米焼酎造りをはじめる清酒蔵元も急増中。
本格焼酎の面白さのひとつは、地域毎に使用される原料が違うところにもあります。一番多く造られている麦焼酎こそほぼ全国で製造されていますが、他の原料の場合には風土性、歴史などいろいろな要素からその原料が選ばれてきたからです。
米焼酎の代表的な産地と言えば、WTOでも原産地名称指定を受けている球磨焼酎を擁する熊本県です。製造量から見れば熊本県が中心であることには今も変わりはありませんが、最近の本格焼酎ブームを受けて、少量ながら新しく米焼酎造りに取り組みはじめたメーカーがかなり増えてきました。
正体は清酒の蔵元です。もともと清酒と本格焼酎はどちらも日本を代表する民族の酒であり、米麹を使い、もろみを作るなど共通する部分も多いです。ただ、使用する麹菌の種類が、清酒は黄麹、焼酎は白麹・黒麹と異なるので、目に見えず空気中を漂う微生物相手の仕事なので、清酒蔵では混じらないようにするために大層気を使うそうです。
米焼酎の特徴は華やかな香りと米特有の濃厚な味わいにあります。特に伝統的な常圧蒸留のタイプのもので、熟成を重ねたときの濃醇でまろやかな味わいは他に例えようがありません。清酒の蔵元には、清酒造りの技術を生かした新境地を開いてくれることを期待したいものです。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 8/19掲載)
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