いも焼酎人気の沸騰で、いまや品薄状態!
30年以上前は九州の本格焼酎と言えば、多くの人はいも焼酎のことを思い浮かべたことであろう。実際に当時は本格焼酎の大半をいも焼酎が占めていた。しかし、マイルドな麦焼酎が全国で人気を博し過半数を占めるようになり、現在の主流は麦焼酎になっている。ところが昨年から急にいも焼酎人気に火がつき、現在では多くの銘柄が品薄状態になっているという。
焼酎は蔵で造る工業製品なのだから、人気が出れば増産すればよいと簡単に考えるかもしれないがそうもいかないのだ。いも焼酎はさつまいもから造るが、さつまいもは年に一回しか収穫されない。
しかも穀類など他の焼酎の原料と異なり、水分を多く含んでいるので品質劣化が早い。だから収穫されたさつまいもは、速やかに焼酎の蔵元に運びお酒へと仕込まなければならない。蒸留酒ではあるがぶどうから造るワインのように製造時期が限定されるのだ。増産するには、いもの収穫量と仕込み設備の増設というふたつの課題を解決しなければならない。急に人気が出ても増産しにくいという構造的な問題を抱えているのだ。
3月には九州新幹線の鹿児島中央〜新八代間が開業することになる。南九州のお土産としてあまり人気が出ると、ますます私たちの飲む分が足りなくなるのではないかと冷や冷やしている昨今である。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 2/5掲載)
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