昔ながらの常圧蒸留の焼酎が人気
いも焼酎の人気は相変わらず衰えを見せず、知り合いの酒販店に聞くと昨年までは取り扱っていたものでも、入荷見込みのたたない銘柄もあるようです。そういう状況が一番困るのは、メニューに載せている飲食店です。 中には定番の焼酎を麦焼酎や米焼酎に移すという動きも出ているように聞きます。
ただ、ここで見直されているのが常圧蒸留のお酒なのです。現在出回っている麦・米焼酎の主流は、減圧蒸留という方式を採用していてスッキリとした味わいのタイプのものです。これに対して昔ながらの常圧蒸留のものは、いも焼酎に負けないほど香りや味わいに特徴があります。
かつては、その個性が強すぎて地元以外ではあまり受け入れられなかったのですが、最近では焼酎の香りに慣れた飲み手が増えてきたためか、より特徴の強いものでも平気で飲まれるようになってきました。とは言っても、昔のものよりは雑味は少なく洗練されて飲みやすくなっています。常圧蒸留の焼酎は熟成することで味がまろやかになってくるので、貯蔵年数も長くなっているのかもしれません。
蒸し暑い一日を過ごした後には、オンザロックで一杯やりたい気分になります。そういうときには麦や米の熟成焼酎や泡盛の古酒が最高です。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 5/27掲載)
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