウム

ぐるたみんさんなとりうむ

アミノ酸塩の一種。グルタミン酸のナトリウム塩で、旨味を呈する。増醸酒製造用の調味アルコールに使用される。

クロール

くろーる

クロールイオンは酒母や醪中で、麹からの酵素の溶出を助ける働きをする。クロールの増強には食塩を加工する。

黒粕

くろかす

表面に黒または褐色の斑点の現れた酒粕をいう。発生原因は麹菌の生産する酸化酵素によるもので、これを防止するために褐変性の少ない麹菌を選ぶことが大切である。この防止にはビロ亜硫酸カリウムが用いられる。

黒麹菌

くろこうじきん

胞子が黒褐色をしている麹菌をいう。黒麹菌は、泡盛(あわもり)製造に用いられる。

ケーク濾過

けーくろか

一般に、懸濁物を含む液を濾材で濾過したときに、濾材の表面にケーク(かす)が堆積する濾過方法をいい、表面濾過ともいう。

珪藻土

けいそうど

珪藻類の遺骸が堆積して灰白色の地層になったもの。特に鉄などの不純物の少ないものを精製して、清酒の濾過に濾過助剤として用いる。

ケカビ

けかび

ムコール属に分類されるカビをいう。中国の麹にみられるカビ。

原エキス分

げんえきすぶん

醪液または清酒中に溶けている成分の総量で、醪液または清酒のエキス分とアルコールに変化したブドウ糖量を加えた量をいう。次式によって計算する。原エキス分(%)=エキス分(%)+アルコール分の度数×1.5894

原核生物

げんかくせいぶつ

DNAが核膜に包まれていない下等微生物をいう。細菌は原核生物である。

嫌気性菌

けんきせいきん

酸素があってもなくても生育する通性嫌気性菌(乳酸菌、大腸菌など)と、酸素があると生育しない偏性嫌気性菌(アセトン・ブタノール菌、ボツリヌス菌など)がある。

嫌気的発酵

けんきてきはっこう

酵母によるアルコール発酵、乳酸菌による乳酸発酵などのように、酸素を必要としない発酵をいう。

原形指数

げんけいしすう

精米した白米が、玄米の原形をどの程度残しているかを計る指数のことをいう。その指数は次式で計算する。指数は1に近いほどよい。原形指数LW=(白米の長さ/白米の幅)÷(玄米の長さ/玄米の幅)原形指数WT=(白米の幅/白米の厚さ)÷(玄米の幅/玄米の厚さ)

原形精米

げんけいせいまい

玄米の原形をとどめるように精米することをいう。

原材料名の表示

げんざいりょうめいのひょうじ

製法品質表示基準によれば、水を除いて、その清酒の製造に使用した原材料は、すべて酒税法に定める原材料名を用いて表示し、その順序は、米、米麹に次いで使用量の多い順に表示する。ただし、ブドウ糖、水あめを糖類と、乳酸、コハク酸などの有機酸を酸味料と、またグルタミン酸ナトリウムをグルタミン酸Naか調味料(アミノ酸塩)と表示しても良いことになっている。

原子

げんし

分子を構成している粒子をいう。

検尺口

けんしゃくこう

密閉タンクの上部に取り付けられた採尺のための小さな穴をいう。

原酒

げんしゅ

上槽後水を加えない酒をいう。製法品質表示基準では、アルコール分1%未満の範囲内で加水調整したものも含まれる。

検蒸

けんじょう

蒸きょうの終了直前に、蒸米をひねり餅にして蒸し上がりの具合を検査することをいう。

原子量

げんしりょう

炭素原子1個の重さを12としたときの、各原子の比較的な重さを原子量という。

元素記号

げんそきごう

原子を国際的な共通記号で表したものをいう。

検定

けんてい

酒類が製成されたとき、容器ごとに数量、アルコール分、エキス分などを税務職員が検査すること。検定は実測により行うのが原則であるが、多くの場合、製造者から検定に必要な事項を申告させ、これに基づいて検定する。統計的仮説検定とは異なる。

限定吸水

げんていきゅうすい

浸清中に白米が吸水し過ぎないよう時間を短縮し、白米の吸水を制限すること。吟醸酒をつくるときによく行う。

玄米

げんまい

稲の籾を脱穀し、さらに籾殻を除いたものを玄米という。

研米機

けんまいき

白米に付着している糖分を取り除く装置をいう。

原醪

げんもろみ

アルコールや調味アルコールなどを添加する前の醪をいう。

原料米の品種名の表示

げんりょうまいのひんしゅめいのひょうじ

製法品質表示基準によれば、その品種名の原料米の使用割合が50%をこえる場合に限り原料米の品種名を表示することがき、品種名とともに使用割合も表示することになっている。

原料用アルコール

げんりょうようあるこーる

酒税法では、スピリッツ類に該当する酒類で、酒類製造の原料として用いられる。清酒の製造方法の承認基準の一部改正により、昭和62酒造年度から清酒製造の原料用アルコールには、連続的蒸留機により製造されたアルコールのほか、米(米糖を含む)、米麹、清酒および清酒粕を原料とした焼酎乙類(自製酒か、委託製造および共同製造のものに限る)も含まれる。

高温短期型

こうおんたんきがた

醪の発酵型式の一つ。高温(20℃前後)で発酵させ、発酵期間を短くする。

高温短期速醸もと

こうおんたんきそくじょうもと

速醸もとの変形で、高温(25~30℃)で仕込む速醸もとのこと。

高温糖化もと

こうおんとうかもと

水、麹、蒸米を55~58℃に仕込み、この温度を5~8時間持続して糖化し、約40℃まで急冷してから乳酸を加え、さらに冷却を続けて25℃付近で酵母を添加して生育する酒母をいう。

公害対策基本法

こうがいたいさくきほんほう

国民の健康で文化的な生活を確保するために、国民の健康を保護し、生活環境を保全することを目的とした法律。

好気性菌

こうきせいきん

酢酸菌や枯草菌(こそうきん)のように、酸素がなければ生育しない菌。

好気的発酵

こうきてきはっこう

酸素を必要とする発酵をいう。

高級アルコール

こうきゅうあるこーる

ノルマルプロピルアルコール、イソブチルアルコール、イソアミルアルコールなど、分子中の炭素の数が3個以上のアルコールをいう。アルコール発酵の際、エチルアルコールに伴って生成され、エステルと共に酒類の香気成分を構成している。

高酸味酒

こうさんみしゅ

最近開発された新しいタイプの清酒で、酸味をつけるために、乳酸菌、黒麹菌、リゾープス菌などが利用される。

こうじ

一般的には殻類に麹菌やクモノスカビなどのカビ類を繁殖させたものをいい、カビ類が生産する酵素類を利用するために酒類の製造等に用いられる。その形状によりバラ麹と餅麹に大別される。酒税法の定義によると、澱粉質物(でんぷんしつぶつ)またはこれと澱粉質物以外の物品を混和したものにカビ類を繁殖させたもので、澱粉質物を糖化させることができるものをいう。清酒醸造に用いる麹は、蒸米に黄麹菌を繁殖させた米麹で、蒸米の溶解糖化を行うアミラーゼなどの酵素類と酵母の増殖発酵を進める栄養素等を酒母と醪に供給している。

麹エキス

こうじえきす

米麹に水を加えて55℃前後で糖化させた後、これを濾過して得られる液で、酵母などを培養するときの培地として用いられる。麹汁ともいう。

麹カビ属

こうじかびぞく

アスペルギルス属といわれ、醸造用の麹を造るときに用いられる。清酒麹用の黄麹菌、焼酎麹用の黒麹菌や白麹菌などが含まれる。

麹菌

こうじきん

わが国の醸造工業で使用している麹をつくる麹カビ属の糸状菌を総称して麹菌あるいは麹カビという。麹菌には、アスペルギルス・オリゼー(清酒、味噌、しょう油、みりんなどの麹に使用する)、アスペルギルス・タマリィ(たまり味噌、たまりしょう油の麹に使用する)、アスペルギルス・ソーヤ(しょう油の麹に使用する)、アスペルギルス・アワモリ(泡盛の麹に使用する)、アスペルギルス・ウサミ(焼酎の麹に使用する)などがある。

麹汁

こうじじる

アスペルギルス属といわれ、醸造用の麹を造るときに用いられる。清酒麹用の黄麹菌、焼酎麹用の黒麹菌や白麹菌などが含まれる。

硬質米

こうしつまい

酒造界では、白米が吸水しにくく、蒸米の手ざわりが硬く、醪中で溶けにくく、粕量が比較的多くなる傾向のある原料米を、一般に硬質米と言っている。

麹箱

こうじはこ

箱麹法で使用する製麹用の箱をいう。

麹ばな

こうじばな

新酒に特有の香りで、新酒ばなともいう。

麹歩合

こうじぶあい

1仕込みに使用する白米の総重量に対する、麹米の重量の割合(%)をいう。

麹蓋

こうじぶた

蓋麹法で製麹するときに用いる浅い小箱をいう。1枚当たり1.5~2kg盛る。

麹蓋法

こうじぶたほう

従来から行われて来た麹蓋を使用する製麹法をいう。現在では吟醸造りの製麹で採用されることが多い。麹蓋法ともいう。

麹米

こうじまい

麹につくる白米のことをいう。

麹室

こうじむろ

製麹のためにつくられた専用の部屋をいう。十分な保温と換気が重要な条件になる。

高縮麹

こうしゅくこうじ

硬くて破精込みのよくない麹のこと。酵素力が弱く醪で溶けにくくて粕の裏打ちの原因になる。蒸米が硬すぎるか、製麹中の蒸米の水分発散が過剰な場合などにできやすい。

硬水

こうすい

水中のカルシウムとマグネシウムの量を総体的に酸化カルシウム量で表した値。硬度の高い水を硬水といい、逆に低い水を軟水という。また、硬水中の硬度成分を取り除き軟水にすることを軟化という。

合成清酒

ごうせいせいしゅ

酒税法では、合成清酒とは、アルコール、焼酎、ブドウ糖、米、麦などを原料として製造した酒類で、清酒に似ているものと定め、使用できる米の重量はアルコール分20度に換算した場合の重量の5/100を超えないこととしている。

高精白米

こうせいはくまい

精米歩合の低い白米のこと。かつて尺貫法を採用していた時代に精米の程度を表すのに精白度が用いられていたが、これによると精米歩合の低いことは精白度の高いことに当たる。

酵素

こうそ

生物がつくる蛋白質の一種で、各種の化学反応の触媒をする。たとえば、α-アミラーゼや酸性プロテアーゼなど。

酵素(剤)仕込み

こうそ(ざい)しこみ

掛麹の一部を市販酵素剤で代替えして仕込む方法をいう。

酵素(剤)浸漬

こうそ(ざい)しんせき

酵素剤を白米の浸漬用水に溶解して浸漬けし、製成酒の香りを良くしようとするリパーゼ浸漬や、白米の吸水を良くしようとするセラーゼ浸漬がある。

酵素(剤)糖化四段

こうそ(ざい)とうかよだん

四段仕込みの一つの手段で、蒸米を市販酵素剤で糖化し、これを醪に投入する。

口中香

こうちゅうか

清酒を口に含み、すすりながら口中にまわし、鼻から息を出すときに、呼気と共に感じられる匂いをいう。口中香(こうちゅうか)、含み香(ふくみか)ともいう。

硬度

こうど

水中のカルシウムとマグネシウムの量を総体的に酸化カルシウム量で表した値。硬度の高い水を硬水といい、逆に低い水を軟水という。また、硬水中の硬度成分を取り除き軟水にすることを軟化という。

高分子物質

こうぶんしぶっしつ

澱粉はブドウ糖が多数つながってできており、蛋白質はアミノ酸が多数つながったものである。澱粉や蛋白質のように、小さい分子から構成されている大きい分子のことをいう。

酵母

こうぼ

菌類のなかで、普通は栄養細胞の出芽によって増えるものをいう。

酵母仕込み

こうぼしこみ

通常の酒母の代わりに、培養酵母(液状、泥状、固形、乾燥)を用いる仕込み方法をいう。酵母仕込み(こうぼしこみ)ともいう。

酵母純度

こうぼじゅんど

試料(酒母、醪)中の酵母100当たりに含まれる添加した培養酵母の数をいう。純度の検定にはTTC染色法またはβ-アラニン培地による方法が用いられる。

酵母密度

こうぼみつど

酒母や醪の1gあるいは1ml中に含まれる酵母の数をいう。

高梁酒

こうりゃんちゅう

中国の蒸留酒の一種。

糊化

こか

生の澱粉(β-澱粉(べーた-でんぷん))に水を加えて加熱すると、澱粉は膨潤して糊になり、酵素によって分解されやすくなる変化をいう。糊化ともいう。

呼吸

こきゅう

生物が酸素を用いて、ブドウ糖などの基質を炭素ガスと水にまで完全に酸化して、その際に生じるエネルギーを得る反応をいう。

ゴク味

ごくみ

各種の味が豊富で、しかもよく調和しているときに生じる充実感をいい、コク(酷)ともいう。

穀粒計

こくりゅうけい

米の粒数を測定する道具、ちょうど玄米粒が入る程度の大きさと形の溝が縦、横に10個計100個刻んであり、この上に米をのせて余分な米を取り除けば、100個の米粒を測りとることができる。穀粒計算器ともいう。

固形酵母

こけいこうぼ

純粋に培養した酵母を、遠心分離、圧搾、乾燥などの手段で脱水したものをいう。これに対して、液体培地に培養されたままの酵母を液状酵母という。

こしき

昔から米を蒸すために使用されている木製の桶。桶の底に甑穴(こしきあな)と呼ばれる穴があり、ここから蒸気が噴き上がって桶中の白米を蒸す。アルミニウム製もある。

甑肌

こしきはだ

蒸きょうの際に、甑に接している蒸米部分をいう。また、その部分が凝縮水を吸い軟らかくなくなりやすい状態になることをいうときもある。生じた軟らかい蒸米を肌めしという。

古酒

こしゅ

一般には、年月を経過し、熟成した酒のことで、前年度あるいはそれ以前に造った酒のことをいう。古酒と新酒の分け方は、酒造りが主に冬季だけ行われていた頃には火入れを分かれ目にし、上槽後火入れをしていない酒のことを新酒、火入れをし一定の貯蔵時間を経た酒のことを古酒と呼んでいたが、四季醸造など酒造りが長期化してからは、従来の酒造季節を基準にし、この酒造季節になってからできた酒のことを新酒、それ以前の酒造季節に造った酒のことを古酒と呼ぶか、あるいは、酒造年度を基準にし、この酒造年度に造った酒のことを新酒、それ以前の酒造年度に造った酒のことを古酒と呼んでいる。

個数計算

こすうけいさん

アルコール分、日本酒度、酸度など、成分値の個数(成分値×容量)に基づいて行う計算法をいう。醪へのアルコール、調味アルコールの添加や清酒の調合などの際、その成分値の変化を予測したり、添加量や調合割合等を決めるときに用いられる。たとえば、アルコール添加の場合、アルコール分について個数計算をすると次のようになる。醪(アルコール分Am%)Mリットルに添加用アルコール(アルコール分30%)Vリットルを添加したとき、添加後の醪のアルコール分をAs%とすると、添加前の醪と添加アルコールのアルコール分個数の和は添加後の醪のアルコール分個数に等しいので次の式が成り立つ。Am×M+30×V=As×(M+V)

枯草菌

こそうきん

強いα-アミラーゼを分泌する細菌の一種で、製麹中にこの菌が麹表面に増殖するとスペリ麹(ヌルリ麹)となる、納豆菌もこの中に入る。

コハク酸

こはくさん

乳酸とともに清酒中に最も多く含まれる有機酸である。旨味のある特有の酸味をもち、清酒の味を構成する重要な一因となっている。コハク酸ソーダは、貝汁の旨味成分といわれている。

