日本酒は世界中でどんどん大きな存在になっています。
アメリカ人として日本の伝統的な酒造りに
携わる中で感じる責任、
そしてやりがい・誇りについて教えてください。
私の立場には、仕事以上の責任があります。日本酒文化と英語圏の世界をつなぐ架け橋になれると感じたのも、この道を志した理由の一つです。英語で日本酒を分かりやすく説明し、知識を広め、世界に伝えていく。それが私の感じている責任です。
誇りについて言えば、一番は人が飲んで「おいしい」と言ってくれる瞬間です。自分の魂を込め、膨大な労力をかけたものを飲んで喜んでもらえた時、それが最高の瞬間です。
また、新藤さんと働けることも誇りです。私を受け入れてくれた最初の人物であり、多くのことを教えてくれました。本来は日本文化に深く根ざし、外国人にはなかなか開かれていない長い伝統の「一部」になれたことを誇りに思います。日本の方でもこうした経験ができる人は稀でしょうから、その一人になれたことをとても光栄に思います。
モリスさんにとって日本酒造りとは一言で言う
となんですか。
一言で表すのは難しいですが、私にとって酒造りは「家族」を意味しています。ここに来ると、家族のもとに帰ってきたような気持ちになります。仕事をしている時は、毎日家族に会っているような感覚なんです。
日本酒の未来は、
どのようなものになると思いますか。
未来は無限に広がっていると思います。日本酒は世界中でどんどん大きな存在になっています。これから必要なのは、人々へ知識を広めることだけです。知れば知るほど、もっと飲まれるようになります。
この25年で日本酒を取り巻く環境は飛躍的に進化しましたし、この勢いが止まることはないでしょう。今やミシュラン三つ星のレストランなら、イタリアンでもフレンチでもメニューに日本酒があります。15年前には考えられなかったことです。飲む人が増え、関わる人が増えれば増えるほど、日本酒はさらに大きな存在になっていくはずです。
そんな時代が来ると信じています。
これから先、次の世代の造り手や飲み手に
受け継がれてほしい日本酒造りの価値とは、
どのようなものだと思われますか。
次の世代には、日本酒を日本の外へさらに広げてほしい。世界中のどんなレストランにも、日本酒がメニューにあるべきです。日本酒は何にでも合います。寿司だけじゃありません。ピザ、ハンバーガー、ステーキ、パスタ、フレンチ。「今日はパスタだから、日本酒にしよう」、そう思ってもらいたいんです。次の世代が日本酒を全く新しいレベルに引き上げ、可能性を広げていく姿を見たいですね。
最初の一口を飲んだ時に、「本当においしい」「思っていたのと全然違う」「奥行きがあってエレガントだ」と感じてほしい。ワインやウイスキーと同じで、普段飲まなくても、良い日本酒は誰が飲んでも良いものだと分かるはずです。
最後に、日本の若者に
メッセージをお願いします。
日本酒は、日本文化にとってとても重要な飲み物だと思っています。時には悪いイメージを持たれることもありますが、実際に味わってみれば、好きにならずにはいられないはずです。本当に素晴らしい飲み物で、語り尽くせません。
料理との相性も抜群で、何にでも合わせられます。ワインより酸味が少ないところも気に入っていますし、飲みやすくて飽きない。そして様々な温度帯で楽しめます。少しの温度の変化で味わいが大きく変わる、その多様性が、日本酒をこれほど楽しいものにしている理由だと思います。