泡盛の黒麹菌を持ち帰った河内源一郎によって焼酎の近代化がスタート
最初に米麹を造るということは清酒も本格焼酎も同じです。しかし清酒に使われているのが黄麹なのに対して、本格焼酎では、時代と共に黄麹(清酒麹)、黒麹、白麹と変化してきました。最初は黄麹でしたが、温度が高い九州では雑菌も繁殖しやすく麹造りは非常に困難でした。明治後半に河内源一郎が沖縄から泡盛の黒麹菌を持ち帰り、焼酎の近代化が始まります。
麹菌の種類と特徴
麹の種類
黄麹
黒麹
白麹
清酒用の麹
泡盛用麹
黒麹の突然変異
特徴
酸が少ないので温暖な
地には不向き
野性的で辛口の酒に
仕上がる
甘口でソフトな酒に
仕上がる
黒麹は、発酵中に酸を多く作るので、雑菌を抑え、南九州の風土にマッチします。こうして、大正年間には九州も泡盛と同様に黒麹が主流になります。しかしこの黒麹を使うと、従来の焼酎とは風味が変わり、野性味ある辛口のものが多かったようです。大正一二年のある日、河内は黒麹の培養中に突然変異でできた白い麹を発見します。こちらを試すと、黒麹よりも口当たりがソフトで甘い焼酎に仕上がりました。こうして焼酎に使う麹は、明治から昭和にかけて、黄→黒→白と大きく変化していくのです。
最近では、個性的な味わいを求めて黒麹を使った焼酎も増えています。これは往年の黒麹の復活ではなく、河内の婿にあたる山元正明が戦後新たに育種したものです。より美味しいを求めて、焼酎造りのチャレンジは続いています。
(株)酒文化研究所 代表取締役 狩野卓也(日刊ゲンダイ 6/27掲載)
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