古米

こまい

米殻年度(11月~10月)が前年度の産米をいう。

古米臭

こまいしゅう

米が古くなると現われる臭いで、脂肪酸およびその分解物の臭いと考えられている。

古米酒臭

こまいしゅしゅう

古米を使って造った清酒に発生する特有の臭いで、熟成とともに強くなる。その本体は、ジメチルサルファイドといわれている。

米置き

こめおき

蒸米をつくるために、甑の中に浸漬した白米を入れる(張り込む)ことをいう。

米糠

こめぬか

玄米を精米する工程で、精米歩合90%位まで出てくる糠を赤糠(あかぬか)、85%位までを中糠(ちゅうぬか)、75%程度のものまでを白糠(しろぬか)、これ以下の部分を特上糠(とくじょうぬか)または特白糠(とくしろぬか)という。

こもかぶり

こもかぶり

運搬中の酒樽の荷扱いをやりやすくするため、樽をこもで包みなわをかけたのがはじまりで、のちに装飾がほどこされるようになった。

混合指示薬

こんごうしじやく

ブロムチモール・ブルー(BTB)とニュートラル・レッド(NR)をアルコールに溶かした溶液で、清酒などの酸度を測定するときに用いる。淡緑色となったところが中和点(pH7.2付近)を示す。

混成酒

こんせいしゅ

リキュールやカクテルのこと。

細菌

さいきん

単細胞の顕微鏡的な微生物で、分裂によって増殖するものをいう。

細菌酸度

さいきんさんど

水、麹、酒母、醪などの生酸菌汚染の程度を知るために、これらの一部をとってYAS培地で養し、培養液を10分の1規定水酸化ナトリウム溶液で滴定し、培養液10ml当たりの滴定数を細菌酸度とする。醸造用水、麹、酒母および醪では1ml以下が普通で、2ml以上であれば生酸菌による汚染を示す。

採点法

さいてんほう

清酒をきき酒して、その特性や品質の程度を、1~3点、1~5点、-3~+3点などの尺度で採点する方法。

サエ

さえ

清酒の透明さのことをいう。サエが悪いとは、濁った状態のこと。

酒袋

さかぶくろ

木綿製またはナイロン、テトロン、ビニロンなどの化学繊維製の袋で、醪を入れて搾る。普通は9リットル容が多い。搾り袋(しぼりぶくろ)ともいう

酢酸

さくさん

食酢の主成分。次の反応式によって、酢酸菌が生産する。CH3CH2+O2→CH3COOH-H2Oエチルアルコール+酸素→酢酸+水

酢酸菌

さくさんきん

エチルアルコールを酸化して、酢酸を生成する細菌を酢酸菌と総称する。

酢酸発酵

さくさんはっこう

食酢の主成分。次の反応式によって、酢酸菌が生産する。CH3CH2+O2→CH3COOH-H2Oエチルアルコール+酸素→酢酸+水

酒粕

さけかす

酒醪をこした(上層した)ときに分離される固形分のことで、清酒醸造の副産物である。清酒粕または単に粕ともいう。

酒の五味

さけのごみ

酒の味を構成する要素で、甘味、酸味、辛味、苦味、渋味の五つの味をいう。五味の調和がよくとれている酒がよいとされている。なお、甘味、酸味、鹹味(塩から味)、苦味、旨味は人間の味覚に感じる最も基本的な味で五原味または五基本味といい、辛味、渋味は口中の粘膜を刺激する温覚、痛覚が加わった味と言われている。

サッカロミセス属

さっかろみせすぞく

酵母の分類上の属の一つ。清酒酵母、焼酎酵母などの酒造用酵母が属する。

殺菌剤

さっきんざい

酒造用殺菌剤として使用される薬剤の主なものには、過酸化水素、逆性石けん、次亜鉛素酸ナトリウム、ヨード剤、ホルマリンなどがあり、それぞれ適した用途に使用される。

雑酒

ざっしゅ

酒税法では、清酒、合成清酒、焼酎、みりん、ビール、果実酒類、ウイスキー類、スピリッツ類、リキュール類のいずれにも属さない酒類をいうと定めており、発泡酒、粉末酒、その他の雑酒の3品目(ひんもく)に分かれている。

雑味

ざつみ

清酒の味のうち、きたない味(きれいな味の反対)のことをいう。苦渋味成分が主体と考えられている。

さん

水に溶かすと水素イオン(H+)を生じる物質をいう。

酸化

さんか

物質が酸素と化合するか、水素を奪われるか、あるいは、電子を失う反応をいう。

酸性カルボキシペプチダーゼ

さんせいかるぼきしぺぷちだーぜ

蛋白質やペプチドに作用し、アミノ酸を生産する酵素。

酸性プロテアーゼ

さんせいぷろてあーぜ

蛋白質を分解して、2~20個ほどのアミノ酸が結合したペプチドを生成する酵素。ただし、アミノ酸は生成しない。

酸性リン酸カリウム

さんせいりんさんかりうむ

発酵を助成し、健全な醸造を期するために、仕込水や醸造工程中に加える物質で、乳酸、食塩、酸性リン酸カリウム、酸性リン酸カルシウム、リン酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウムなどがある。

酸性リン酸カルシウム

さんせいりんさんかるしうむ

発酵を助成し、健全な醸造を期するために、仕込水や醸造工程中に加える物質で、乳酸、食塩、酸性リン酸カリウム、酸性リン酸カルシウム、リン酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウムなどがある。

三増酒

さんぞうしゅ

三倍増醸酒の略称。すなわち増醸酒のこと。

三段仕込み

さんだんしこみ

清酒醪では、1仕込みを三段階に分けて順次仕込み、それぞれ初添(添仕込み)、仲添(仲仕込み)、留添(留仕込み)という。

産地名の表示

さんちめいのひょうじ

製法品質表示基準によると、その清酒がつくられ、しかも容器に詰められた地名をいい、よそでつくられた清酒を混和したものや、よそに持っていって容器に詰めたものには産地名の表示はできない。産地名には、県、市、町など行政区画上の名称ほか、旧国名や地名で一般によく知られている名称も含まれる。

3-DG

さんでぃーじー

3-デオキシグルコソンの略称。アミノ・カルボニル反応の中間生成物で、清酒の熟成に関係が深い。

3点法

さんてんほう

酒AとBに差があるかどうかを知りたいとき、A(またはB)を2個、B(またはA)を1個提示して、半端(はんぱ)試料(1個の試料)を指摘させる方法をいう。

酸度

さんど

清酒10mlを中和するに要する10分の1規定水酸化ナトリウム溶液の滴定ml数をいう。

酸敗

さんぱい

清酒醪中に乳酸菌が増殖し、酸度が異常に多くなり、香味が悪くなること。

三倍増醸

さんばいぞうじょう

米、米麹、水のほか、原料用アルコール、ブドウ糖、水あめ、コハク酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、グルタミン酸ナトリウム、清酒を原料とする清酒の製造方法の一種。同量の原料米を用いた場合、純米酒の約3倍量の清酒ができるところからこの呼称がついた。

散布図

さんぷず

多数の試料について2種類の測定値xとyがあるとき、一方の軸にxをとり、他の軸にyを目盛って、各試料をその平面上に打点した図をいう。

酸味料

さんみりょう

清酒製造の原料として用いられる乳酸、コハク酸、クエン酸及びリンゴ酸のこと。これらの有機酸の表示方法は個別の名称に代え酸味料としてもよいことになっている。

高泡が落泡になり、玉泡になってこの玉泡も消えて、醪の表面が現れたとき、地になったという。

COD

しーおーでぃ

化学的酸素要求量の略称で、水の有機物による汚染の程度を表す指標の一つである。

紫外部吸収

しがいぶきゅうしゅう

清酒に波長280nmの光にあて、その吸光度を測定して得られる値。清酒中の芳香族アミノ酸(チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン)量の指標になり、清酒のアミノ酸量、着色度、緩衝能などと関係が深い。市販清酒では2.0~6.5程度でかなり幅がある。

仕込み

しこみ

水麹に蒸米を投入混和し、予定温度にする操作をいう。

仕込蔵

しこみぐら

醪の発酵を行う場所。仕込室(しこみしつ)、発酵室(はっこうしつ)ともいう。

仕込総米

しこみそうまい

醪1仕込みに使用する白米総重量のことで、仕込総米ともいう。四段掛けをする場合は四段用の白米も含み、留添までの白米総重量を三段総米ともいう。醪の仕込配合において酒母、初添、仲添及び留添の各白米総重量をそれぞれ酒母総米、添総米、仲総米および留総米と呼ぶ。

仕込タンク

しこみたんく

醪の発酵に使用するタンクのこと。

仕込の大きさ

しこみのおおきさ

醪1仕込みに使用する原料白米の総重量(総米量)で表す。

仕込配合

しこみはいごう

醪1仕込に要する原料の配合を示したもの。使用する白米、水、アルコールの量を、酒母、添、仲、留、四段などの区分に分け、さらに総米(麹米と掛米の計)、麹米、蒸米(掛米)、汲水に分けて示す。

脂質

ししつ

加水分解すると脂肪酸を遊離する生体物質の総称。

地酒

じしゅ

鹿児島、宮崎地方では、赤酒のことを地酒という。

糸状菌

しじょうきん

糸状菌のこと。菌糸と呼ばれる細長い細胞からなり、葉緑素をもたない微生物に対する俗称である。

下呑

したのみ

タンクの側面の底部に近い部分には、液を出し入れするための穴が上下2個あって、これを呑穴(のみあな)といい、上の呑穴を上呑、その下の呑穴を下呑(したのみ)という。

失活

しっかつ

熱などにより、酵素蛋白質が変性して、酵素が本来の触媒機能を失うこと。

湿気麹

しっけこうじ

握った時の手ざわりが非常に軟らかく湿気が感じられる麹をいう。水分の多いバカ破精型の麹で酵素力は弱い。蒸米が軟らかすぎるか、製麹中の蒸米の水分発散が少なすぎる場合などにできやすい。多湿麹とも言う。

湿度

しつど

空気の湿度は、絶対湿度または相対湿度で表す。

湿熱殺菌

しつねつさっきん

加熱水蒸気によって殺菌する方法。培地の殺菌はこの方法による。

地伝酒

じでんしゅ

赤酒と同種の酒を、島根地方では地伝酒という。

死米

しにまい

澱粉粒が充実していないで粉状質をしており、やせて光沢がない米粒。

脂肪

しぼう

脂肪酸とグリセリンの化合物をいう。玄米中に約2%含まれているが、胚芽や表層部に多いので、精米によって減少する。

脂肪酸

しぼうさん

グリセリンと結合して脂肪をつくる有機酸(カルボキシル基を一個もつもの)を、特に脂肪酸という。脂肪酸のうち、オレイン酸、リノール酸のように不飽和結合をもつものを不飽和脂肪酸といい、パルミチン酸、ステアリン酸のように不飽和結合を持たないものを飽和脂肪酸という。

搾る

しぼる

上層を行うこと。

仕舞仕事

しまいしごと

仲仕事後6~7時間後に麹の品温を調節するために行う操作。

紹興酒

しゃおしんちゅう

中国淅江省の紹興近辺を主産地とする中国の代表的な醸造酒(黄酒)で、粳米と餅麹(酒薬、麦麹)を原料として造られる。

従量税

じゅうりょうぜい

酒類にたいして酒税を課するときの計算のもとになるものをいう。従量税の課税標準は、酒造場からの移出数量であり、輸入酒の場合には、輸入する数量である。

重量パーセント

じゅうりょうぱーせんと

ある物質100g中に含まれている特定の物質のg数をいう。

酒化率

しゅかりつ

使用白米に対する製成清酒の割合をいう。酒化率を示すには、肉垂れ歩合、白米1,000kg当たり純アルコール数量、アルコール収得歩合、原エキス収得率などが用いられる。

酒精度浮ひょう

しゅせいどふひょう

アルコール分を測定するための浮ひょう。アルコールメーターとも呼ばれる。

酒税法

しゅぜいほう

酒類の定義、製造免許、販売免許、納税義務、課税標準と税率、申告・納付、製造者の義務など、酒類製造に関する基本的な事項を規定する法律である。

酒造好適米

しゅぞうこうてきまい

醸造用玄米のこと。清酒醸造に適した米というところから、業界では酒造好適米と呼んでいる。一般に、大粒で心白粒が多く、蛋白質含量が少なくて、麹がつくりやすく酒母や醪で酵素作用を受けやすい米である。

酒造年度

しゅぞうねんど

その年の7月1日から、翌年の6月30日までを1酒造年度とする。BYと略記する。

酒造用水

しゅぞうようすい

通常、酒造りから出荷までに用いるすべての水。

酒母

しゅぼ

醪の発酵のもとになる酵母を培養したもので、もとともいう。酒税法の定義によると、酵母で含糖質物を発酵させることができるもの及び酵母を培養したもので含糖質物を発酵させることができるもの並びにこれらに麹を混和したものをいい、製薬、製パン用、しょう油製造用などの用途に供するものは除かれる。清酒醸造の場合には、蒸米、米麹及び水の混合物に多量の清酒酵母を培養したものをいい、乳酸を十分量に含み醪の発酵をつかさどる根源となる。生もと系酒母と速醸系酒母に大別される。

酒母麹

しゅぼこうじ

酒母に用いる麹のこと。

酒母省略仕込み

しゅぼしょうりゃくしこみ

通常の酒母の代わりに、培養酵母(液状、泥状、固形、乾燥)を用いる仕込み方法をいう。酵母仕込み(こうぼしこみ)ともいう。

酒母の枯らし

しゅぼのからし

精米から醪の仕込みまでの工程でできた中間生成物が次の工程で使用されるまで放置される状態をいう。(1)精米後の白米を紙袋に入れたりホッパーに移すなどして使用時まで放置することを白米の枯らしといい、この間を白米の枯らし期間という。米粒内の水分分布を均一にし、室温と湿度になじませることを目的としている。枯らし期間は精米歩合にもよるが、7~20日くらいとする。(2)出麹(でこうじ)後1日ほど放置してから仕込みに使用することを出枯らしという。枯らし中はうすく拡げて乾燥させる。(3)酒母のもと分け(丸冷まし)から使用時(もと卸し)までを酒母の枯らしといい、その間を酒母の枯らし期間という。酒母の種類等にもよるが、普通速醸酒母では5~7日くらいが適当である。

酒母歩合

しゅぼぶあい

次式によって求める。酒母歩合=(酒母用総米(kg)/留までの総米(kg))×100

酒母四段

しゅぼよだん

製成酒に濃醇な味をつけるために、酒母を四段として醪の末期に添加する方法をいう。現在はあまり行われていない。

酒類

しゅるい

酒税法では、「アルコール分1度以上の飲料」を酒類と定義している。

酒類業組合法

しゅるいぎょうくみあいほう

「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」の略称で、酒税の保全と酒類業界の安定のため酒税の確保と取引の安定をはかることを目的とする法律。清酒の製法品質表示基準はこの法律に基づいて定められている。

純アルコール垂れ歩合

じゅんあるこーるたれぶあい

醪中の純アルコールが、上層後にどれほど清酒中の純アルコールとして得られたかを示す歩合であって、次式によって求める。純アルコール垂れ歩合(%)=((清酒純アルコールリットル数)-(原料清酒純アルコールリットル数)/(上層前醪純アルコールリットル数)(原料清酒純アルコールリットル数))×100

純粋培養

じゅんすいばいよう

目的とする微生物(単一の菌株)だけを増殖させること。

純米吟醸酒

じゅんまいぎんじょうしゅ

製法品質表示基準に定める特定名称の清酒の一つ。精米歩合60%以下の白米、米麹(麹歩合15%以上使用すること)、水を原料として吟醸造り(低温でゆっくり発酵させ、粕歩合を多くする方法)で造られ、固有の香味及び色沢が良好な清酒をいう。

