変わらない味を作っていくことが大切だと思っています。
地元の人にとって、
焼酎とはどのような存在なのでしょうか。
焼酎は人の心をリラックスさせてくれるお酒だと思っています。九州では焼酎を飲むことを「だれやめ」という方言で表すことがあるんです。疲れを治すとか、癒やすという意味です。宮崎も農業が盛んなエリアなんですけど、日常の疲れを癒やしたり、仲間と分かち合ってのんびり飲むような、宮崎の温暖な気候とも重なるようなすごくお優しいお酒なんだと思います。宮崎には「てげてげでいい」という表現もあって、「ほどほどでいい」みたいなニュアンスです。同じ言葉でも「あんたてげてげやね」って言うと「あんたいい加減だね」なんですけど、頑張ってる人に「てげてげでいいんじゃない?」って言うと「もうそのぐらいでいいよ、無理しなくていいよ」という、どっちにも使える言葉なんです。中庸というか、おおらかな雰囲気が宮崎にはあると思います。
そうした風土の中で、焼酎の伝統を
次世代へ繋いでいく責任をどう捉えていますか。
いわゆる伝統的な産業なので、同じことを続けるというだけでも難しいことですけど、飲む人の感覚も情報もどんどん日々更新されていくので、ある意味では「常に変わり続けることで変わらない味を作っていく」ことが大切だと思っています。
自分の父もいろんな挑戦をするタイプだったので、その姿勢は受け継いでいると感じます。俺だったらこうしよう、自分たちならこれができるね、みたいなことを常に考えてやっています。今の時代、伝統的な産業というと、人によっては堅苦しくてつまらない、ただただ衰退していくようなものに思われるかもしれませんが、僕はそうは思わないです。
黒木さん自身、仕事を「自由」に
楽しんでいるように見えます。
考え方が変わってから、すごく楽になったと思います。人を羨んだり、ダメな理由を探すことが一番無駄で、憧れることよりも自分にしかできないことを探して挑戦し続けることの方が楽で楽しいと気づいたんです。自分の場合は家業として焼酎造りがあって、これは他の人にはなかなかできない、自分にしかできないこと。それに可能性を感じたのであれば、もう迷わず進もうと思ったんです。
お酒で豊かな社会に貢献したい。
黒木さんにとって、酒造りの源泉、
やりがいはどこにあるのでしょうか。
シンプルに「この間飲んだあれ美味しかったよ」とか「味変わったね、よくなったね」と言われるのが、いまだにめちゃくちゃ嬉しいです。「わかってくれましたか!」みたいな。でもプロである以上、マイナスの意見もしっかり聞くような姿勢でいないとさらなる成長がないとも思っているので、どんなことを言われても嬉しいです。他にも魅力的な焼酎、お酒はあるので、「合わなかっただけだな」というメンタリティーでいます(笑)。
最後に、お酒と向き合う皆様へ
メッセージをお願いします。
蔵の理念を考えた時、「人を結ぶ、心を解く」としたんです。お酒の豊かな香りが人の心をリラックスさせ、その解かれた心で、人と人の心が結ばれる。人と土地、人と文化もそう。そのつながりの中にお酒があることで、豊かな社会に貢献できたらいいなと思っています。