減圧蒸留&熟成効果 クセを個性に変えたふたつの発見
原料別に見ると本格焼酎の半分強を占めているのが麦焼酎です。麦から蒸留酒を造るというのは、欧米とも通じるところがあるので、世界標準と言えるかもしれません。麦焼酎自体の歴史は古く、江戸時代の壱岐島が発祥の地という説もあります。
実は、かつての麦焼酎はあまり一般的なものではありませんでした。麦固有の特徴が焼酎にも強くでるので、クセの強いお酒だったのです。現在では、このクセの強いお酒を二つの方法で飲みやすいお酒に変えています。
ひとつは減圧蒸留法です。米焼酎でも多く使われていますが、蒸留器内の圧力を下げることで、熱を加えずに蒸留が発生しフルーティーでマイルドなお酒に仕上がるのです。現在の麦焼酎の大多数がこの方式で造られています。
もうひとつは貯蔵です。麦焼酎は熟成効果が明確に出て、最初のクセがよい個性へと変貌していくのです。最近では、年間を通じて温度変化の少ないトンネル貯蔵(JRの廃線跡を利用するものが多い)や超音波熟成(酒に超音波を聞かせると熟成が早まる)なども行われています。
減圧ものと常圧ものをブレンドしたり、長期熟成酒を加えるなど、たくさん売られているために競争も厳しく、毎年酒質が磨き上げられているようです。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 9/2掲載)
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