「GI佐賀」は2021年6月14日に指定を受けました。
佐賀県は九州の北西部に位置し、北側は玄界灘、南側は有明海という二つの海に面しています。北東部から中央部にかけては、標高1,000メートル程度の背振山や天山などが連なる背振山地があり、その間に断層運動の繰り返しによって形成された丘陵地帯を挟んで、南西部に位置する標高996メートルの多良岳にかけて高地が連なっています。
背振山地の南側から有明海にかけては、山地から流れ出る筑後川や嘉瀬川など多くの河川が運ぶ土砂の堆積によって形成された、広大な佐賀平野が広がっています。
この地域で生産される良質で潤沢な米は、丘陵地帯の断層沿いの谷に整備された唐津往還や長崎街道などの交通路を利用して、佐賀県内の各地へと輸送されてきました。また、背振山地や多良岳などから湧き出る豊富な伏流水も県内各地で活用されており、古くから酒造りに適した環境が整っていたといえます。
佐賀の清酒は、総じて米のふくよかな旨味をしっかりと残し、口当たりはまろやかで、口の中全体に米特有の甘味が広がる芳醇な酒質を有しています。
なかでも、吟醸酒・純米酒・本醸造酒といった特定名称酒は、ゆっくりと喉から鼻へと抜けていく香りの余韻が、芳醇な香味と調和し、米本来の甘味が広がった後に確かな旨味を感じさせる「芳醇旨口(ほうじゅんうまくち)」の酒となっています。このような佐賀の清酒は、料理とともに楽しむ食中酒として、比較的味の濃い料理と非常によく調和します。