オールそば焼酎登場 技術進歩が生む本格焼酎の活力
本格焼酎には「いも」「麦」などと原料名が表示されていますが、ラベルをよく見ると、「いも、米こうじ」「麦、米こうじ」など、ほとんどの場合には米こうじも使われています。麹の使用比率はおよそ1/3〜1/4程度ですが、「○と米」の焼酎というのが正確かもしれません。
一部には、「麦 麦こうじ」「いも いもこうじ」など麹も主原料と同じもので造っているものもありますが、主要原料の中で、そばだけはオールそばという焼酎はありませんでした。そばの種皮は硬く、麹にするために蒸すと粘着性が現れるので、麹菌の育成が困難だったからです。
ところが、新しい技術によってこの問題が解決されたようで、オールそば(そば、そばこうじ)の焼酎「十割」が発売されました。当面は製造数量が少ないということもあり、そば屋さんなどの飲食店中心に販売するようですが、オールそば焼酎のそば湯割りなんて、焼酎フリークとしては見逃せません。
本格焼酎の面白さのひとつに、長い歴史を持つ伝統産業として技能や精神を伝承する一方で、技術開発によって新製品が生まれてくることがあります。製造者同士が切磋琢磨して研究開発を進めることで、より個性的で、飲みやすい商品が生まれてくるというのは、見ていても楽しいものです。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 8/26掲載)
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