日本酒造組合中央会ホームページ
花こよみ
年賀状
 2002/12/12 発行 no.46 
ほろ酔い年賀状

そろそろ年賀状を準備する時期になりました。最近は連絡をとることが少なくなった旧友やお世話になった方など、日頃不精している人間関係を手入れする時ですね。年初にいただいた賀状をひっぱりだして懐かしい気分にひたってしまったり、この方にはもう出さないと一度は決めておきながら気がとがめて思い直したりと、自分をさらけ出すような心持ちにさせられる時でもあります。

書き進めるうちに、「あ〜、こいつには去年も『近いうちに飲みましょう』って書いたっけな」と思い出して苦笑いすることもしばしば。新年の挨拶にもかかわらず仕事の話を持ち出してしまって、もう少し気の利いたことが書けないのかと反省することもよくあります。印刷や写真だけの味気ない年賀状は出すまいと、一筆添えるようにしてはいるものの、小気味いい年賀状を書くのはなかなかに難しいものです。

ただ、年賀状を書き終えた日のお酒はいつもより絶対においしい。ご縁のあった多くの人との関係に手入れを終えた安心感と、久しぶりに自分と向かい合った高揚感が残っていて、気持ちに心地いい疲労感があるからでしょう。

この日のお酒は日本酒に限ります。ひと口でなごみ、ほっこりするからです。口当たりが果実のように冷たいワインや、さわやかすぎるビールやチューハイではありません。和酒器でゆっくりといただく日本酒こそがぴったりです。

年賀状を書き終えたあとの日本酒。ぜひ、おためしあれ。


イラスト
Illustration/福田トシオ

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