伝統製法の基本を守りつつ技術革新にも柔軟に対応
先日酒好きの仲間と飲みに行き酒談義に花が咲いたのですが、案外本格焼酎の造り方は知っていないようでした。
本格焼酎は、大きくわけると「もろみ取焼酎」「粕取り焼酎」に分けられ、現在の主流はもろみ取り焼酎です。粕取り焼酎については、改めてご紹介するとして、本日は前者を簡単に説明します。
まず米麹に水と酵母を加えて発酵させて酒母というものを造ります。そこに主原料(米、麦、さつまいも、そば等)を加えてさらに発酵させてもろみを造ります。このときに原料の糖化と発酵が並行して進んでいくのも特徴のひとつで、発酵を終えたもろみは単式蒸留機で一回だけ蒸留されて、後は酒質に応じて必要な熟成期間を経て完成となります。もろみを造るところまでは、清酒造りとよく似ています。
蒸留までの段階でも、新しい味わいや香りを求めるために、主原料の選択や加工法はもちろんのこと、麹菌や酵母の種類、麦麹の使用、水質、仕込み桶の材質や仕込み方法、低温発酵法(いわゆる吟醸仕込み)、減圧蒸留法など様々な技法が生まれてきているのです。
昔に比べて最近の焼酎は飲みやすくなったということをよく聞きますが、伝統的な製法の基本を守りながら、焼酎造りの技術は日夜進化しているからなのです。
酒文化研究所 代表取締役 狩野卓也 (日刊ゲンダイ 6/13掲載)
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