いまや本格焼酎の過半数を占め、さまざまなタイプが作られている
原料別に本格焼酎を見ると麦焼酎が過半数を占めている。県別には大分県が圧倒的なシェアを持つがその歴史は案外新しい。三和酒類・二階堂酒造の二大メーカーが、現在の主力商品を開発したのはほんの30年ほど前だ。しかし、それからの発展は著しく今では、本格焼酎というと多くの人が麦焼酎を思い浮かべる。
このことと先週書いた減圧蒸留の開発は密接に関わっている。従来の常圧蒸留による麦焼酎は、麦の香りや臭いがかなり強く出て個性は明確なものの、通好みとでもいうものであったのだ。これが減圧蒸留を採用することで、大麦の香りのよい特徴のみを残した現代風のすっきりとしたものとなり一般にも受けるようになったのだ。
また、麦焼酎と一口に言っても、伝統的には米麹を使っていたが(ラベルの表示は「麦・米麹」)、最近では麦麹を使うものが多くなっている。先に書いた大分県では多くがこのオール麦タイプの焼酎である。さらに泡盛と同じように全量麹にして仕込む方式(この場合には「麦麹」という表示のみ)の高級な焼酎も商品化されている。最近人気の出ている長期貯蔵タイプの焼酎にも麦焼酎が多い。ライトなものからヘビーなものまで麦焼酎にもいろいろなタイプがあるのだ。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 7/25掲載)
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