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| 2003/3/27 発行 no.61 |
豪華な花見
お花見の季節が今年もやってきました。桜前線が北上してきます。といってもジワジワという感じではありません。海流や地形の影響もあるのでしょう、大阪よりも東京で早く咲いたり、思わぬところでポンと咲いたりします。開花した桜百選をぜんぶ見てやろうという豪胆な知人は、この時期、全国を縦横無人に飛び回ります。現地に電話をかけ、咲いていると確認できれば即出発。そこから別の桜に直行することも多々あると言います。東日本をほとんど制覇した彼女は、死ぬまでに西日本もとやる気満々です。
花見は元禄以降に大衆化しました。一張羅を着て、酒と料理を張り込んで出かけたのです。数年前に伝承料理研究家の奥村彪生さんが、当時の豪華な四段重の花見弁当を再現したという新聞記事が手元にあります。
口取りの一の重にはカステラたまご、あわびの蒲鉾、ひじきの煮物など。二段の重は桜鯛の押し寿司、梅干の甘煮など酸味のあるものばかり。奥村さんは「弁当は3cmほどの一口サイズに切ること。酢の物は味が移るので煮物のそばには置かないこと」をアドバイスしています。三の重は千切りにした独活(うど)をツマとしたお刺身。ここまではすべて酒の肴。お酒は日本酒。屋外だからヒヤだったでしょう。もし、酒燗器を携行できれば、それはそれはうれしい一杯となりそうです。
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最後の重には和菓子が入り、これとは別に焼きおにぎりという献立。こんな贅沢な花見ならぜひご一緒したいものですね。
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Illustration/福田トシオ
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