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| 2002/10/17 発行 no.38 |
日本の心 月見酒
この夏、モンゴルまで馬乳酒を飲みに行きました。遊牧民のゲル(テント)にホームステイして、彼らが馬乳を発酵させてつくる酒を飲みまくるというツアーです。視界が360度広がる草原で、満天の星を観ながらの宴はとても贅沢な気分にさせてくれました。天の川がくっきりと見え、まさに星が降ってくるようでした。
5日間の滞在中、変わらぬ星空のなかで月だけが日々姿を変えていきました。宵とともに西の空に低くのぼった三日月は、毎日少しずつ太っていき、帰る頃には半月に近くなっていました。こんなに星空を眺めたのは生まれて初めてのことでしたが、夜空でただひとつ大きく表情を変える月を見ていると、月を愛でる文化が生まれたのがわかるような気がします。
さて、明日、10月18日は十三夜です。日本では9月下旬から10月はじめに訪れる十五夜よりも、秋が深まる十三夜の方が月をきれいに観ることができます。明日は月見酒を楽しんでみてはいかがでしょう。お月見らしくすすきを飾り、里芋の煮付けあたりを肴においしい日本酒を一杯。端正な磁器でキリッといただくか、手触りのやさしい陶器でほっこりいただくか、ちょっと迷いますね。月がくっきりシャープに見えたら磁器、ソフトに見えたら陶器としておきましょう。
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冬の雪見酒、春の花見酒とならぶ秋の月見酒。今シーズンは月見酒から始めて、ぜんぶ楽しんでみてはいかがでしょうか。他のお酒では味わえない贅沢な時間になると思います。
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Illustration/福田トシオ
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