ブームの底流には“太らない酒”のイメージが
本格焼酎が健康酒として人気が高まった理由の科学的な裏付けとして、血液サラサラ効果について書いてみたが、ふと疑問が浮かんできた。表面的には昨年のテレビ報道以来の大ブームだし、このことを原因にあげている人も多い。しかし酒を飲むときにそんな小難しいことを気にするだろうか。普通の人が健康問題で一番気にしているのは肥満に関することだ。3年前に弊社で実施した酒と健康に関する調査でもこれをあげた人が一番多かった。たぶん今でも変わらないだろう。
血液サラサラ効果が殆ど知られていない1999年に実施した調査でも本格焼酎を飲み始めた理由には、「知人に勧められて」と並んで「健康的だから」というものが多かった。太りにくいという意味でも本格焼酎は注目されてきていたのである。焼酎は蒸留酒なので糖分などアルコール以外のカロリーは殆ど含まれていない。このアルコール由来のカロリーは俗にエンプティカロリーと言われるように、糖分由来のものよりも、体内で燃焼するのが早く脂肪となり蓄積されることが少ない。
その頃は首都圏以北では麦焼酎一辺倒であり、麦飯の持つ健康的なイメージも脳内で融合して、「酔い覚め爽やか」→「太りにくい」で麦焼酎から本格焼酎ブームの底流が形成されていったのではないかと思う。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 4/22掲載)
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