清酒と共通する日本独自の酒造り技法〜並行複発酵の仕組みとは
古い文明を持つ地域は、オリジナルのお酒、それも醸造酒と蒸留酒をセットで持っていることが多いようです。たとえば、オリンピックが行われるギリシャには、松脂を加えたクラシックなワインのレッチーナやぶどうを蒸留してアニスフレーバーを加えたウゾがあります。
同じように日本では、清酒と本格焼酎が民族酒になりますが、このふたつには製造技術で共通していることが多いのが面白いです。
まずは発酵の初期段階で麹菌、それも米麹を使うことです。欧米ではイーストを使うことが多いですが、東南アジア、特に日本では多くの発酵食品に麹を使います。たとえば、醤油・味噌・酢・漬け物など日本の伝統食品はほとんどが麹を使います。
もうひとつ共通するのが、並行複発酵という仕組みです。これは原料の持つでんぷん質を糖分に変える発酵と、糖分をアルコールにする発酵を同時に行うことで、お酒のアルコール度数を高めていくという日本独特の酒造り技法なのです。
同じ焼酎の名前がついていても、明治以降に海外から導入された甲類焼酎の製法には、このような特徴はありません。連続蒸留で不純物を排除して純粋なものを求めるという志向には、一神教であるキリスト教文明の影響を感じると言ったら言い過ぎでしょうか。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 7/8掲載)
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