近藤勇と本格焼酎の不思議な縁とは
NHKの大河ドラマで「新選組!」が始まった。しかし、まさかここに本格焼酎が関わってくるとは夢にも思わなかった。
SMAPの香取慎吾が演じる近藤勇は、戊申戦争で転戦しながら最後は捕らえられて、東京の板橋で処刑される。さらにその首は京都に運ばれ三条河原にさらされるのだが、このときに生首を保存するために焼酎に漬けて運ばれたのだ。戦国時代では塩漬けにすることが多かったが、これでは腐敗はしなくても水分がすべて吸い出されてしまうので、ミイラのようになったことだろう。近藤の首は生きているときに近い状態であり、河原にさらされてもしばらくは腐敗することもなく、京都の人々を恐れさせたらしい。
さて、このときに使われたのは何焼酎であるかということが、TV番組で出題された。この時期に九州では「いも」「麦」「米」などによる焼酎は造られていた。しかし、遠く離れた江戸で飲用以外にも使えるほどふんだんに出回るとは想像しにくい。
正解は酒粕焼酎だと考えられる。別名早苗饗(さなぶり)焼酎とも呼ばれ田植え後に豊作を祈願して各地で作られていたからだ。近藤勇が処刑されたのは旧暦4月25日。農民から武士に転じた近藤勇の首が死後に農民の祭の酒に浸されたというのも不思議な縁である。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 1/15掲載)
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