原酒は足りるか?いも焼酎造りは一朝一夕でならず。
今一番ホットな商品であるいも焼酎。いよいよ今年の仕込みがお盆明けからはじまります。今年のさつまいもの生育状況は好天に恵まれて豊作のようなので、仕込み量は昨年より20%程度増えると言われています。今年のいもの新酒が出回るのが11月頃です。年末には順次熟成を終えて商品化されるので、お正月頃にはようやくおいしく飲めるようになることでしょう。
ただ、あまり知られていませんが、多くのいも焼酎の場合には一年以上熟成させた原酒を仕上げの段階で一定の割合ブレンドしています。昨年は春先から焼酎人気が沸騰しましたが、こんなにブームが長続きすると思わなかったメーカーでは、今年用の原酒貯蔵量を増やすまでの余裕はなかったかもしれません。
このあたりの事情はウイスキーと似ていて、仕込みから商品にするまでのリードタイムが非常に長いのです。ビールやチューハイと違って短期間ではなかなか増産できません。
カメ仕込み・カメ貯蔵の焼酎が珍重されているのは、味に深みが増すということもありますが、伝統的なカメ自体が現在では貴重になっていることや、大きなタンクで貯蔵するよりもはるかにコストがかかるということも理由のひとつになっています。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 8/12掲載)
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