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| 2002/10/3 発行 no.36 |
好みの日本酒と出会う
衣替えを迎え少しずつ秋めいてきた今日この頃。いよいよ日本酒が最高においしい季節の到来です。日本酒は楽しく、おいしくいただけばそれで十分なのですが、自分の好みの味を見つけると、楽しさがどんどん増していきます。そこで、今回はそのテクニックをお話したいと思います。といってもあくまで私の自己流ですが。
きき酒の専門家は、底に濃紺の二重丸が描かれた白地の猪口(きき猪口)を使って酒を鑑定します。白と濃紺の凛としたコントラストの上から酒を眺めると、微妙な色合いがよくわかります。そして、立ちのぼる香りを確かめ、少量の酒を口に含んで舌全体にいきわたらせ、五味をくまなく味わいます。含んだ酒の香りを、今度は鼻から抜いて確かめ、最後に飲み込んだあとの余韻とキレを見ます。
私たちフツーの飲み手は、「鑑定」ではなく「鑑賞」しましょう。曇りのなく透きとおる日本酒らしい黄色みがかった色あいは美しいものです。香りは、華やかなものや穏やかなもの、果物や花のようなタイプやお米や麹のふくよかなタイプなど、さまざまです。あなたはどんな香りがお好きですか? 舌触りは、滑らかに舌を包むように広がるタイプと、シャープに舌の上にのってくるタイプのどちらがお好みですか? 日本酒は、ほかのお酒に比べると甘く感じます。甘辛よりも旨みやほのかな酸味に意識を集中すると、好みの味が見えてきます。
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鑑賞眼を上達させるポイントは複数の日本酒を飲み比べることです。いつも2種類の日本酒を用意してみてください。きっと、「私はこのタイプが好きなんだ」と見えてくるはずです。
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Illustration/福田トシオ
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