お燗は日本のオリジナル 秋になったら本格焼酎もお湯割りで
本格焼酎は産地毎に長い歴史を持つだけに、飲み方や酒器も独自の進化を遂げています。先週書いた鹿児島の「黒ぢょか」は、今ちょっとしたブームですが、同じような酒器は各地に残っています。
沖縄では以前は「酎家(チュウカア)」というものがありました。冬でも暖かい沖縄では酒を火にかける習慣がなかったので、耐火性がありません。しかも持ち手の部分がツルでできていたのでコスト面でも高くついたのか、現在では、「カラカラ」というとっくり様のものが中心になっています。これは鹿児島にも伝わり、お隣りの球磨焼酎の人吉盆地では、「ガラ」と呼ばれ炉端で燗をつけられるように、首が長くなっていきます。
このあたりの変化には、清酒圏との文化融合もみられて面白いです。本格焼酎は蒸留酒でありながら、古来から清酒と同じように燗をつける飲み方も一般的だったようです。このあたりは欧米や東南アジア各国の蒸留酒の飲み方にはまず見られません。
紹興酒を燗につけて砂糖を入れるという飲み方も日本人が考案したという説もあり、お酒を温めて飲むというのは日本の酒文化固有の特徴です。ロックや水割りで飲むのもよいですが、秋から冬にはお湯割りでも楽しみたいものです。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 9/16掲載)
<<
第23回
<
続 知ってる?本格焼酎のコトTOP
>
第25回
>>