純米酒

じゅんまいしゅ

製法品質表示基準に定める特定名称の清酒の一つ。白米、米麹(麹歩合15%以上使用すること)、水を原料としてつくられる清酒で、香味及び色沢が良好なものをいう。また最も高い精米歩合を表示することになっている。

純米大吟醸酒

じゅんまいだいぎんじょうしゅ

製法品質表示基準に定める特定名称の清酒の一つ。精米歩合50%以下の白米、米麹(麹歩合15%以上使用すること)、水を原料として吟醸造り(低温でゆっくり発酵させ、粕歩合を多くする方法)で造られ、固有の香味及び色沢が特に良好な清酒をいう。

順列

じゅんれつ

n個のものを1列に並べる並べ方をいう。

蒸気殺菌

じょうきさっきん

加熱水蒸気によって殺菌する方法。培地の殺菌はこの方法による。

蒸きょう

じょうきょう

米を蒸すこと。蒸しともいう。

硝酸塩

しょうさんえん

硝酸イオン(NO3-)と金属イオン(カリウム、ナトリウムなど)が結びついたものをいう。

硝酸カリウム

しょうさんかりうむ

KNO3で示される化合物。生もと系酒母では、早湧きを防止する目的で、硝酸カリウムを酒母の仕込水に加工することがある。

硝酸還元菌

しょうさんかんげんきん

水中の硝酸を還元して亜硝酸をつくる細菌をいう。生もと系酒母では、この作用によって生成した亜硝酸が酒母の早沸きを防止する。

上槽

じょうそう

醪を圧搾濾過して、清酒と清酒粕に分離する操作をいい。あげふねともいう。最近は自動醪圧搾機が普及しているが、昔は酒袋(さかぶくろ)に醪をつめて、槽(ふね)の中にならべて搾った。その操作は次のようである。まず、醪を酒袋(5~9リットル入り)につめ、槽(ふね)の中に並べて積む。この間に、最初に出てくる白く濁った清酒を荒走り(あらばしり)という。槽が袋でいっぱいになると、槽の上にカサ枠を乗せて、さらに酒袋を積む。積み終わってから3時間くらいは、自らの重さできれいな酒が自然に出てくる。この間を水槽(みずぶね)という。積み上げた酒袋の高さが低くなってくると、カサ枠を取り除き、押蓋(おしぶた)と枕木をのせて圧搾を始める。これを押槽(おしぶね)という。翌日、酒袋を積み替えて(袋直し、槽直し)再び圧搾する(責槽(せめぶね))。責槽から出る酒を責め(せめ)といい、また荒走り後責め(せめ)より前に出る酒を中垂れ(なかだれ)という。

醸造アルコール

じょうぞうあるこーる

清酒の原料として使用されるアルコールのこと。清酒の原料用アルコールは澱粉質物や含糖質物を発酵させ蒸留してつくられるアルコールのみで、合成アルコールなどはいっさい使われていないことから、製法品質表示基準では醸造アルコールと呼び明確に区別している。

醸造酒

じょうぞうしゅ

清酒、ビール、ワインなどのように発酵させたものをそのまま、または、こして飲む酒類をいう。

醸造用玄米

じょうぞうようげんまい

清酒製造用として提供される米で、農産物検査法により一般の水稲うるち米とは別個の規格(検査基準)が定められている。特上から3等までと等外の6段階の等級に格付けされていて、代表的な品種としては、山田錦、五百万石、美山錦、八反錦1号などがある。

焼酎

しょうちゅう

酒税法によると、焼酎はアルコール含有物を蒸留した酒類で、連続式蒸留機で蒸留したアルコール分36度未満の焼酎甲類(ホワイトリカー)と、単式蒸留機で蒸留したアルコール分45度以下の焼酎乙類(本格焼酎)の2つの品目に分けられ、いわゆるウイスキー、ブランデー、ウオッカ、ジン、ラムなどは除かれる。また、アルコール分が26度未満であれば、エキス分2度未満の範囲内で白砂糖、酒石酸、クエン酸を加えることができ、また、通算で1年未満の期間内であれば、かし樽など木製の容器に貯蔵してもよいことになっている。焼酎乙類では、泡盛を除いて、主原料(麹用以外の原料)の種類により米焼酎、いも焼酎(さつまいも)、麦焼酎、そば焼酎などと呼称される。

消毒剤

しょうどくざい

殺菌剤に同じ。

承認基準

しょうにんきじゅん

アルコール添加酒(普通醸造酒)や増醸酒を製造する場合の承認の取り扱いについて規定したもので、アルコール使用限度数量、増醸酒用原料白米の使用割合(増醸割合)および米以外の原料の酒類と使用量などに制限が設けられている。上記の清酒の製造に当たっては、あらかじめ所轄税務署長の承認を受けなくてはならないが、この基準に当てはまる場合に限り承認を受けることができる。

上面酵母

じょうめんこうぼ

発酵の後半になっても、菌体が液面に浮き上がっている酵母。

蒸留酒

じょうりゅうしゅ

焼酎、ウイスキー、ジンなどのように、発酵させたアルコール含有物を蒸留した酒類をいう。

触媒

しょくばい

酵素などのように、自分自身は変化しないで、他の物質の変化や化学反応を促進させるもの。

食品衛生法

しょくひんえいせいほう

食品に起因する食品衛生上の危害を防止し、公衆衛生の向上および増進に寄与することを目的とした法律。

食品添加物

しょくひんてんかぶつ

食品衛生法によれば、食品の製造の過程で、または食品の加工や保存の目的で、食品に添加したり混和するなどの方法によって使用するものをいう。

食糧管理法

しょくりょうかんりほう

主食である米の必要量を確保することや、米の需給調整など米の管理について規定した法律。この法律に代って平成7年11月1日から新食糧法が施行された。

除酸

じょさん

清酒の酸度を減少させること。

除酸剤

じょさんざい

清酒の除酸のために使用が許可されている物質には、アンモニア、炭酸ナトリウム、重曹、炭酸カリウム、炭酸カルシウムがある

白麹菌

しろこうじきん

南九州の本格焼酎の製造に広く使用されている菌で、黒麹菌の変異株といわれている。

白酒

しろざけ

蒸米、米麹を焼酎とともに仕込み、約1ヶ月ほど熟成させた後、醪をすり潰したもの。雛祭りに用いられる。

白糠

しろぬか

玄米を精米する工程で、精米歩合90%位まで出てくる糠を赤糠(あかぬか)、85%位までを中糠(ちゅうぬか)、75%程度のものまでを白糠(しろぬか)、これ以下の部分を特上糠(とくじょうぬか)または特白糠(とくしろぬか)という。

白糠四段

しろぬかよだん

吟醸用白米などの精米時に発生する白糖を蒸煮して醪に投入する四段仕込法をいう。

白ボケ

しろぼけ

火入れした清酒は、程度の差はあっても、貯蔵中に次第に透明度が悪くなってくるのが普通で、極端な場合には白濁する。これを蛋白混濁あるいは白ボケという。その原因は、麹がつくる酵素(主に糖化酵素)が火入れによって変性し、貯蔵中に凝固してくるためと考えられる。火落菌による混濁と外観は似ているが、蛋白混濁の場合は、加温すると消失し、冷却すれば再び濁る点が異なる。

白ワイン

しろわいん

原料として白系または黒系のブドウを用いる。ブドウを圧搾して果汁のみを発酵させたワイン。辛口から甘口まであり、色調も淡黄色から濃黄色まである。

新MG染色法

しんえむじーせんしょくほう

新MG染色液を使って、精米の良否・巧拙を判定する方法。

真核生物

しんかくせいぶつ

DNAが核膜に包まれている高等微生物をいう。カビと酵母は真核生物である。

真空度

しんくうど

ビン詰製品のビン内圧力(減圧の程度)を真空時計で測定して得られた値。ビン詰製品の王冠の品質、打栓の適否等を判定する指標になる。1.8リットルビンでは40~60であれば良好である。

新酒

しんしゅ

古酒に対する言葉で、その年に造った酒のことであり、狭い意味ではその年にとれた新米で造った酒をいう。まだ熟成が進んでいないため特有な香り(新酒香)がする。

新酒香(新酒ばな)

しんしゅか(しんしゅばな)

新酒に特有の香りで、麹ばなともいう。燗をすると強く感じられる。

新食糧法

しんしょくりょうほう

従来の食糧法(食糧管理法)に代わって平成7年11月1日から施行された「主要食糧の需給及び安定に関する法律」のこと。

真精米歩合

しんせいまいぶあい

通常の精米歩合は、糖部に移行した砕米を白米重量に加算していないので、真実の精米歩合より低い値になるために見掛け精米歩合といわれている。この欠点を除くために考えられた歩合で、次式により求める。真精米歩合(%)=(白米整粒1000粒の重量g/玄米整粒1000粒の重量g)×100

浸漬

しんせき

白米に吸水させるために、浸漬用水の中に白米を漬けること。

浸漬米吸水率

しんせきまいきゅうすいりつ

次式によって求める。吸水率(%)=((浸漬後の重量kg-白米の重量kg)/白米の重量kg)×100

新陳代謝

しんちんたいしゃ

生物体が生存するために必要な物質を体内に取り入れ、用ずみとなった古い物質を体外に出す現象。

心白米(粒)

しんぱくまい(りゅう)

米粒の中心部に、円形あるいは楕円形の白色不透明部分のある米をいう。心白部は澱粉粒が粗くつまっていて軟らかい。一般に大粒米に多く、吸水しやすく、麹につくると破精込み(はぜこみ)が良く、糖化されやすいので酒造米として歓迎される。

水質汚濁防止法

すいしつおだくぼうしほう

工場および事業場から排出される水の排出を規制して、公共用水域の水質の汚濁を防止するための法律。

水素イオン濃度

すいそいおんのうど

溶液の酸性・アルカリ性の程度を示す数値で、pHと略記する。pH7が中性で、数値が7より小さければ酸性、大きければアルカリ性である。市販清酒のpHは、4.2~4.7の範囲にある。

推測統計学

すいそくとうけいがく

少数のデータから母集団の性質を推定することを目的とする統計学。R.A.フィッシャーによって創始された。

水道法

すいどうほう

公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与するため、清浄で豊富低廉な水を供給することを目的とした法律。水道水の水質基準を規定している。

水分活性

すいぶんかっせい

食品や培地が周囲の空気と平衡状態にある時の相対湿度(%)を100で割った値に相当し、次の式により表される。水分活性=食品の水蒸気圧/その温度での最大蒸気圧水分活性は1以下の値をとり、1に近いほど微生物が利用できる自由水が多いことを示す。

水分調湿

すいぶんちょうしつ

蒸米吸水率を制御するために、洗米前の白米の水分を調節する方法をいう。

筋泡

すじあわ

泡なし酵母を除いて、普通の酵母の場合には、糖化と発酵が進むにつれて泡の状態がいろいろに変化する。留め仕込後2~3日経つと、醪の表面に数本の泡の筋が現れる。これを筋泡(すじあわ)という。さらに1~2日経つと、白くて軽い泡が前面に広がる。これを水泡(みずあわ)という。水泡をすぎると、泡は次第に高くなって岩のような形になってくる。これを岩泡(いわあわ)という。岩泡からさらに泡が高くなった状態を高泡(たかあわ)という。高泡が次第に低くなる時期を落泡(おちあわ)という。泡が落ちるとシャボン玉のような泡が残り、これを玉泡(たまあわ)という。玉泡が消えて醪の表面が現れた状態を地(じ)という。地の状貌には種々あり、醪の表面に何も浮かんでいないときは坊主(ぼうず)、薄い皮が浮かんでいるときはチリメン泡あるいは薄皮(うすかわ)、米粒が厚く浮かんでいるときは厚蓋(あつぶた)、飯蓋(めしぶた)などという。

スッポン仕込

すっぽんしこみ

醪の添仕込みのときは物料が少ないために、大容量の親桶に直接仕込むと保温に不安がある。そこで、昔は小容量の添桶(そえおけ)に仕込むのが普通であった。しかし最近では、添の仕込みから親桶に仕込むことが多く、これをスッポン仕込みという。

砂濾過法

すなろかほう

砂、砂利(じゃり)、小石を利用した水の浄化方法。通常は気曝方に続いて用いられる。

スピリッツ類

すぴりっつるい

酒税法の定義によると、清酒、合成清酒、焼酎、みりん、ビール、果実酒類、ウイスキー類を除く酒類で、エキス分が2度未満の酒類をいい、スピリッツと原料用アルコールの2つの品目に区分している。

スベリ麹

すべりこうじ

麹の表面に枯草菌が増殖して、麹の表面がすべるような感じを与えたり、粘ったり、握ると団子になったりする麹をいう。麹菌の増殖が不良で、破精込みも悪いものが多く、良い酒はできない。粘り麹、ヌルリ麹ともいう。

炭臭

すみしゅう

精製の不十分な不良炭素を使用したとき、保管状態の悪い炭素を使ったとき、または炭素の使用量が多いときなどにつく臭い。

素濾過

すろか

清酒等の濾過で活性炭を加えないで濾過すること。

生化学的酸素要求量

せいかがくてきさんそようきゅうりょう

生物化学的酸素要求量の略称で、水の汚染度を示す指標の一つ。水中の有機物が微生物によって資化され、水や炭酸ガスになるまでに必要な酸素量をいう。

製麹

せいきく

麹をつくること。

生酸菌

せいさんきん

酒母や醪中で酸を生成する細菌の総称であるが、その大部分は乳酸菌である。水、麹、酒母、醪などの生酸菌による汚染の程度を知るために、生酸菌の検出や細菌酸度を測定する方法がある。

清酒業安定法

せいしゅぎょうあんていほう

「清酒製造業に関する特別措置法」の通称。

清酒の製造方法の承認基準

せいしゅのせいぞうほうほうのしょうにんきじゅん

アルコール添加酒(普通醸造酒)や増醸酒を製造する場合の承認の取り扱いについて規定したもので、アルコール使用限度数量、増醸酒用原料白米の使用割合(増醸割合)および米以外の原料の酒類と使用量などに制限が設けられている。上記の清酒の製造に当たっては、あらかじめ所轄税務署長の承認を受けなくてはならないが、この基準に当てはまる場合に限り承認を受けることができる。

清酒の製法品質表示基準

せいしゅのせいほうひんしつひょうじきじゅん

酒類業組合法に基づき、清酒の製法品質についての表示の基準を規定したもので、平成2年4月1日から適用されている。この表示基準は、(1)特定名称の清酒の表示(2)記載事項の表示(3)任意記載事項の表示(4)表示禁止事項の4項目から成っている。

清酒歩合

せいしゅぶあい

原料白米100kgから製成した清酒のリットル数をいう。原料に清酒を使用したときは、これを差し引く。アルコールの添加量が多ければ清酒歩合も高くなる。%をつけて呼んでもよい。清酒歩合=((清酒リットル数-原料清酒リットル数)/白米kg数)×100

整蒸器

せいじょうき

ボイラーからの直接蒸気の蒸気圧を調節し、蒸気中に混入している鉄分を除去するための装置で、装置内の水の中に直接蒸器を吹き込んで再蒸発させる。

製造物責任法

せいぞうぶつせきにんほう

製造物の欠陥により、人の生命または財産に被害が生じた場合の製造業者等の責任について定め、被害者の保護を図るために制定された法律で、PL法とも呼ばれる。平成7年7月1日以降製造業者等から引き渡される製造物に対して適用されている。

清澄法

せいちょうほう

清酒の白ボケ(蛋白混濁)による商品価値の低下を防止するために、ビン詰前に滓となる成分を沈降させる操作を滓下げという。滓下げの方法には、柿渋(かきしぶ)などを使う物理的清澄法と蛋白分解酵素を使う酵素的清澄法があり、清澄の目的に使用する物質を滓下げ剤という。

製法品質表示基準

せいほうひんしつひょうじきじゅん

清酒の製法品質表示基準

精米

せいまい

玄米の表層部には清酒製造に悪影響を与える蛋白質・脂質・灰分・ビタミン類が多く存在する。そこで、これらを取り除く必要があり、この操作を精米という。精米することを米をみがくともいい、また、精米歩合を低くすることを米を白くするともいう。

