"最長寿の島"奄美諸島で作られるサトウキビ原料の酒
奄美諸島が戦後しばらくの間米軍施政下に置かれていたということもそろそろ歴史の彼方になりつつある。日本に復帰したのが昭和28年で、今年は奄美復帰50周年にあたり、各所でシンポジウムなども開催されることであろう。
奄美諸島というと長寿の島という印象を持っている人が多いのではないか。日本最長寿記録を持つ故・泉重千代さん、現存する世界最高齢の本郷かまとさん(115)共に徳之島の出身だ。しかもどちらも奄美諸島の特産品黒糖焼酎を愛飲している。そのあたりから、黒糖焼酎は長寿者の酒という印象も強いのである。
黒糖焼酎の原材料は黒糖、つまりサトウキビであるが、日本国内でサトウキビを原料に焼酎を作れるのは奄美諸島に限られる。世界中を見渡せば黒糖を使った酒と言えばラム酒が有名であり、日本の酒税法でもサトウキビを原料にして作った蒸留酒はラム酒とされ焼酎ではなくスピリッツになるのだ。今は焼酎もスピリッツも酒税額はほぼ同一であるが、かつては大きな乖離があった。奄美諸島が日本に返還された際にこのことが大きな問題になったのである。
この問題を解決していく中で今日のまろやかにして香り高い黒糖焼酎が生まれるのだがそのあたりの事情は来週のお楽しみということで。
酒文化研究所 狩野卓也(日刊ゲンダイ 9/19掲載)
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