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| 2002/8/15 発行 no.29 |
酒を注ぎあい親交を深める
酒を注ぎあうことには人々の絆を深めたり確かめたりする意味があります。酒の注ぎあいを無理強いととらえて嫌ってしまうのはあまりにさびしい。俺の酒が飲めないのかといわんばかりのやりとりはまったくナンセンスで排除すべきですが、もてなしや親交の気持ちから酒を勧めあうことは大切なことです。
今日の日本では自由に酒が飲めます。以前は経済的な事情や社会的な制約などから、酒を飲むことにはさまざまな制限がありました。だからこそ誰とどのように酒を飲むかということの意味が重要さを増しています。飲食をともにすることは、仲間であること、少なくとも敵ではないことを共感する行為です。仲直りに「いっしょに飯でも食おうや」と言ったり、初めて会う人が大勢集う催しでレセプションパーティが開かれることを思い浮かべてください。
また、日本では杯のやりとりに特別な意味をこめてきました。三々九度の杯、別れの杯、親分子分の杯など、人生の節目節目に杯が登場します。滋賀県の昭和30年ごろ結婚された方から、「新婚初夜に夫婦で酌み交わす杯があって、俺もかみさんと交わしたよ」とお聞きしたこともあります。
お盆は久しぶりに家族がそろい、懐かしい友人と再会する機会です。いかがでしょう、今年は意識的にお酒を注ぎあってみませんか。日本酒をいちど徳利やカラフェに移して、小さ目の酒器で飲んでみましょう。
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大切な人たちとの絆をしっかり確かめる幸せを実感してください。
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Illustration/福田トシオ
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