食糧危機の救世主?さつまいも伝来から300年目の焼酎ブーム
品切れが続いていたいも焼酎も、今年収穫されたいもによる商品が出回りはじめ、比較的容易に買えるようになってきました。ところで、このさつまいもですが、本年が日本に伝来して300年目にあたります。
江戸中期の宝永2年(1705年)鹿児島県の南端、山川で漁師をしていた前田利右衛門が、琉球に渡り、現地で食べられていたいもを郷里へ持ち帰ったのがはじまりと言われています。琉球には中国から伝わったと言われており、鹿児島の人は唐いも(からいも)と現在でも呼んでいますが、日本各地では鹿児島から伝わったので薩摩いもと呼ぶのが普通になっています。
ところで、この宝永という年号には聞き覚えがありませんか。富士山が最後に大噴火したのが宝永4年で、今も残っている宝永火山はそのときにできたものです。江戸時代に何回か起きた大飢饉の原因のひとつが富士山や浅間山の噴火です。そして、そのような飢饉の際に荒れ地でも育成できるさつまいもは、緊急の食糧として日本中に広がったのです。
今年は台風、地震と日本全国で天災が相次ぎました。さつまいも伝来から300年という年に今度は焼酎に姿を代えてやはり日本全国で引っ張りだこになるというのも何かの縁かもしれません。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 11/25掲載)
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