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| 2002/10/31 発行 no.40 |
日本のスローフード
「私たちの伝統的な食を大事にしていこう。あくせくしないで豊かに生きよう」。最近、しばしば話題にのぼるスローフード運動の基本理念を、私はこんなふうに解釈しています。この運動はおよそ10年前にイタリアで生まれました。効率と量販ばかりの食の現状に疑問を感じた人々が、ファストフードの対極という意味で名づけました。なんとも郷土意識がきわめて強く、食いしん坊の国イタリアらしいですね。しかも、決してファストフードを頭ごなしに否定しないところがいい。ファストフードにも利点がたくさんあり、自分の生活を振り返ると、これがないと困ることがずいぶんあります。
毎年、秋にイタリアでスローフードの大きな体験会が開催されます。職人さんが精魂込めて作った生ハム、チーズ、パン、ワインとあらゆる伝統食が並ぶ祭典です。
なんと、今年はこのイベントに日本酒が登場しました。スローフード運動が世界に広がるなかで、日本の伝統食にもスポットが当てられたのです。日本の食の特徴は「うまみ」にあります。味噌、醤油、すし、納豆、日本酒など、伝統的な日本の食品は、発酵による旨味が軸となっています。甘味、辛味、苦味、酸味は海外の食でも早くから認知されていましたが、出汁に通じる旨味という概念は日本の食文化から導き出され、グローバルスタンダードになりつつあります。
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日本酒にもっともっと親しみましょう。欧米のスケールでは見えてこない味わいが、そこにあります。日本酒を知ることは、世界の食文化を広げることでもあるのです。
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Illustration/福田トシオ
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