味わい優先か定義が大事か、それが悩ましい
10月に入るとそろそろ「いも焼酎」の新酒が出荷されます。焼酎の新酒?といぶかる方もいるかもしれませんが、いも焼酎は、毎年夏から秋に収穫されたさつまいもを使って仕込みが行われるので、醸造時期が決まっているのです。
蒸留酒は熟成させた方がおいしくなるのが一般的で、新酒で飲むという習慣はありません。ただいも焼酎に限っては、毎年新酒が発売されるし、実際に新酒の方がうまいと古老から聞いたことがあります。
昔はろ過や精製技術が現在ほど進んでいなかったので、古くなると酒の中に溶けていた成分が凝固したり白濁したりして見栄えがよくなかったことも理由のひとつのようです。
昨年、同じブランドで新酒とレギュラー品を飲み比べましたが、新酒は香りが華やかで軽い味わい、レギュラー品は味が深くまろやかな感じとはっきりと違いがわかりました。
しかし、新酒とは言っても実は熟成させた原酒+新酒のブレンドでレギュラーは原酒+一定期間以上熟成させたお酒だという説もあります。蒸留直後の焼酎だけでは、おいしくないという意見もあり納得させられる話です。
味で新酒の特徴が出ていればよいのか、100%蒸留したての新酒にこだわるべきなのか、今後はそういった議論もされそうです。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 10/7掲載)
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