四国山地の特産。甘い香りとまろやかな口当たりが特徴
本格焼酎の主原料は、今までに取りあげた麦、米、いも、そば、酒粕、黒糖などの他にも、もち米、じゃがいも、胡麻、人参などいろいろなものがあるが、今日はその中でも最近人気が出てきた栗焼酎をご紹介したい。
栗焼酎がはじめて造られたのは昭和50年代半ば。製造元は媛囃子(ひめばやし)という小さいながら四国で唯一の焼酎専業蔵の開発によるものだ。同社のある愛媛県東宇和郡城川町というところは四国山地の山深いところで、地元の特産品である栗を使って町起こし的に試作品を作ったことから始まったようだ。
仕込みは栗の収穫に合わせるので、9月から11月頃までと、今まさにたけなわを迎えている。同社の場合は伝統的に麦麹を使い、殻のままで蒸した栗を割って中身だけを仕込みに使っている。ふかふかの栗はさつまいもと似たような感じらしい。他にも、米麹を使ったものや3年以上熟成した栗焼酎も発売されており、量は少ないが味わいの幅は広い。
愛媛県だけでなく、高知、徳島をはじめ四国一円で造られている栗焼酎は、最近では、四国以外に宮崎や兵庫でも造る酒蔵が出始めている。甘い香りとまろやかな口当たりが特徴の栗焼酎。まだ飲んだことのない焼酎ファンには早速お奨めしたい一杯である。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 10/3掲載)
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