仕込みは、さつまいもの収穫期の秋に集中!
いも焼酎は、本格焼酎全体の約20%で麦に次ぐボリュームを誇る。このいも焼酎の産地は鹿児島県と宮崎県南部、つまり旧島津藩領内にほぼ限定されていると言ってよい。なぜならば、ここが日本有数のさつまいもの産地だからである。鹿児島県では、さつまいもの全生産量の13%程が焼酎の原料になっていると言われている。
さて、ここ2〜3年全国的にいも焼酎ブームがおきている。特に今年の人気は沸騰状態とも言え、前年よりも15%以上増加するペースで出荷されているので、既に品切れに近い商品や割り当て出荷になっているものも多いようだ。20年ほど前までは、製造されたいも焼酎のほとんどが地元で飲まれていたことを考えると隔世の感がある。
いも焼酎の特徴は、甘藷特有の甘く柔らかい香りにある。飲み方もお湯割りなどにして、ワインよりも低いアルコール度数にして香りを楽しみながら飲むのが一般的なようだ。
もうひとつの特徴が、原料産地と焼酎工場が近いということ。さつまいもは、穀類と異なり水分を多く含み劣化しやすい。採れたものはすぐに酒に仕込まないとよいものができない。従って、酒の仕込みはいもの収穫期である秋に集中して行われる。このあたりの関係は、ワインと葡萄の関係にも似ているのである。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 8/1掲載)
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