精米欠減

せいまいけつげん

精米終了後の白米、砕米、糖の重量の和は、最初の玄米の重量より少なくなるのが普通である。この差をいう。

精米欠減歩合

せいまいけつげんぶあい

玄米重量に対する精米欠減の割合をいう。

精米歩合

せいまいぶあい

精米の程度を示す歩合。精米歩合(%)=(精米後の白米kg数/精米前の玄米kg数)×100真精米歩合に対して見掛け精米歩合ともいう。

整粒

せいりゅう

粒形が完全で、被害粒、死米、異種殻粒および異物を除いたもの。健全粒または完全粒という。

絶対湿度

ぜったいしつど

湿度の表し方の一つで、乾燥した空気1m3中に含まれる水蒸気の重量(g数)で表す。

責め

せめ

責槽(せめぶね)から出る酒をいう。

責槽

せめぶね

醪を圧搾濾過して、清酒と清酒粕に分離する操作をいい。あげふねともいう。最近は自動醪圧搾機が普及しているが、昔は酒袋(さかぶくろ)に醪をつめて、槽(ふね)の中にならべて搾った。その操作は次のようである。まず、醪を酒袋(5~9リットル入り)につめ、槽(ふね)の中に並べて積む。この間に、最初に出てくる白く濁った清酒を荒走り(あらばしり)という。槽が袋でいっぱいになると、槽の上にカサ枠を乗せて、さらに酒袋を積む。積み終わってから3時間くらいは、自らの重さできれいな酒が自然に出てくる。この間を水槽(みずぶね)という。積み上げた酒袋の高さが低くなってくると、カサ枠を取り除き、押蓋(おしぶた)と枕木をのせて圧搾を始める。これを押槽(おしぶね)という。翌日、酒袋を積み替えて(袋直し、槽直し)再び圧搾する(責槽(せめぶね))。責槽から出る酒を責め(せめ)といい、また荒走り後責め(せめ)より前に出る酒を中垂れ(なかだれ)という。

ゼラチン

ぜらちん

動物の骨、皮膚(ひふ)、腱(けん)などを水と長く煮て抽出してつくる。蛋白質の一種。清酒の滓下げに、柿渋(かきしぶ)と併用する。

セルラーゼ

せるらーぜ

セルロース(繊維素)を加水分解する酵素。この酵素を主成分とするセルラーゼ剤は、硬質米など吸水不良の白米処理に用いられる。

前緩後緩型

ぜんかんこうかんがた

醪の発酵型式の一つ。醪前半の温度の上昇が弱く、後半のボーメ度の切れも悪く、アルコールがあまり生成されないタイプ。

前緩後急型

ぜんかんこうきゅうがた

醪前期の温度の上がり方がゆるやかで、中期以降から発酵が急激になる発酵型式。

前急後緩型

ぜんきゅうこうかんがた

醪前半は発酵が急激であるが、後半になって発酵が弱くなる発酵型式。

前急後急型

ぜんきゅうこうきゅうがた

醪の全期間を通じて発酵が急激な発酵型式。醪期間は短い。

前高後低型

ぜんこうこうていがた

醪の品温経過方式の一つ。留添温度を高くし醪初期から高温で経過させて蒸米の溶解、糖化とアルコール発酵を進め、醪のアルコール分が10~13%に達したところで品温を徐々に下降させる方式である。原料利用率が良く醪の期間が短縮されるという利点があるが、前急型に即応した仕込配合や踊りの進め方とするなどの点に留意する必要がある。

洗米

せんまい

白米の表面に付着している糖を取り除くために、水で洗うこと。洗米機による方法、水輸送による方法及び手洗いによる方法がある。

千粒重

せんりゅうじゅう

米の整粒1,000粒の重量をいう。大粒で内容の充実した米は、千粒重が大きい。

相関係数

そうかんけいすう

変数xとyの間の直線関係の強さを数量的に表す係数。

増醸酒

ぞうじょうしゅ

三倍増醸法でつくられた清酒のこと。

増醸割合

ぞうじょうわりあい

増醸酒用原料白米の使用割合のことで、その酒造年度に清酒製造の原料として使用する白米数量のうち、増醸酒の製造に使用する白米数量の占める割合をいい。%で表す。承認基準では23%以内と定めている。

相対湿度

そうたいしつど

湿度の表し方の一つで、一定体積の空気中に実際に含まれている水蒸気の圧力を、その空気の飽和水蒸気圧で割り、%で表したもの。

総破精

そうはぜ

破精廻りが蒸米の表面全体にいきわたり破精込みが深くて、糖化力、蛋白分解力の強い麹を総破精麹という。酒母麹などに適している。

総米

そうまい

醪1仕込みに使用する白米総重量のことで、仕込総米ともいう。四段掛けをする場合は四段用の白米も含み、留添までの白米総重量を三段総米ともいう。醪の仕込配合において酒母、初添、仲添及び留添の各白米総重量をそれぞれ酒母総米、添総米、仲総米および留総米と呼ぶ。

そえ

初添、添仕込みのこと。

添桶

そえおけ

添仕込み専用の容器。

添麹

そえこうじ

醪の仕込(添、仲、留)に用いる麹の総称。初添(添仕込み)に用いる麹を添麹、仲添(仲仕込み)に用いる麹を仲麹、留添(留仕込み)に用いる麹を留麹という。

速醸系酒母

そくじょうけいしゅぼ

生もと系酒母が酒母中に乳酸菌を増殖させて乳酸をつくらせるのに対して、乳酸を添加してつくる系統の酒母をいう。普通速醸酒母、高温糖化酒母、希薄酒母、ウルトラセブン酒母などがある。

速醸酒母

そくじょうしゅぼ

水麹時に乳酸を添加し、同時に培養酵母を加え、まず糖化を進め、次に膨れ(ふくれ)・湧付き(わきつき)に導く造り方をする酒母。仕込みから膨れまでの標準日数は7日目前後。

育てもと

そだてもと

生もと系酒母のこと。

ダービディティ

だーびでぃてぃ

清酒の濁りの程度を表した値で、タービディティともいう。蒸留水が0で、20以下ならサエが非常に良く、30以下が標準、50くらいで多少、100くらいで相当ボケている。

大気汚染防止法

たいきおせんぼうしほう

工場や事業場から排出されるばい煙や。自動車排出ガスなどによる大気汚染を防止することを目的とする法律。

大吟醸酒

だいぎんじょうしゅ

清酒の製法品質表示基準に定める特定名称清酒の一種類。製法品質表示基準に定める特定名称の清酒の一つ。精米歩合60%以下の白米、米麹、水、またはこれらと醸造アルコールを原料として、吟醸造り(低温でゆっくり発酵させ、粕歩合を多くする方法)でつくられ、固有の香味および色沢が良好な清酒をいう。醸造アルコールを使わないで造った吟醸酒は純米吟醸酒、また、精米歩合50%以下の白米を原料にして造った吟醸酒で、固有の香味及び色沢が特に良好なものは大吟醸酒、さらに、醸造アルコールを使わないで造った大吟醸酒は純米大吟醸酒と称することができる。

代謝

たいしゃ

生物が生命を維持するためにしている物質変化をいう。

対立仮説

たいりつかせつ

統計的仮説検討の際に、検定しようとする帰無仮説に対して、これに対立する仮説のこと。検定の結果、帰無仮説を棄てれば対立仮説を採択することになる。

対流

たいりゅう

液体や気体の一部が熱せられて、膨張して軽くなり、移動する現象をいう。

高泡

たかあわ

醪の留め仕込み後1~3日経つと、筋泡、水泡、岩泡と次第に泡が高くなり、最も泡の高くなった時期の泡を高泡という。高泡は数日間持続した後、落泡に入る。本泡(ほんあわ)、本高泡(ほんたかあわ)ともいう。

暖気樽(暖気)

だきたる(だき)

酒母を加温するために、中に湯をつめて栓ができるようになっている樽で、昔は木製であったが最近はアルミニウムまたはステンレス製が多い。

濁度

だくど

清酒の濁りの程度を表した値で、タービディティともいう。蒸留水が0で、20以下ならサエが非常に良く、30以下が標準、50くらいで多少、100くらいで相当ボケている。

多湿麹

たしつこうじ

握った時の手ざわりが非常に軟らかく湿気が感じられる麹をいう。水分の多いバカ破精型の麹で酵素力は弱い。蒸米が軟らかすぎるか、製麹中の蒸米の水分発散が少なすぎる場合などにできやすい。多湿麹とも言う。

脱酸

だっさん

除酸と同じ

竪型精米機

たてがたせいまいき

酒造米の精米は、一般の飯米の場合よりも高度に精白するために、専用機が使われる。この酒造専用機のロールの回転軸は、縦方向に取り付けられているので、竪型精米機といわれれる。

多糖類

たとうるい

澱粉やセルロースのように加水分解すると多数の単糖類になるもの。

たな

通常は麹室の棚を指す。麹室の内壁面に沿って設けられた棚状の台のことで、蒸米を盛った麹蓋を積み重ねて置く場所。通常奥行き60cmで、床(ゆか)面から65~70cm程度の高さの位置に設ける。また、箱麹法で使用する麹箱を乗せる台で枠だけの構造のものも棚と呼ぶ。

種切り

たねきり

蒸米に種麹を散布することをいう。

種麹

たねこうじ

清酒麹の製麹では、麹菌の繁殖は胞子の発芽から出発する。その胞子を供給する役割を果たすのが種麹である。種(たね)もやしともいう。

玉泡

たまあわ

泡なし酵母を除いて、普通の酵母の場合には、糖化と発酵が進むにつれて泡の状態がいろいろに変化する。留め仕込後2~3日経つと、醪の表面に数本の泡の筋が現れる。これを筋泡(すじあわ)という。さらに1~2日経つと、白くて軽い泡が前面に広がる。これを水泡(みずあわ)という。水泡をすぎると、泡は次第に高くなって岩のような形になってくる。これを岩泡(いわあわ)という。岩泡からさらに泡が高くなった状態を高泡(たかあわ)という。高泡が次第に低くなる時期を落泡(おちあわ)という。泡が落ちるとシャボン玉のような泡が残り、これを玉泡(たまあわ)という。玉泡が消えて醪の表面が現れた状態を地(じ)という。地の状貌には種々あり、醪の表面に何も浮かんでいないときは坊主(ぼうず)、薄い皮が浮かんでいるときはチリメン泡あるいは薄皮(うすかわ)、米粒が厚く浮かんでいるときは厚蓋(あつぶた)、飯蓋(めしぶた)などという。

ため

ため

水、酒母、醪、酒などを入れて運搬する約20リットル容の容器。アルミ製、木製などがある。試し桶(ためしおけ)。試桶(ためおけ)の略称。

樽酒

たるざけ

樽に入れて、木香(きが)をつけた酒のことで、樽づめのまま、もしくはビンその他の容器に詰め替えたもの。

垂れ口

たれくち

上槽中に酒が酒槽(さかぶね)から出てくる口をいう。酒槽の片方の側面下部についている。槽口(ふなくち)、亀口(かめくち)、樋口(ひのくち)、銚子口(ちょうしぐち)ともいう。

短時間浸漬

たんじかんしんせき

浸清中に白米が吸水し過ぎないよう時間を短縮し、白米の吸水を制限すること。吟醸酒をつくるときによく行う。

炭臭

たんしゅう・すみしゅう

精製の不十分な不良炭素を使用したとき、保管状態の悪い炭素を使ったとき、または炭素の使用量が多いときなどにつく臭い。

炭水化物

たんすいかぶつ

糖類及び糖類と類似の構造を持つ有機化合物を総称して炭水化物という。たとえば、ブドウ糖のような単糖類、蔗糖のような二糖類、澱粉のような多糖類が含まれる。

単糖類

たんとうるい

ブドウ糖や果糖のように、これ以上簡単な糖に分解できない糖をいう。

蛋白混濁

たんぱくこんだく

火入れした清酒は、程度の差はあっても、貯蔵中に次第に透明度が悪くなってくるのが普通で、極端な場合には白濁する。これを蛋白混濁あるいは白ボケという。その原因は、麹がつくる酵素(主に糖化酵素)が火入れによって変性し、貯蔵中に凝固してくるためと考えられる。火落菌による混濁と外観は似ているが、蛋白混濁の場合は、加温すると消失し、冷却すれば再び濁る点が異なる。

蛋白質

たんぱくしつ

蛋白質は動植物体を構成する重要な成分で、分解すると種々のアミノ酸を生じる高分子化合物である。米の中の主要蛋白質はグルテリン(オリゼニン)と呼ばれている。酵素もまた蛋白質である。熱、化学薬品、放射線等の作用により生理的機能が失われたり、化学的、物理的性質等が変化する。この現象を蛋白質の変性という。

蛋白分解酵素

たんぱくぶんかいこうそ

清酒製造にとって重要な麹中の蛋白分解酵素は、酸性プロテアーゼと酸性カルボキシペプチダーゼの2者である。

チタン酸カリウム繊維

ちたんさんかりうむせんい

濾過助剤の一種。主成分は6チタン酸カリウム繊維で、他の助剤と併用する。

着色度

ちゃくしょくど

清酒に430nmの光をあて、その吸光度を測定して得られた値。蒸留水を対照とし、清酒の厚み10mm当たりの吸光度で示す。蒸留水の吸光度0で、着色の濃いものほど大きくなる。通常の市販清酒では、0.010~0.035程度である。

着色粒

ちゃくしょくりゅう

玄米のなかで、粒表面の一部あるいは全体が着色しているものをいう。ただし、精米によって影響のないものは除かれる。

中温菌

ちゅうおんきん

乳酸菌や酢酸菌のように、生育の適温が25~35℃の範囲にある菌をいう。これに対して適温が10~20℃の菌を低温菌、40℃以上の菌を高温菌という。

中糠

ちゅうぬか

玄米を精米する工程で、精米歩合90%位まで出てくる糠を赤糠(あかぬか)、85%位までを中糠(ちゅうぬか)、75%程度のものまでを白糠(しろぬか)、これ以下の部分を特上糠(とくじょうぬか)または特白糠(とくしろぬか)という。

中和

ちゅうわ

酸と塩基を当量ずつ混和すると、中性になる。これを中和という。清酒の酸度の測定は、この中和の原理によっている。

調合

ちょうごう

目的の品質、成分の酒にするため、2種類以上の酒を混ぜ合わせること。

調湿法

ちょうしつほう

蒸米吸水率を制御するために、洗米前の白米の水分を調節する方法をいう。

調味アルコール

ちょうみあるこーる

原料用アルコールに水、ブドウ糖、水あめ、有機酸(乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸)およびアミノ酸塩(グルタミン酸ナトリウム)を混和した液で、調アルと略称される。増醸酒の製造に用いられる。

直接還元糖(直糖)

ちょくせつかんげんとう(ちょくとう)

分子内に遊離のアルデヒド基またはケント基をもち還元性を示す糖を還元糖といい、この糖量をブドウ糖量に換算したものをいう。清酒の場合には、ブドウ糖量に等しい量とみて大差ない。市販清酒の直接還元糖量は3~4%程度である。

