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| 2002/6/20 発行 no.21 |
時間とともに変わる日本酒の味わい
紫陽花(あじさい)が見頃を迎えています。梅雨時に咲くためでしょうか、紫陽花には「水」のイメージがあります。雨をはじいて艶を増した花、朝露に濡れた葉、しっとりとやわらかな地面。紫陽花を眺めると片手に傘を持っているような感じがすることさえあります。
この花は開いてから色が変化していきます。それで七変化とか八仙花ともいわれ、また植えられた土壌によっても花の色が違ってくるそうです。
この時とともに味わいが変わるという点は日本酒にも通じるものです。
こんど一升瓶の日本酒を買ってみてください。何日かに分けて飲んでみて、味わいの変化を確認してみましょう。まず、封を切って最初に飲んだ味わいを記憶します。印象を言葉にします。「フレッシュで甘い香り。軽いけれど味がしっかりある」などです。そして、翌日、翌々日と飲み比べていきます。
いかがですか。日ごとに少しずつ味わいが変わっていくことを実感していただけたと思います。開栓してお酒が空気に触れると、味わいが徐々に落ち着いていくのです。
一日で飲みきってしまうお酒でも味の変化を試すことができます。冷酒や燗酒をゆっくり飲んでみてください。口に運ぶたびに酒の温度が室温に近づき、味がどんどん変わっていくはずです。お酒の味は温度によって大きく変わるのです。
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週末は紫陽花を眺めつつ、ゆっくりと日本酒を味わってみましょう。徐々に変わっていく微妙な味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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Illustration/福田トシオ
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