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| 2002/12/5 発行 no.45 |
酒を楽しむマナー
先月、NHK教育テレビの人間講座で「住まいから家族をみる」という番組が放送されました。芥川賞作家の藤原智美さんが、住宅の変遷から家族像の移り変わりを浮かび上がらせるという内容です。
講座の第三回目で「食」にスポットがあてられました。藤原さんは、住宅は人間の動物的な行為を隠すように変化してきたと言います。ベルサイユ宮殿にトイレがない話は有名ですが、これは当時、排泄が隠されていなかったことを示しています。近代は住宅にトイレや寝室をつくることで、排泄や性といった動物的な行為を隠すように動いてきたというわけです。ところが、同じく動物的な行為である「食」は開放に向かいました。それは、「食」が元来、共同性をもつものであるからです。その代わりにマナーを発達させたと論じます。
酒も食と同様の文脈で考えることができるでしょう。そして、酒は人を酔わせるものだけに、より微妙なマナーを発達させてきました。酔わなければいけないが、不快にさせるほど乱れてはいけない。こんな二律背反の微妙なマナーです。
さて、いよいよ今年も押し詰まってきました。忘年会やクリスマスパーティなどお酒を飲む機会が多くなります。マナーよく酔うコツは、おいしい料理と日本酒をゆっくりといただくことです。
酒を注ぎ足さないことと、一口飲んだら食べるか会話をしてひと呼吸おくこと、意識して水を飲むことを心がけて日本酒を楽しんでください。
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Illustration/福田トシオ
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