貯蔵年数

ちょぞうねんすう

製法品質表示基準によると、清酒を貯蔵容器に貯蔵した翌日から貯蔵を終えた日までの年数をいい、1年未満の端数を切り捨てた年数とすることになっている。

ちりめん泡

ちりめんあわ

泡なし酵母を除いて、普通の酵母の場合には、糖化と発酵が進むにつれて泡の状態がいろいろに変化する。留め仕込後2~3日経つと、醪の表面に数本の泡の筋が現れる。これを筋泡(すじあわ)という。さらに1~2日経つと、白くて軽い泡が前面に広がる。これを水泡(みずあわ)という。水泡をすぎると、泡は次第に高くなって岩のような形になってくる。これを岩泡(いわあわ)という。岩泡からさらに泡が高くなった状態を高泡(たかあわ)という。高泡が次第に低くなる時期を落泡(おちあわ)という。泡が落ちるとシャボン玉のような泡が残り、これを玉泡(たまあわ)という。玉泡が消えて醪の表面が現れた状態を地(じ)という。地の状貌には種々あり、醪の表面に何も浮かんでいないときは坊主(ぼうず)、薄い皮が浮かんでいるときはチリメン泡あるいは薄皮(うすかわ)、米粒が厚く浮かんでいるときは厚蓋(あつぶた)、飯蓋(めしぶた)などという。

チロシナーゼ

ちろしなーぜ

チロシンを酸化して色素をつくる反応を触媒する酵素。麹の褐変や粕の褐変(黒粕)に関係する。

通性嫌気性菌

つうせいけんきせいきん

乳酸菌のように、酸素があってもなくても生育する菌をいう。

突破精

つきはぜ

蒸米に麹菌が繁殖して菌糸が白く見える部分を破精といい、麹粒の表面に破精が広がっている状態を破精廻り、麹粒の内部に食い込んでいる状態を破精込みという。破精廻りがまばらで、破精込みの深い麹を突破精麹といって、良い麹とされ、特に吟醸麹では理想とされる。トラ破精ともいう。

漬替え

つけかえ

白米の浸漬中に、水を入れ替えることで、漬替えともいう。掛流しと同じ効果がある。

壺代

つぼだい

酒母製造用の容器のこと。もと桶、酒母タンクともいう。

積替え

つみかえ

蓋麹法(ふたこうじほう)で製麹するとき、盛りと仲仕事の間、仕舞仕事と出麹の間などに、麹を撹拌することなく、単に麹蓋の上下・前後・左右の位置を入れ替えることによって、各々の麹蓋の相互間の温度差を少なくする操作をいう。

詰口

つめぐち

市販酒として容器に詰める直前の酒で、酒質を調整し割り水したもの。

強い水

つよいみず

醪でボーメが良く切れて発酵が旺盛な水をいう。カリウム、マグネシウム、クロール、リン酸等の発酵を助成する成分の多い水がこれに当たる。

ツワリ香

つわりか

乳酸菌が増殖した異常醪や、火落ち(ひおち)して清酒に発現する臭いで、臭いの本体はジアセチル、酢酸などである。

TTC染色法

てぃーてぃーしーせんしょくほう

きょうかい6号、7号、9号、10号などの優良酵母は、いずれもTTCによって赤色に染まるが、野生酵母は桃色に染まることを利用して、酒母および醪中の酵母の純度を調べる方法。

低アルコール清酒

ていあるこーるせいしゅ

普通の清酒よりもアルコール度数の低い清酒のこと。消費者のライト志向に対応して近年開発された。アルコール度数は、12~14度、6~10度など各種であり、またガス入りのもの、高酸味のもの、濁り酒の形のものなどもある。

低温菌

ていおんきん

乳酸菌や酢酸菌のように、生育の適温が25~35℃の範囲にある菌をいう。これに対して適温が10~20℃の菌を低温菌、40℃以上の菌を高温菌という。

出枯らし

でがらし

精米から醪の仕込みまでの工程でできた中間生成物が次の工程で使用されるまで放置される状態をいう。(1)精米後の白米を紙袋に入れたりホッパーに移すなどして使用時まで放置することを白米の枯らしといい、この間を白米の枯らし期間という。米粒内の水分分布を均一にし、室温と湿度になじませることを目的としている。枯らし期間は精米歩合にもよるが、7~20日くらいとする。(2)出麹(でこうじ)後1日ほど放置してから仕込みに使用することを出枯らしという。枯らし中はうすく拡げて乾燥させる。(3)酒母のもと分け(丸冷まし)から使用時(もと卸し)までを酒母の枯らしといい、その間を酒母の枯らし期間という。酒母の種類等にもよるが、普通速醸酒母では5~7日くらいが適当である。

デキストリン

できすとりん

澱粉をα-アミラーゼで分解すると生成する。ブドウ糖が何個かつながってできているが、その数は一定していない。

出麹

でこうじ

出来上がった麹を麹室から出す操作、あるいは出した麹そのものをいう。

出麹使い

でこうじつかい

出麹後の麹を、その日のうちに仕込みに使用することをいう。

出麹歩合

でこうじぶあい

出麹の吸水率を示す歩合。出麹歩合(%)=((出麹kg数-白米kg数)/白米kg数)×100

手造り

てづくり

純米酒あるいは本醸造酒のうち、特に甑・麹蓋(箱)を使用し、生もと系または速醸系酒母によって製造した清酒をいう。ただし、清酒の製法品質表示基準には定められていない。

デフェリフェリクリシン

でふぇりふぇりくりしん

黄麹菌が生産する環状のペプチドのこと。このものは無色であるが、鉄と結合すると赤褐色のフェリクリシンとなる。清酒に鉄分が入ると着色するのは、この物質が清酒中に含まれているからである。

デフェリフェリクリシン(DF)非生産性黄麹菌

でふぇりふぇりくりしん(でぃえふ)ひせいさんせいきこうじきん

通常の黄麹菌は、すべてDFを生産する。したがって、鉄分による清酒の着色を避けることはできない。そこで黄麹菌に人口変異を生じさせてつくったDF非生産性黄麹菌の種麹が商品化されている。

テリ

てり

清酒の透明さのことをいう。サエが悪いとは、濁った状態のこと。

電解質

でんかいしつ

水に溶解して、その全部または一部がイオンに解離する物質。たとえば、食塩を水に溶かすと、ナトリウムイオン(Na+)とクロールイオン(C1-)に電離する。

転下糖

てんかとう

1分子の蔗糖を加水分解すると、1分子のブドウ糖と1分子の果糖ができる。この加水分解を特に転化と呼び、出来上がったブドウ糖と果糖の混合物を転化糖という。

伝導

でんどう

高温部から低温部へ、物質内を熱が移動する現象を熱の伝導という。

澱粉

でんぷん

植物の光合成によってつくられ、多数のブドウ糖分子がつながってできた高分子化合物でアミローズ、アミロペクチンから成る。糖化酵素の作用によりブドウ糖に分解される。

天窓

てんまど

麹室内の温度と湿度を調節するために、天井に設けた換気用の装置をいう。

電離

でんり

水に溶解して、その全部または一部がイオンに解離する物質。たとえば、食塩を水に溶かすと、ナトリウムイオン(Na+)とクロールイオン(C1-)に電離する。

糖化

とうか

澱粉質がブドウ糖にまで加水分解される変化。

等外米

とうがいまい

農産物検査法による検査基準で等外米に格付け(かくづけ)されたもので、政府取り扱いにならない玄米をいい、一般に屑米(くずまい)とか砕米(さいまい)とかいわれている。

糖化型アミラーゼ

とうかがたあみらーぜ

澱粉(でんぷん)を加水分解する酵素の総称であって、澱粉をデキストリンのようなある程度大きな単位で分解する液化型アミラーゼ(α-アミラーゼまたは液化酵素ともいう)と、グルコース単位で分解する糖化型アミラーゼ(グルコアミラーゼまたは糖化酵素ともいう)がある。

糖化酵素

とうかこうそ

澱粉を分解して糖に変える酵素で、糖化型アミラーゼやグルコアミラーゼのこと。

糖蜜

とうみつ

蔗糖(しょとう)、ブドウ糖などの結晶をとった後の母液を煮詰めたもので、多量の糖を含んでいる。廃糖蜜、精製糖蜜、ハイテスト糖蜜などの種類がある。

糖類

とうるい

清酒中の糖類としては、グルコースが大部分であるが、そのほかにマルトース、イソマルトース、パノース、イソマルトトリオース、その他のオリゴ糖などが少量ずつ含まれている。

特級酒

とくきゅうしゅ

清酒とウイスキー類に設けられていた税率区分のことで、それぞれ規格によって特級、一級及び二級の級別に区分されていたが、酒税法の改正によりこの制度は平成元年4月1日以降廃止された。

特定低品位米

とくていていひんいまい

規格外米の一種で、この玄米を政府以外のものに売り渡す時は、食糧事務所長の承認が必要であるものいう。

特定名称酒

とくていめいしょうしゅ

清酒の製法品質表示基準によると、吟醸酒、純米酒、本醸造酒を特定名称清酒といい、原料、製造方法等の違いによってさらに吟醸酒、大吟醸酒、純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒、特別純米酒、本醸造酒、特別本醸造酒の8種類に分類され、それぞれ所定の要件に該当するものはその名称を表示できることになっている。

特定名称の清酒

とくていめいしょうのせいしゅ

清酒の製法品質表示基準によると、吟醸酒、純米酒、本醸造酒を特定名称清酒といい、原料、製造方法等の違いによってさらに吟醸酒、大吟醸酒、純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒、特別純米酒、本醸造酒、特別本醸造酒の8種類に分類され、それぞれ所定の要件に該当するものはその名称を表示できることになっている。

特別純米酒

とくべつじゅんまいしゅ

清酒の製法品質表示基準に定める特定名称清酒の一種類。香味および色沢が特に良好な純米酒であり、かつ、そのことを使用原料や製造方法などの客観的な事項によって説明表示したもの。

特別本醸造酒

とくべつほんじょうぞうしゅ

清酒の製法品質表示基準に定める特定名称清酒の一種類。香味および色沢が特に良好な本醸造酒であり、かつ、そのことを使用原料や製造方法など客観的な事項によって説明表示したもの。

とこ

製麹工程で、蒸米を引き込んでから盛りまで堆積しておき、床もみ(とこもみ)、切返し(きりかえし)などの作業を行う場所をいう。

床麹法

とここうじほう

引込みから出麹まで、すべて床(とこ)の上で製麹する方法をいう。

床もみ

とこもみ

麹室に引き込んだ蒸米を床(とこ)の上に拡げ、種麹を撒布して、胞子が蒸米に均一に付着するようによくもむ作業をいう。床がえしともいう。

留(留添)

とめ(とめぞえ)

留仕込みのこと。

留麹

とめこうじ

醪の仕込(添、仲、留)に用いる麹の総称。初添(添仕込み)に用いる麹を添麹、仲添(仲仕込み)に用いる麹を仲麹、留添(留仕込み)に用いる麹を留麹という。

留即時歩合

とめそくじぶあい

留仕込み直後に、白米が占める醪容量の割合をいう。留即時歩合ともいう。蒸米や麹の吸水率が高いときに、この歩合が高くなる。白米歩合(%)=((留即時醪リットル数-汲水リットル数)/白米kg数)×100

トランスグルコシダーゼ

とらんすぐるこしだーぜ

α-アミラーゼが澱粉に作用するとオリゴ糖ができる。トランスグルコシダーゼは、このオリゴ糖に作用してブドウ糖を切り離し、このブドウ糖を他のオリゴ糖に結合させて、非発酵性のオリゴ糖をつくる。またエチルアルコールに結合させてエチルグルコシドをつくる。

内部濾過

ないぶろか

液中の懸濁物が少量で微細なときは、多孔質の濾材を通し、濾材の中で懸濁物をつかまえる濾過方法が用いられる。この方法を内部濾過あるいは清澄濾過という。

仲(仲添)

なか(なかぞえ)

仲仕込みのこと。

仲麹

なかこうじ

醪の仕込(添、仲、留)に用いる麹の総称。初添(添仕込み)に用いる麹を添麹、仲添(仲仕込み)に用いる麹を仲麹、留添(留仕込み)に用いる麹を留麹という。

仲仕事

なかしごと

盛り後7~8時間後に、麹の品温を調節するために行う操作。

中垂れ

なかだれ

醪を圧搾濾過して、清酒と清酒粕に分離する操作をいい。あげふねともいう。最近は自動醪圧搾機が普及しているが、昔は酒袋(さかぶくろ)に醪をつめて、槽(ふね)の中にならべて搾った。その操作は次のようである。まず、醪を酒袋(5~9リットル入り)につめ、槽(ふね)の中に並べて積む。この間に、最初に出てくる白く濁った清酒を荒走り(あらばしり)という。槽が袋でいっぱいになると、槽の上にカサ枠を乗せて、さらに酒袋を積む。積み終わってから3時間くらいは、自らの重さできれいな酒が自然に出てくる。この間を水槽(みずぶね)という。積み上げた酒袋の高さが低くなってくると、カサ枠を取り除き、押蓋(おしぶた)と枕木をのせて圧搾を始める。これを押槽(おしぶね)という。翌日、酒袋を積み替えて(袋直し、槽直し)再び圧搾する(責槽(せめぶね))。責槽から出る酒を責め(せめ)といい、また荒走り後責め(せめ)より前に出る酒を中垂れ(なかだれ)という。

生囲い

なまがこい

清酒を貯蔵することを囲い(かこい)といい、生酒(なましゅ)のまま貯蔵することを生囲いという。

生酒

なまざけ・なましゅ

上槽してから出荷するまで、いっさい加熱処理をしない清酒をいう。

生貯蔵酒

なまちょぞうしゅ

上槽してから火入れをせず生のまま貯蔵し、市販容器に詰めるときに1回だけ加熱殺菌をする清酒をいう。

軟質米

なんしつまい

酵素の作用によって溶けやすい米をいう。

軟水

なんすい

カルシウムやマグネシウムの含量が少ない水。

二級酒

にきゅうしゅ

清酒とウイスキー類に設けられていた税率区分のことで、それぞれ規格によって特級、一級及び二級の級別に区分されていたが、酒税法の改正によりこの制度は平成元年4月1日以降廃止された。

肉垂れ歩合

にくたれぶあい

原料白米だけ(汲水も除く)から製成された清酒の割合をいう。酒化率を示す一つの指標であって、70%前後が普通である。肉垂れ歩合(%)=((清酒(リットル)-汲水(リットル)-アルコール(リットル)-原料清酒(リットル))/白米(kg))×100

濁り酒

にごりざけ

清酒醪を上槽するときに、ある程度目の粗い網あるいは布などで濾過した白濁した清酒のことをいう。

日光臭

にっこうしゅう

清酒が長時間にわたって日光にさらされた時に発生する臭いをいう。

2点識別法

にてんしきべつほう

アルコール度数や糖分量などによって客観的に順位のついている清酒AとBの差が識別できるかどうかを知りたいとき、AとBを盲で提示して、刺激の大小の順位を判断させる方法をいう。

2点嗜好法

にてんしこうほう

酒AとBを提示して、好ましい方を指摘させる方法。

二糖類

にとうるい

加水分解によって、1分子から2分子の単糖類を生じる糖類の総称。例えば、蔗糖(しょとう)、麦芽糖(ばくがとう)など。

日本酒センター

にほんしゅせんたー

清酒業安定法に基づいて、日本酒造組合中央会の近代化事業の一環として、昭和56年10月に発足した。日本酒に関するデータバンク的な機能と、メーカーからの商品情報や清酒についての正しい知識を消費者にPRする役割を果たしている。

日本酒造組合中央会

にほんしゅぞうくみあいちゅうおうかい

酒類業組合法に基づき、酒税の保全に協力し、また共同の利益を増進するために、清酒製造業者によって組織された酒造組合(税務署単位あるいは都道府県単位)を、全国的にまとめている組織である。

日本酒度

にほんしゅど

清酒の比重を示すのに便利なように工夫された、清酒独特の単位であって、15℃の清酒に日本酒度浮ひょうを浮かべて測定する。15℃で4℃の純粋の水と同じ重さのものの日本酒度は0であり、それよりも軽いものは正の値、重いものは負の値をとる。計量法により、日本酒度は次のように定義されている。日本酒度=((1/比重)-1)×1443→甘辛度(あまからど)

