長寿の時代を迎えて、これからの医療は、病気を直すことより病気にならないようにすることが大切です。そのためにはなによりも健康が一番ですが、そこにストレスが関係してきます。そのストレスの解消にお酒が大きな効果を現わすことが広く知られてきました。私の調査でも長寿の人はほとんどがお酒を飲んでいます。適量の飲酒でストレスを解消し、イヤなことはその日のうちに忘れてしまう、これが長寿の秘訣なんです。と同時に、お酒を飲むことで、交感神経が刺激を受けて行動的になり、何かをしようという意欲をかき立ててくれます。これが明日へのエネルギーにつながるわけで、そのヤル気を起こさせてくれるという点も多いに賞賛したいものです。また、適量の飲酒は善玉のコレステロールを増やし、動脈硬化を防いでくれます。老化の本体は動脈硬化ですから、それを防ぐということは、結局長寿につながります。豊かな老後をおくるためにこそ、おいしいお酒が必要だと思います。

回答者:関谷政雄さん
1932年、東京都出身 医学博士
関谷クリニック院長
老人病研究所臨床部門長
老人病学会・人間ドック学会会員