丑年から寅年へ。だんだんと世の中の歩みが速まりそうな気分になる年明けだが、もっとゆっくり歩こうよ、そんなに急いだら足がもつれて転んじゃうよ、という声がどこかから聞こえてくる。
思えば酒の世界もせわしくなったものである。糖質○○パーセントカットという触れ込みの酒が出てくるかと思えば、アルコールを含まないビール風飲料というものがバカ売れだという。酒の糖質が気になるのであれば糖質ゼロの本格焼酎を飲めばいい。アルコールがいらなければお茶を飲めばいいし、酔いが気になるのであれば薄めて味の損なわれない酒を選べばいい。栄養を補給したければ料理に合う酒を飲めばいいだけではないか。甲乙混和焼酎という紛らわしい酒を飲むよりは、本格焼酎に自分の好みで甲類焼酎を混和すれば満足度も高まり納得もしようというもの。
本格焼酎の世界からみれば、虎視眈々と本格焼酎の世界を喰いちぎろうと狙うなんともおぞましく思える酒が続々と登場してきている。「おぞましい酒」も一文字変えれば「のぞましい酒」になる。今年の一年の計は、虎の皮を剥いで「のぞましい酒」の年にすることにしたい、と思っていたら、カミさんが今年の干支のぬいぐるみを作ったと持ってきた。
皮は虎柄だが、格好はどうみてもネズミにしか見えない。虎の皮をかぶったネズミを見て、威風堂々、恐れずにわが道を行くことの大切さを思ったが、カミさんの真意が、今年は「笑チュー」の年になるよという援護射撃にあるのか、それとも単なる出来損ないなのかは未だ確認していない。 |