日本醸造協会

にほんじょうぞうきょうかい

醸造に関する科学・技術の研究とその振興を図り、醸造の進歩発展に資することを目的として、大正4年に創立された財団法人である。

ニュートラル酵母

にゅーとらるこうぼ

生育過程で培地中にキラー毒素(キラートキシン)と呼ばれる物質を菌体外に排出して、他の酵母を殺す酵母のこと。キラー毒素によって殺される酵母を感受性酵母、また殺されもしないし他の酵母を殺しもしない酵母をニュートラル(中性)酵母という。

乳酸

にゅうさん

酒母および醪中で細菌の増殖を抑える重要な役割を果たす。また、コハク酸とならんで、清酒中に最も多く含まれている有機酸である。

乳酸菌

にゅうさんきん

炭水化物を分解して乳酸をつくる細菌の総称。

乳酸発酵

にゅうさんはっこう

乳酸発酵にはホモ型とヘテロ型の両者がある。ホモ乳酸発酵ブドウ糖C6H12O6→乳酸2C3H6O3ヘテロ乳酸発酵ブドウ糖C6H12O6→乳酸C3H6O3+エチルアルコールC2H5OH+炭酸ガスCO2

乳糖

にゅうとう

ガラクトースとブドウ糖が結合した糖で、母乳や牛乳に多く含まれている。清酒酵母は、この糖を発酵することができない。

ぬか

玄米を精米する工程で、精米歩合90%位まで出てくる糠を赤糠(あかぬか)、85%位までを中糠(ちゅうぬか)、75%程度のものまでを白糠(しろぬか)、これ以下の部分を特上糠(とくじょうぬか)または特白糠(とくしろぬか)という。

抜掛け法

ぬけがけほう

水切りをした白米を甑(こしき)の中に張り込む方法の一つで、まず少量の白米を甑の中に平らに置き、蒸気が吹き抜けたならばさらに適量の白米を置くことを繰り返す方法をいう。

塗り破精

ぬりはぜ

米粒の表面だけ麹菌が生え内部には破精込みの悪い麹をいう。

ヌルリ麹

ぬるりこうじ

麹の表面に枯草菌が増殖して、麹の表面がすべるような感じを与えたり、粘ったり、握ると団子になったりする麹をいう。麹菌の増殖が不良で、破精込みも悪いものが多く、良い酒はできない。粘り麹、ヌルリ麹ともいう。

熱酒ビン詰

ねつしゅべんづめ

加熱殺菌した清酒を、熱酒の状態でビン詰する方法をいう。

熱膨張

ねつぼうちょう

物体(個体、液体、気体)が温度の上昇によって膨張すること。物体はそれぞれ固有の膨張率をもち、気体は固体や液体よりも膨張率が大きく、個体の液体や気体に比べ膨張率が小さい。

粘り麹

ねばりこうじ

麹の表面に枯草菌が増殖して、麹の表面がすべるような感じを与えたり、粘ったり、握ると団子になったりする麹をいう。麹菌の増殖が不良で、破精込みも悪いものが多く、良い酒はできない。粘り麹、ヌルリ麹ともいう。

農産物検査法

のうさんぶつけんさほう

農産物について国が検査をし、それによって農産物の公正かつ円滑な取引とその品質の改善とを助長し、あわせて農業経済の発展と農産物消費の合理化に寄与することを目的とした法律。この法律の規定に基づき農産物規格規程が定められ、その中で水稲うるち玄米や醸造用玄米などの銘柄と規格(検査基準)が定められている。

濃淡度

のうたんど

清酒の味の濃淡の程度を示す値で、清酒のブドウ糖濃度(S)と酸度(A)から次式によって求められる。この式により味の濃淡の程度が約70%説明できる。Z(濃淡度)=0.42S+1.88A-4.44ブドウ糖濃度の代わりに日本酒度(N)を用いる場合は次の式による。Z=(9454/1443+N)+1.88A-68.5濃淡度と清酒の味の濃淡との関係は下記の通り。味の濃淡の程度=濃淡度(Z)非常にうすい=(-3)かなりうすい=(-2)すこしうすい=(-1)どちらでもない=(0)すこしこい=(1)かなりこい=(2)非常にこい=(3)

呑穴

のみあな

タンクの側面の底部に近い部分には、液を出し入れするための穴が上下2個あって、これを呑穴(のみあな)といい、上の呑穴を上呑、その下の呑穴を下呑(したのみ)という。

呑切り

のみきり

貯蔵中の清酒を少量採取して、火落ちの有無、熟成の程度などを調べることを呑切りという。

呑口

のみくち

呑穴(のみあな)をふさぐ栓のことを呑(のみ)あるいは呑口という。

呑先

のみさき

呑穴の先端部をいう。また、呑口をあけて呑穴から最初に出てくる部分の酒をいうこともある。

パーセント

ぱーせんと

容量パーセントは、溶液100mlに溶質が何ml含まれているかを表す。たとえば、清酒のあるコール%は、100mlの清酒中に純粋アルコールが何ml含まれているかを表す。また、清酒のエキス分は、重量・容量パーセントで示されるが、これは清酒100ml中に含まれているエキス分の重量(g数)を意味している。また、精米歩合は重量パーセントで示すが、これは100gの玄米からできた白米の重量(g数)を意味している。

胚芽

はいが

米粒の約3%を占め、蛋白質、脂肪、灰分、ビタミンB1などに富む

培地

ばいち

微生物の培養に使用する液体ないし固形の物質のことで、培養基ともいう。培養する部生物の生育に必要な栄養物質などが含まれている。液状のものを液体培地、固形のものを個体培地という。

白酒

ぱいちゅう

穀類を原料とし、餅麹を使って造った中国の蒸留酒のこと。茅台酒(まおたいちゅう)、白乾児(ぱいかる)などがある。

胚乳

はいにゅう

外胚乳と内胚乳に分かれる。内胚乳は主として澱粉で、米の大部分を占める。外胚乳は果皮、種皮と一緒に糠として除かれる。

培養基

ばいようき

微生物の培養に使用する液体ないし固形の物質のことで、培養基ともいう。培養する部生物の生育に必要な栄養物質などが含まれている。液状のものを液体培地、固形のものを個体培地という。

培養酵母

ばいようこうぼ

優良な性質をもった酵母を選び、純粋に培養したもの。野生酵母と区別していう。

端桶

はおけ

清酒を貯蔵するときは、酒質の劣化や火落ちを防ぐために、タンクに満量入れておくことが望ましい。これに対して、出荷時に一部の酒を取り出したために、残部の酒がタンク内に残っている状態をいう。

バカ破精

ばかはぜ

水分の多い湿気麹(しけこうじ)の場合には、破精廻りも破精込みも共に過剰となり、これをバカ破精と通称する

ハキ

はき

きき酒した後の吐き出す酒を受け入れる容器をいう。

麦芽

ばくが

大麦を発芽させた後、焙焼または風乾したもの。

バクテリア

ばくてりあ

単細胞の顕微鏡的な微生物で、分裂によって増殖するものをいう。

白米1,000kg当たり純アルコール数量

はくまいせんきろぐらむあたりじゅんあるこーるすうりょう

原料白米1,000kgから発酵によって生成された清酒中の純アルコール(100%アルコール)の数量(リットル)をいい、酒化率を表す一つの方法である。白米1,000kg当たり純アルコール数量(リットル)=[(清酒の純アルコールリットル数)-(アルコール、焼酎、調味アルコールの純アルコール(リットル))-(原料清酒の純アルコールリットル数)]÷白米(kg)×1000

白米の枯らし

はくまいのからし

精米から醪の仕込みまでの工程でできた中間生成物が次の工程で使用されるまで放置される状態をいう。(1)精米後の白米を紙袋に入れたりホッパーに移すなどして使用時まで放置することを白米の枯らしといい、この間を白米の枯らし期間という。米粒内の水分分布を均一にし、室温と湿度になじませることを目的としている。枯らし期間は精米歩合にもよるが、7~20日くらいとする。(2)出麹(でこうじ)後1日ほど放置してから仕込みに使用することを出枯らしという。枯らし中はうすく拡げて乾燥させる。(3)酒母のもと分け(丸冷まし)から使用時(もと卸し)までを酒母の枯らしといい、その間を酒母の枯らし期間という。酒母の種類等にもよるが、普通速醸酒母では5~7日くらいが適当である。

白米歩合

はくまいぶあい

留仕込み直後に、白米が占める醪容量の割合をいう。留即時歩合ともいう。蒸米や麹の吸水率が高いときに、この歩合が高くなる。白米歩合(%)=((留即時醪リットル数-汲水リットル数)/白米kg数)×100

箱麹法

はここうじほう

製麹を省力化するために、麹蓋を大型にして、15~45kgの麹を盛る箱を使う方法をいう。

柱焼酎

はしらしょうちゅう

醪末期に焼酎を添加したり、搾りたての酒に焼酎を混和することをいう。江戸時代の初め頃、伊丹で始まった柱焼酎は地方に伝わり諸白造りの工程の一部に組み込まれるようになった。元禄期の酒造書に、「醪に少量の焼酎を加えると酒の香味はしゃんとし火落ちや酸敗しにくい」と記されている。

パスカルの原理

ぱすかるのげんり

「閉じこめられた液体の一部に圧力を加えると、その強さは変わることなく、各部にその力が伝えられる」というのがパスカルの原理である。

パスカルの三角形

ぱすかるのさんかくけい

2項展開式の2項係数を三角形の形に並べたもの。

破精

はぜ

蒸米上に麹菌の菌糸が生育して白く見える状態をいう。

破精落ち

はぜおち

麹菌がほとんど増殖せず、蒸米のまま硬くなった麹をいう。

破精込み

はぜこみ

麹菌が蒸米の内部に菌糸を食い込ませている状態をいう。

破精廻り

はぜまわり

麹粒の表面に破精が広がっている状態をいう。

肌めし

はだめし

蒸きょうの際に、甑に接している蒸米部分をいう。また、その部分が凝縮水を吸い軟らかくなくなりやすい状態になることをいうときもある。生じた軟らかい蒸米を肌めしという。

発酵

はっこう

呼吸と同様に、微生物のエネルギー獲得の一手段である。呼吸のように基質を炭酸ガスと水にまで完全に酸化せず、最終産物として、アルコールや有機酸など有用な物質をつくる。

発酵助成剤

はっこうじょせいざい

発酵を助成し、健全な醸造を期するために、仕込水や醸造工程中に加える物質で、乳酸、食塩、酸性リン酸カリウム、酸性リン酸カルシウム、リン酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウムなどがある。

初添

はつぞえ

添仕込のこと。

初呑切り

はつのみきり

第1回の呑切りのこと。通常、6月~8月に行う。

ハナ

はな

清酒をきき酒するとき、鼻孔を通じて嗅ぐにおいのこと。

早沸き

はやわき

生もと系の酒母では、蒸米の糖化および生酸が十分でないうちに、また速醸系酒母では糖化が十分でないうちに、酵母が発酵を始めることをいう。

バラ麹

ばらこうじ

日本の麹のようにバラバラの粒状をした麹をいう。

腹白

はらじろ

米粒の中心部に白色部分のある心白に対し、米粒の腹部に白色不透明な部分のあるものをいう。精米時に砕けやすい。

はりつけ

はりつけ

火入れ時に清酒に活性炭を投入しそのまま貯蔵することをいう。

半切(半切桶)

はんぎり(はんぎりおけ)

物料を入れたり、道具を洗うなどいろいろな用途に使う平たい桶をいう。容量は140~360リットルが普通である。

半仕舞

はんじまい

1日おきに醪1本ずつ仕込むことをいう。

パントテン酸

ぱんとてんさん

ビタミンB群の一つ。酵母の生育の際に、酵母によってその要求性に差があるため、たとえば、きょうかい7号酵母の識別に利用される。

火落ちのこと。

PAC

ぴーえーしー

ポリ塩化アルミニウムの略称で、パックとも呼ぶ。

pH

ぴーえいち

溶液の酸性・アルカリ性の程度を示す数値で、pHと略記する。pH7が中性で、数値が7より小さければ酸性、大きければアルカリ性である。市販清酒のpHは、4.2~4.7の範囲にある。

BMD値

びーえむでぃーち

留後の日数に、その日のボーメ度または日本酒度の値を乗じたものをBMD値と呼び、醪の管理に利用する。

PL法

ぴーえるほう

製造物の欠陥により、人の生命または財産に被害が生じた場合の製造業者等の責任について定め、被害者の保護を図るために制定された法律で、PL法とも呼ばれる。平成7年7月1日以降製造業者等から引き渡される製造物に対して適用されている。

BOD

びーおーでぃ

生物化学的酸素要求量の略称で、水の汚染度を示す指標の一つ。水中の有機物が微生物によって資化され、水や炭酸ガスになるまでに必要な酸素量をいう。

B曲線

びーきょくせん

横軸に留後日数をとり、縦軸にBMD値をとって描く曲線で、醪の管理に利用される。

BCG培地

びーしーじーばいち

麹、酒母、醪中の生酸菌の有無を検出する培地。

ppm

ぴーぴーえむ

溶液1リットルの中に含まれる溶質のmg数。

火入れ

ひいれ

清酒を60~65℃に加熱して殺菌すること。火入れは、殺菌ばかりでなく、酵素の破壊による酒質の安定化、香味の調熱などにも重要な働きをする。

冷込み

ひえこみ

仕込みの初期から蒸米の溶解糖化が先行して酵母の発酵が停滞し、ボーメが集積してアルコールの生成が悪く、遂には発酵が停止するような現象をいう。

火落ち

ひおち

清酒に火落菌(ひおちきん)が増殖して、白濁、酸の増加、火落ち臭の発生などが発現する現象をいう。火落ち臭は主にジアチル、揮発酸からなり、ツワリ香に似ている。

火落菌

ひおちきん

アルコールに対する耐性があり、清酒中で容易に増殖する特殊な乳酸菌群をいう。清酒中で生育し、火落ちを起こす。

火落菌検出培地

ひおちきんけんしゅつばいち

清酒が火落菌(ひおちきん)に汚染されているかどうかを検出するために使う簡易培地の一種。

ビオチン

びおちん

ビタミンHともいう。ビール酵母やパン酵母はビオチン要求性であるが、清酒酵母は要求しない。

被害粒

ひがいりゅう

発芽した米、病害・虫害を受けた米、奇形の米、胴割れした米、砕米、茶米などをいう。

非褐変性黄麹菌

ひかっぺんせいきこうじきん

チロシナーゼを生産しない黄麹菌のことをいう。

引込み

ひきこみ

蒸米を麹室に入れ、床(とこ)の上に33~36℃の温度で積み上げる作業をいう。

引込み香

ひきこみか

清酒を口に含み、すすりながら口中にまわし、鼻から息を出すときに、呼気と共に感じられる匂いをいう。口中香(こうちゅうか)、含み香(ふくみか)ともいう。

日仕舞

ひじまい

毎日醪1本ずつ仕込むことをいう。また、毎日醪2本ずつ仕込むことを2個仕舞という。

比重

ひじゅう

物体の重さと、それと同体積の4℃の水の重さの比を比重という。

非電解質

ひでんかいしつ

たとえば砂糖のように、水に溶かしてもイオンを生じない物質。

ひなた臭

ひなたしゅう

清酒が長時間にわたって日光にさらされた時に発生する臭いをいう。

老香、老ね香

ひねか

麹の老ね香とは、製麹時間を長くした時に発生する臭い。清酒の老ね香とは、清酒がよく熟成した時に発生するにおいをいう。

老麹、老ね麹

ひねこうじ

製麹時間を長くして麹菌を十分生育させた麹をいう。一般に酵素力が強く、麹菌による生産物も多い。

比熱

ひねつ

ある物質1kgを温度1℃上昇させるのに必要なキロカロリー数を、その物質の比熱という。

ひねり餅

ひねりもち

蒸きょうを終える直前に、蒸している米の少量をとり、手のひらでつぶしてこね、餅状にしたものをいう。これによって蒸し具合を調べる。

非発酵性糖

ひはっこうせいとう

酵母により発酵されない糖のことで、発酵終了後の醪液中に残り、清酒の濃味に関係するといわれている。清酒中の非発酵性糖にはイソマルトース、パノース、コウジビオースなどがある。

