「焼酎」の文字が初めて登場したのは16世紀中期、桶狭間の戦いの頃
本格焼酎を造る蒸留という技術がいつどこで発明されたかご存じでしょうか。
場所は古代メソポタミアつまり現在のイラク周辺で、時期的には5千年以上も前のことです。
当初は、香水やスパイスの抽出などのために利用されていたようですが、それでも酒に利用されはじめてからすでに3千年ほど経っています。最古の記録が残っているのはインドやエチオピアになります。
ここから東南アジアや中国・タイ・琉球・朝鮮などを経てようやく日本にも蒸留技術が到達するわけです。経路上にはその後禁酒を旨とするイスラム教国になった地域もありますが、タイの「ラオ・ロン」、南アジアの「アラック」、中国の「白酒(パイチュウ)」、琉球の「泡盛」など各地に伝統的な蒸留酒が残されています。
日本の歴史に焼酎という文字がはじめて登場するのは、桶狭間の戦いの前年になる1559年。
大口市の郡山八幡神社の落書になります。従って、14世紀には西日本に焼酎造りが行われていたようです。
江戸時代になると本州では清酒の粕取焼酎、九州では米や麦など穀類から直接作るモロミ取焼酎が自家用中心に作られるようになりますが、現在のように産業としての焼酎造りが盛んになるのは19世紀末からになります。
酒文化研究所 代表取締役狩野卓也(日刊ゲンダイ5/16掲載)
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