γ-GTP(グルタミルトランスペプチターゼ)の値は、アルコール摂取により特異的に高くなります。γ-GTPが高いということは、アルコールに対して肝臓が警告を発しているということですが、だからといって、それが即肝障害を意味するものではありません。肝臓がアルコールのメインの代謝臓器であることから、アルコール=肝障害という認識がありますが、それは大きな間違いで、日本人の場合、欧米人と比べてアルコール性肝炎や肝硬変といったアルコールだけが原因の肝障害は少ないのです。それよりは、γ-GTPを手がかりに、アルコールに一番敏感な肝臓をチェックすることと、これは人それぞれによって違いますが、胃とか腸とか膵臓とか、その人のお酒に対して一番弱い臓器、いわばアキレス腱に障害がないかどうかを発見するキッカケにしてほしいと思います。それらの臓器は、肝臓のγ-GTPのように簡単には症状を表わしません。お酒が好きなら、定期健診は必ず受けましょう。

回答者:上野幸久さん
1921年、神奈川県出身 医学博士
川崎中央病院名誉院長・顧問 アルコール健康医学協会理事
日本アルコール・薬物依存医学会評議員
日本消化器学会、日本肝臓学会指導医