飛沫同伴

ひまつどうはん

蒸しの際、沸騰によって飛散する湯滴が蒸気とともに甑内に入り込む現象をいう。主に和釜に張り込んだ水量が多すぎるときに起こる。

ひやおろし

ひやおろし

昔は冬から春につくられ火入れして貯蔵した清酒は、秋になりその温度と外気温が同じくらいになると、貯蔵容器の大桶から樽に詰めて出荷した。これをひやおろし(冷卸し)という。この時期になると、新酒のあらさがすっかり消えまるみがでてほどよく熟成し、酒の最も飲みごろとされていた。

描写法

びょうしゃほう

きき酒をして、その酒の長所・欠点などの特性を描写する方法。プロファイル法、プロフィール法などともいう。

表面濾過

ひょうめんろか

一般に、懸濁物を含む液を濾材で濾過すると、濾材の表面に懸濁物が堆積する。これを濾過ケークといい、ケークの生じる濾過を表面濾過あるいはケーク濾過という。

ピルピン酸

ぴるびんさん

酵母のアルコール発酵によりブドウ糖からエチルアルコールができる過程で生成される中間物質の一つ。ピルビン酸脱炭酸酵素によりアセトアルデヒドになり、これが還元されてエチルアルコールになる。焦性ブドウ酸ともいう。

ピルビン酸脱炭酸酵素

びるびんさんだつたんさんこうそ

ピルビル酸をアセトアルデヒドと炭酸ガスに分解する働きをする。アルコール発酵では重要な酵素の一つ。

ピロ亜硫酸カリウム

ぴろありゅうさんかりうむ

メタ亜硫酸カリウム(略称メリカリ)のこと。食品衛生法ではこの名称が用いられている。酸化防止剤で、黒粕の予防などに使用される。清酒に使用した場合には表示の必要がある。

ビン香

びんか

ビンに長く入れておいたとき生じる不快臭をいう。本体は不明である。

フーゼル油

ふーぜるゆ

種々の高級アルコールの混合物で、特にイソブチルアルコール、イソアミルアルコールが主成分である。

フェノールフタレイン指示薬

ふぇのーるふたれいんしじやく

フェノールフタレインのアルコール溶液で、アミノ酸度の測定に用いられる。無色から淡桃色にある変色点は、pH.8.2~10である。

フェリクリシン

ふぇりくりしん

黄麹菌が生産する環状のペプチドのこと。このものは無色であるが、鉄と結合すると赤褐色のフェリクリシンとなる。清酒に鉄分が入ると着色するのは、この物質が清酒中に含まれているからである。

輻射

ふくしゃ

高温度の物体が輻射線を出して、熱が物を伝わることなく失われ、これを吸収した物体が熱を得る現象。

含み香

ふくみか

清酒を口に含み、すすりながら口中にまわし、鼻から息を出すときに、呼気と共に感じられる匂いをいう。口中香(こうちゅうか)、含み香(ふくみか)ともいう。

膨れ

ふくれ

酒母を仕込んでから、酵母が増殖しはじめると、発生した炭酸ガスにより酒母の表面が膨れてくる。この時期を膨れという。

腐造乳酸菌

ふぞうにゅうさんきん

醪中で生育して、乳酸を生産する乳酸菌を腐造乳酸菌という。腐造乳酸菌にはホモ発酵型桿菌とヘテロ発酵型球菌の両者があるが、一般にホモ型桿菌の方が酸およびアルコールに対する耐性が強い。しかし、両者ともに一般の乳酸菌よりも低温に強く、5~8℃でも生育できる。

蓋麹法

ふたこうじほう

従来から行われて来た麹蓋を使用する製麹法をいう。現在では吟醸造りの製麹で採用されることが多い。麹蓋法ともいう。

普通醸造法

ふつうじょうぞうほう

米、米麹、水、原料用アルコール、有機酸(コハク酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸)および清酒粕を原料として清酒を醸造する方法をいう。アルコール添加清酒の蒸造法のことである。

沸点

ふってん

液体が沸騰する際の温度のことで、沸騰点ともいう。水の沸点は1気圧の下において100℃である。

槽口

ふなくち

上槽中に酒が酒槽(さかぶね)から出てくる口をいう。酒槽の片方の側面下部についている。槽口(ふなくち)、亀口(かめくち)、樋口(ひのくち)、銚子口(ちょうしぐち)ともいう。

ふね

酒槽(さかぶね)ともいう。醪を圧搾濾過して、清酒と清酒粕に分離する操作をいい。あげふねともいう。最近は自動醪圧搾機が普及しているが、昔は酒袋(さかぶくろ)に醪をつめて、槽(ふね)の中にならべて搾った。その操作は次のようである。まず、醪を酒袋(5~9リットル入り)につめ、槽(ふね)の中に並べて積む。この間に、最初に出てくる白く濁った清酒を荒走り(あらばしり)という。槽が袋でいっぱいになると、槽の上にカサ枠を乗せて、さらに酒袋を積む。積み終わってから3時間くらいは、自らの重さできれいな酒が自然に出てくる。この間を水槽(みずぶね)という。積み上げた酒袋の高さが低くなってくると、カサ枠を取り除き、押蓋(おしぶた)と枕木をのせて圧搾を始める。これを押槽(おしぶね)という。翌日、酒袋を積み替えて(袋直し、槽直し)再び圧搾する(責槽(せめぶね))。責槽から出る酒を責め(せめ)といい、また荒走り後責め(せめ)より前に出る酒を中垂れ(なかだれ)という。

浮ひょう

ふひょう

アルキメデスの原理を応用したもので、液体の比重を測定するのに用いられる。清酒製造で使用するものに、酒精度浮ひょう、日本酒度浮ひょう、ボーメ度浮ひょうがある。

不偏分散

ふへんぶんさん

測定値のバラツキの物差し。すなわち変数のチラバリ(分布)の代表値として、次式による不偏分散s2を用いる。ただし、xiは個々の測定値、nは測定値の総数ある。

浮遊物質量

ふゆうぶしつりょう

浮遊物質量の略称で、水中に浮遊(ふゆう)・懸濁(けんだく)している固形物のことをいう。SSの量は、BOD、CODとともに、水の汚染度を示す指標として使われる。酒造米の洗米排水は、SSの値が高い。

プリコート

ぷりこーと

濾布や濾紙上に、濾過助剤の層を付着させること、あるいは、付着させた濾過助剤をいう。

プロテアーゼ

ぶろてあーぜ

蛋白質やペプチドを分解する酵素の総称である。

プロテオリピッド

ぷろておりびっど

米麹中に含まれている脂肪酸や脂肪などと結合した蛋白質の一種で、これが清酒醪中で酵母の高濃度アルコール発酵を促進する一つの原因になっていると考えられている。

分子

ぶんし

その物質の性質を示す最小単位の微粒子のことで、原子で構成されている。一つの分子がどういう種類の原子何個からできているかを示したのが分子式である。

ぶんじ

ぶんじ

製麹で盛りのときなど、固まった蒸米層を切り崩すのに用いる木製の器具をいう。

分子量

ぶんしりょう

炭素原子の重さを12としたときの各分子の比較的な重さのことで、分子を構成する原子の数と原子量から求められる。

β-アラニン培地

べーたあらにんばいち

この培地上で、きょうかい7号は35℃で生育できないが、他の清酒酵母は生育できる性質を利用して、きょうかい7号の純度検定に用いる。

βー澱粉

べーたでんぷん

生澱粉の状態をいう。

並行複発酵

へいこうふくはっこう

澱粉の糖化とアルコール発酵が同時に並行して進行する発酵形式をいう。清酒の醪は、その代表例である。

ヘテロ乳酸発酵

へてろにゅうさんはっこう

乳酸発酵にはホモ型とヘテロ型の両者がある。ホモ乳酸発酵ブドウ糖C6H12O6→乳酸2C3H6O3

紅麹

べにこうじ

モナスカスと呼ばれる紅色の色素を生産する紅麹カビを蒸米に増殖させた麹で、中国や台湾では紅酒(アンチュウ)の原料に使われている。また最近、新潟県醸造試験場を中心に開発された「あかい酒」は、この紅麹カビの色素を利用している。

ペプチダーゼ

ぺぷちだーぜ

ペプチドを分解してアミノ酸をつくる酵素。

ペプチド

ぺぷちど

アミノ酸が2個以上結合した化合物で、蛋白質が分解して生じる。

変性

へんせい

性質が異常に変ること。蛋白質の変性。

偏性嫌気性菌

へんせいけんきせいきん

酪酸菌(らくさんきん)やアセトン・ブタノール菌などのように、酸素があると生育しない菌。

ボーメ度

ぼーめど

液の比重を重ボーメ度浮ひょうで測定した値をいう。酒母および醪の初期・中期の管理に利用される。ボーメ度の1は、日本酒度の-10に相当する。

黄酒

ほあんちゅう

中国の醸造酒のこと。穀類を原料として、餅麹を使って造った醸造酒で、紹興酒(しゃおしんちゅう)、老酒(らおちゅう)などが日本でよく知られている。

坊主

ぼうず

泡なし酵母を除いて、普通の酵母の場合には、糖化と発酵が進むにつれて泡の状態がいろいろに変化する。留め仕込後2~3日経つと、醪の表面に数本の泡の筋が現れる。これを筋泡(すじあわ)という。さらに1~2日経つと、白くて軽い泡が前面に広がる。これを水泡(みずあわ)という。水泡をすぎると、泡は次第に高くなって岩のような形になってくる。これを岩泡(いわあわ)という。岩泡からさらに泡が高くなった状態を高泡(たかあわ)という。高泡が次第に低くなる時期を落泡(おちあわ)という。泡が落ちるとシャボン玉のような泡が残り、これを玉泡(たまあわ)という。玉泡が消えて醪の表面が現れた状態を地(じ)という。地の状貌には種々あり、醪の表面に何も浮かんでいないときは坊主(ぼうず)、薄い皮が浮かんでいるときはチリメン泡あるいは薄皮(うすかわ)、米粒が厚く浮かんでいるときは厚蓋(あつぶた)、飯蓋(めしぶた)などという。

膨軟麹

ぼうなんこうじ

水分が多いため軟らかく膨らんでいる麹のことで、湿気麹と同じ。

補酸剤

ほさんざい

酒母、醪の健全を期するために、また清酒の品質保存のために酸を添加することを補酸といい、これに用いる酸を補酸剤という。酒母、醪には乳酸、清酒には乳酸、コハク酸またはリンゴ酸が用いられる。

ボディーエイド

ぼでぃーえいど

濾過の際に原液中に適量の濾過助剤を混和して用いる使い方をする濾過助剤のこと。

ホモ乳酸発酵

ほもにゅうさんはっこう

乳酸発酵にはホモ型とヘテロ型の両者がある。ホモ乳酸発酵ブドウ糖C6H12O6→乳酸2C3H6O3

ホルマリン

ほるまりん

刺激臭のある無色の液体で、ホルムアルデヒドの約40%液の商品名を言う。麹室などの殺菌剤として、またアミノ酸度の測定に用いられる。

ホルモール滴定法

ほるもーるてきていほう

全アミノ酸の定量法の一つで、清酒のアミノ酸度の測定に採用されている。アミノ酸がホルマリンと反応して酸としての性質をもつ化合物に変ることを利用したもので、中和後の清酒に中性ホルマリンを加え、これをアルカリで滴定してアミノ酸量を測定する。

本醸造酒

ほんじょうぞうしゅ

製法品質表示基準によれば、精米歩合70%以下の白米と、米麹、水と醸造アルコールを原料としてつくられた清酒で、香味および色沢が良好なものをいう。醸造アルコールの使用量には制限があり、白米の重量の10%(95%アルコールの重量として)をこえない範囲とされている。製法品質表示基準に定める特定名称の清酒の一つである。この清酒の名称は本醸造酒に一本化され、本造り酒または本仕込み酒の名称は用いることができない。

前暖気

まえだき

酒母の育成中、打瀬後膨れまでに行う加温操作をいう。また、この期間を前暖気期間という。

丸冷まし

まるざまし

酒母中に酵母が十分に増殖した頃になると、アルコール分が8~10%となり、酸量も多くなるので、そのまま高温に置くと酵母の衰弱・死滅を招くことになる。そこで品温を下げるために、半切桶数枚に分けることをいう。しかし最近では、酒母タンクのまま冷温器などで温度を下げる方法が一般的であり、この場合、丸冷まし(まるざまし)という。

見掛け精米歩合

みかけせいまいぶあい

精米の程度を示す歩合。精米歩合(%)=(精米後の白米kg数/精米前の玄米kg数)×100真精米歩合に対して見掛け精米歩合ともいう。

水泡

みずあわ

泡なし酵母を除いて、普通の酵母の場合には、糖化と発酵が進むにつれて泡の状態がいろいろに変化する。留め仕込後2~3日経つと、醪の表面に数本の泡の筋が現れる。これを筋泡(すじあわ)という。さらに1~2日経つと、白くて軽い泡が前面に広がる。これを水泡(みずあわ)という。水泡をすぎると、泡は次第に高くなって岩のような形になってくる。これを岩泡(いわあわ)という。岩泡からさらに泡が高くなった状態を高泡(たかあわ)という。高泡が次第に低くなる時期を落泡(おちあわ)という。泡が落ちるとシャボン玉のような泡が残り、これを玉泡(たまあわ)という。玉泡が消えて醪の表面が現れた状態を地(じ)という。地の状貌には種々あり、醪の表面に何も浮かんでいないときは坊主(ぼうず)、薄い皮が浮かんでいるときはチリメン泡あるいは薄皮(うすかわ)、米粒が厚く浮かんでいるときは厚蓋(あつぶた)、飯蓋(めしぶた)などという。

水押し

みずおし

酒母、醪を移動するとき、あるいは清酒を移動したり濾過するとき、最後に水を送り込む操作をいう。ポンプや濾過機内の残部を水で洗い出すために行う。

水切り

みずきり

浸漬タンクの水を排出して白米の浸漬を終えることをいう。また、水切り後米置きまでの時間を水切り時間という。

水麹

みずこうじ

酒母や醪の仕込み1~2時間前に仕込水などに麹を加えて混ぜる操作をいう。酒母では水に麹を混ぜ、また、醪の初添では酒母に水と麹を混ぜ、仲添と留添ではそれぞれ前段の物料に水と麹を混ぜる。

水の加工

みずのかこう

醸造用水に有効成分が不足している場合、それを補って水質を改良することを水の加工という。加工の目的は、麹の酵素作用や酵母の生育と発行を促進・調節することなどであるが、加工に使用する薬品は、酒税法基本通達に規定されているものに限られる。

水の浄化

みずのじょうか

水の浄化法には、井戸替え(いどがえ)、気曝法(きばくほう)、砂濾過法、濾過・吸着法、凝集法、イオン交換樹脂法などがある。

水槽

みずぶね

醪を圧搾濾過して、清酒と清酒粕に分離する操作をいい。あげふねともいう。最近は自動醪圧搾機が普及しているが、昔は酒袋(さかぶくろ)に醪をつめて、槽(ふね)の中にならべて搾った。その操作は次のようである。まず、醪を酒袋(5~9リットル入り)につめ、槽(ふね)の中に並べて積む。この間に、最初に出てくる白く濁った清酒を荒走り(あらばしり)という。槽が袋でいっぱいになると、槽の上にカサ枠を乗せて、さらに酒袋を積む。積み終わってから3時間くらいは、自らの重さできれいな酒が自然に出てくる。この間を水槽(みずぶね)という。積み上げた酒袋の高さが低くなってくると、カサ枠を取り除き、押蓋(おしぶた)と枕木をのせて圧搾を始める。これを押槽(おしぶね)という。翌日、酒袋を積み替えて(袋直し、槽直し)再び圧搾する(責槽(せめぶね))。責槽から出る酒を責め(せめ)といい、また荒走り後責め(せめ)より前に出る酒を中垂れ(なかだれ)という。

