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| 2002/11/21 発行 no.43 |
ノンオイルで楽しむ
最近、食育という言葉をよく耳にします。読み書きや計算能力、絵画や音楽と同じように食に関する教育が必要だという主張です。
背景には、食文化の激変があります。食品加工や農業の技術が発達し、世界中の食材や料理がどんどん工業化してきました。便利になった一方で、旬がわかりにくくなったり、多収穫な品種や高価で取引きされる品種に食材の栽培が集中し、伝統的な品種が消えてしまったりしています。消費する側では、栄養素の偏りや不規則な生活から「味がわからない」味覚障害が増えたり、濃厚で単純な味の料理に嗜好が偏ったりするなどの問題が生じています。
フランスでは1990年から10月第3週は「味覚の週間」とされました。この時には、一流のシェフたちが小学校に出向いて、味覚を磨くことと食事を楽しくとることを啓蒙していると聞きます。
日本の食における伝統的な味わいは、脂やスパイスに頼らず発酵調味料の旨みで味付けするというものです。脂を使うと何でも食べやすくなりますが、微妙な味がわかりにくくなります。長い間、日本人が育んできたノンオイルの食の文化が、今、急速に痩せてきているのです。
日本酒は、伝統的な日本の食とともに歩んできました。マイルドで繊細な味わいをもって、料理にマッチするように洗練を重ねてきました。今週は、ノンオイルの料理を日本酒でゆっくり味わってみてはいかがでしょうか。
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素材の味をひとつひとつ感じながら、晩秋の夜長を過ごしてみましょう。
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Illustration/福田トシオ
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