水四段

みずよだん

醪の留仕込み後に、醪に添加する水のこと。水四段ともいう。

密閉発酵

みっぺいはっこう

清酒のように外気に接したままの状態で行う発酵を開放発酵という。これに対して、酒精醪の用に完全密閉タンクで発酵させる方法を密閉発酵という。

未納税移出

みのうぜいいしゅつ

酒税法第28条には、酒類を移出するとき、特別な場合には酒税を課税しないことが定められている。これを未納税移出という。

実米

みまい

掛米のこと。味米とも書く。

宮水

みやみず

西宮の水と呼ばれていたものが、略されて宮水になったといわれている。古くから良質な酒造用水として有名である。

みりん

みりん

焼酎に米麹と蒸した糯米(もちまい)を混ぜ密封して数ヶ月間置き、その間に糯米を糖化させてこした酒類。主に調味料に用いられる。

無機化合物

むきかごうぶつ

水、食塩、水酸化ナトリウム、塩酸などのように炭素を含まない化合物をいう。ただし、炭酸ガス、炭酸カルシウムなどは炭素を含むけれども、従来の習慣から、通常は無機化合物として扱う。

無機成分

むきせいぶん

カリウム、カルシウム、鉄分など、焼くと灰分(かいぶん)として残るものをいう。

無効精米歩合

むこうせいまいぶあい

真精米歩合から、見掛け精米歩合を引いた値をいう。

蒸米吸水率

むしまいきゅうすいりつ

次式によって求める。蒸米吸水率(%)=((蒸米重量kg-白米重量g)/白米重量kg)×100

蒸米四段

むしまいよだん

甑から取り出した蒸米をそのまま熱い状態で、あるいは荒息(あらいき)を抜いた状態で、直接に醪に投入する四段仕込をいう。現在はほとんど行われていない。

無洗米浸漬

むせんまいしんせき

SSやBODの最も高い洗米排水をなくして公害対策費を節約する目的で、精米後の白米を研米機に掛けて糖分をみがき取ってから、洗米をしないでそのまま浸漬する方法をいう。

飯蓋

めしぶた

泡なし酵母を除いて、普通の酵母の場合には、糖化と発酵が進むにつれて泡の状態がいろいろに変化する。留め仕込後2~3日経つと、醪の表面に数本の泡の筋が現れる。これを筋泡(すじあわ)という。さらに1~2日経つと、白くて軽い泡が前面に広がる。これを水泡(みずあわ)という。水泡をすぎると、泡は次第に高くなって岩のような形になってくる。これを岩泡(いわあわ)という。岩泡からさらに泡が高くなった状態を高泡(たかあわ)という。高泡が次第に低くなる時期を落泡(おちあわ)という。泡が落ちるとシャボン玉のような泡が残り、これを玉泡(たまあわ)という。玉泡が消えて醪の表面が現れた状態を地(じ)という。地の状貌には種々あり、醪の表面に何も浮かんでいないときは坊主(ぼうず)、薄い皮が浮かんでいるときはチリメン泡あるいは薄皮(うすかわ)、米粒が厚く浮かんでいるときは厚蓋(あつぶた)、飯蓋(めしぶた)などという。

メタカリ

めたかり

メタ亜硫酸カリウム(略称メリカリ)のこと。食品衛生法ではこの名称が用いられている。酸化防止剤で、黒粕の予防などに使用される。清酒に使用した場合には表示の必要がある。

メチレンブルー染色法

めちれんぶるーせんしょくほう

酵母の死滅細胞がメチレンブルーによって青く染まることを利用した酵母の検査法。顕微鏡下で酵母細胞のメチレンブルー染色率を求め、酵母の死滅率の指標とする。

メンブランフィルター型濾過機

めんぶらんふぃるたーがたろかき

微孔性薄膜等を濾材とした濾過機で、2次濾過(仕上げ濾過)に使用する。ミリポアフィルター、メンブランフィルター、ユミクロン、ミクロフィルターなどは膜フィルターの商品名である。

餅麹

もちこうじ

「へいきく」とも読む。バラ麹に対して、中国のきょく子のように麦などの生の穀粉を水で練り固めた形の麹をいう。

糯米

もちまい

餅や赤飯に用いる米で、糯米の澱粉はアミロペクチンのみからなる。蒸米四段に用いられ、これを糯(米)四段という。

もと

もと

酒母のこと。

もと卸し

もとおろし

酒母を初添の水麹に使用するため、添の仕込容器に移すことをいう。いわゆる酒母の使用時にあたる。

もと分け

もとわけ

酒母中に酵母が十分に増殖した頃になると、アルコール分が8~10%となり、酸量も多くなるので、そのまま高温に置くと酵母の衰弱・死滅を招くことになる。そこで品温を下げるために、半切桶数枚に分けることをいう。しかし最近では、酒母タンクのまま冷温器などで温度を下げる方法が一般的であり、この場合、丸冷まし(まるざまし)という。

もみ上げ温度

もみあげおんど

床もみ操作が終了したときの温度。

桃色濁り酒

ももいろにごりざけ

清酒醪の仕込に赤色酵母を用いて造った濁り酒をいう。赤色酵母がつくる色素は体内に蓄積し醪液に溶出されないため、酵母菌体を含むことによって桃色を呈する。

もやし

もやし

種(たね)もやしという清酒麹の製麹では、麹菌の繁殖は胞子の発芽から出発する。その胞子を供給する役割を果たすのが種麹である。種(たね)もやしともいう。

もやし香

もやしか

製麹で、仲仕事ころに発生する青臭い香りをいい、オハグロ臭ともいう。

盛り

もり

製麹で、床もみ後20時間ほど経過すると麹の増殖が盛んになり、これ以後このままの状態で置くと品温が上昇しすぎるため、麹蓋あるいは麹箱に分配して温度管理をしやすくすることをいう。

モル濃度

もるのうど

分子量にグラム単位をつけて表した量を1グラム分子といい、溶液1リットル中に溶質1グラム分子(モル)を含む濃度を1モルという。

モレキュラーシービング・カーボン

もれきゅらーしーびんぐ・かーぼん

分子篩活性炭。ビン香、老ね香などの脱臭に効果がある。MC炭はこの種の活性炭で、商品名である。

諸白

もろはく

麹米、掛米とも白米で造った酒をいう。今日の清酒の原形といわれ、この名称は「多聞院日記」(1576年5月14日の条)に初めて出てくる。

もろみ

一般的には、酒類になる前段階のものをいう。酒税法の定義によると、醪とは酒類の原料に発酵させる手段を講じたもので、こすか蒸留する前のものをいい、こしたり蒸留しない酒類の場合は主発酵が終わる前のものをいう。清酒醸造の場合には、酒母に水、麹、蒸米を3回に分けて仕込んだもので、糖化と発酵を進めて清酒の母体となるものをいう。

醪1kリットル当たり欠減量

もろみ1きろりっとるあたりけつげんりょう

上槽前後の欠減量を把握するための歩合。醪1kリットル当たり欠減量=((上槽前醪(リットル)-清酒(リットル)-製成粕容量換算数量(リットル))/上槽前醪(リットル))×100

醪熟成歩合

もろみじゅくせいぶあい

上槽前の醪において、原料白米100kgが何リットルになったかを表す歩合。醪熟成歩合(%)=(上槽前醪リットル数-汲水リットル数-添加アルコール・調味アルコールリットル数-原料清酒リットル数-原料粕換算リットル数)÷白米kg×100ただし、原料粕換算リットル数=粕kg数÷1.1

醪垂れ歩合

もろみたれぶあい

原料として使用した清酒などを差し引いて、醪100リットルから得られた清酒のリットル数を表す歩合。醪垂れ歩合(%)=((清酒リットル数-原料清酒リットル数)/(上槽前醪リットル数-原料清酒リットル数))×100

醪の状貌

もろみのじょうぼう

泡なし酵母を除いて、普通の酵母の場合には、糖化と発酵が進むにつれて泡の状態がいろいろに変化する。留め仕込後2~3日経つと、醪の表面に数本の泡の筋が現れる。これを筋泡(すじあわ)という。さらに1~2日経つと、白くて軽い泡が前面に広がる。これを水泡(みずあわ)という。水泡をすぎると、泡は次第に高くなって岩のような形になってくる。これを岩泡(いわあわ)という。岩泡からさらに泡が高くなった状態を高泡(たかあわ)という。高泡が次第に低くなる時期を落泡(おちあわ)という。泡が落ちるとシャボン玉のような泡が残り、これを玉泡(たまあわ)という。玉泡が消えて醪の表面が現れた状態を地(じ)という。地の状貌には種々あり、醪の表面に何も浮かんでいないときは坊主(ぼうず)、薄い皮が浮かんでいるときはチリメン泡あるいは薄皮(うすかわ)、米粒が厚く浮かんでいるときは厚蓋(あつぶた)、飯蓋(めしぶた)などという。

醪歩合

もろみぶあい

白米100kg当たり醪数量が何リットルになるかを表す歩合。醪歩合(%)=(醪リットル数/白米kg数)×100

ヤシガラ炭

やしがらたん

椰子の殻を原料にして作った粒状炭をいう。

野生酵母

やせいこうぼ

原料、容器などから自然に入り込んでくる、培養酵母以外の酵母。

山卸し

やまおろし

生もとの育成工程において、櫂(かい)でもとの物料を摺りつぶす操作をいう。

山卸し廃止もと(山廃)

やまおろしはいしもと(やまはい)

山卸しを廃止した生もと系酒母。

融解点

ゆうかいてん

固体が液体に変ることを融解といい、融解の始まる温度を融解点という。

有機化合物

ゆうきかごうぶつ

炭素を含む化合物を有機化合物という。

有機酸

ゆうきさん

カルボキシル基(-COOH)をもつ酸で、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸などがある。

溶液

ようえき

ある物質が液体の中に均一に溶けているとき、これを溶液という。このとき溶けている方を溶質、溶かしている方を溶媒という。

溶解実績

ようかいじっせき

ブドウ糖などの三倍増醸用副原料を水に溶かした時の容積の増加量(1kg当たりml)をいう。

溶質

ようしつ

ある物質が液体の中に均一に溶けているとき、これを溶液という。このとき溶けている方を溶質、溶かしている方を溶媒という。

容積重

ようせきじゅう

ブラウエル穀粒計という装置で測りとった容積1リットルの玄米の重さをいう。この値が大きいほど、玄米の調整がよく内容が充実している。

溶媒

ようばい

ある物質が液体の中に均一に溶けているとき、これを溶液という。このとき溶けている方を溶質、溶かしている方を溶媒という。

容量パーセント

ようりょうぱーせんと

容量パーセントは、溶液100mlに溶質が何ml含まれているかを表す。たとえば、清酒のあるコール%は、100mlの清酒中に純粋アルコールが何ml含まれているかを表す。また、清酒のエキス分は、重量・容量パーセントで示されるが、これは清酒100ml中に含まれているエキス分の重量(g数)を意味している。また、精米歩合は重量パーセントで示すが、これは100gの玄米からできた白米の重量(g数)を意味している。

横型精米機

よこがたせいまいき

精米歩合90~92%の飯米レベルの精米では、果皮、種皮、胚芽を取り除くために、強い圧力をかけて米同士の摩擦が生じるように、ロールの回転軸が横方向に取り付けられている横型精米機を用いる。

四段仕込み

よだんしこみ

三段に仕込んだ醪の終期に、甘味をつけるために、蒸米や酒母などを投入することをいう。四段仕込みの方法にはいろいろある。四段掛けともいう。

弱い水

よわいみず

醪で発酵が緩慢な水をいう。カリウム、マグネシウム、リン酸等の発酵を助成する成分の少ない水がこれにあたる。

老酒

らおちゅう

黄酒(ほあんちゅう)(中国の醸造酒)で2年以上貯蔵したものをいう。

ラム

らむ

甘蔗汁や糖蜜を発酵させて蒸留する蒸留酒。

リキュール類

りきゅーるるい

酒税法によると、酒類と糖類その他の物品(酒類を含む)を原料とした酒類で、エキス分2度以上のものをいう。清酒を原料としてリキュール類を製造しようとする場合には、税務署長の承認が必要である。

リパーゼ

りぱーぜ

脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する酵素。

硫化臭

りゅうかしゅう

酒母の湧付き休み時や醪の高泡時に、ときおり、卵の腐ったような臭いがすることがある。これは硫化水素の臭いであって、次第に消失するから心配する必要はない。

粒状炭

りゅうじょうたん

仕込用水や割水(わりみず)用水の精製、および清酒の脱色、香味の調整、着色防止、火落防止のために使用される。活性炭ともいう。原料によって植物炭、動物炭、石油系炭素などに分けられるが、清酒で使われるのは主に植物炭である。また賦活法によって、水蒸気賦活炭、塩化亜鉛賦活炭の区別があるが、清酒では両方とも使用されている。また、形状によって粉末炭と粒状炭の区別がある。

留点温度計

りゅうてんおんどけい

水銀温度計の一種で、最高温度を示す。製麹や醪などの検温に広く用いられる。

リンゴ酸

りんごさん

清酒中にコハク酸、乳酸に次いで多く含まれる有機酸で、爽やかな酸味を呈する。増醸酒の酸味料として使用される。

冷温器

れいおんき

酒母や醪を冷却するために、内部に氷を詰めて使用するアルミニウムあるいはステンレス製の長円筒容器。

冷香

れいか

ツワリ香のこと

戻入酒

れいにゅうしゅ

いったん課税移出された後に、製造場に返された酒をいう。

冷用酒

れいようしゅ

冷蔵庫等で冷やして飲用するのに向いている清酒。吟醸酒、生酒、生貯蔵酒などがある。

連続蒸米器

れんぞくむしまいき

蒸気層の中を通るベルトコンベア方式によって、米を連続的に移動させて蒸す横型式と、円筒の上部から連続的に米を入れ、下部から蒸気を吹き込んで蒸す竪型式がある。

労働安全衛生法

ろうどうあんぜんえいせいほう

この法律は、労働基準法と相まって、労働災害の防止に関する総合的計画的な対策を推進することによって、労働者の安全と健康の確保と快適な作業環境の形成を目的としている。

労働基準法

ろうどうきじゅんほう

この法律は、雇入、解雇、賃金、労働時間、安全衛生、災害補償などの労働関係について規制している。

濾過助剤

ろかじょざい

濾過の際に、濾材の目詰まりを防ぎ、また微粒子を捕捉するために、濾材の表面にコーティングする物質をいう。珪藻土、パルプ繊維などがある。

ロゼワイン

ろぜわいん

黒系ブドウを用い、赤ワインと同様に、果皮、種子も一緒に仕込み、目標とする色調になった時点でこれらを除きさらに発酵させたワイン。このほか、黒系ブドウと白系ブドウを混ぜて使う製法や赤ワインと白ワインを調合する製法がある。色調は橙色から橙赤色、ピンク色と多様である。

YAS培地

わいえいえすばいち

麹、酒母、醪、製成酒の生酸菌による汚染検査に用いる。ヤス培地ともいう。

和釜

わがま

在来の三州釜(「甑」項の図参照)で、清酒製造場では主に蒸気発生装置として用いられる。鉄製、アルミニウム製、ステンレス製がある。

湧突き

わきつき

酒母の育成過程で膨れ後、酵母の増殖・発酵がより盛んとなって炭酸ガスを放出し、酒母の表面が泡面となった状態をいう。

湧付き休み

わきつきやすみ

酒母は湧付き後、発酵熱によって自力で品温が上昇するため、加温操作を必要としなくなる。これを湧付き休みといい、この期間には最高温度をとることが多い。

割水

わりみず

原酒に水を加えて市販酒規格のアルコール分におとすことをいう。加水と同じ意義である。

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