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| 2002/5/30 発行 no.18 |
田圃へ行こう!!
今頃の田圃はとっておきの瑞々しい若い緑を楽しませてくれます。
田植え直後、稲は水のなかにちょろちょろと顔を出しているだけ。夜には田圃の水面に街路灯や月の光が青々と映ります。それがひと月もすると一面が若々しい黄緑色の葉で被い尽くされます。今がまさにその時。人間でいえば高校生の頃でしょうか。あと数週間すれば力強い青年になるのですが、未熟なカラダから発散されるありあまる生気が、風とともに波打つ美しさはたとえようがありません。
私は、この時期だけの強い光のなかで、流れる雲の影が稲に映る光景が特に好きです。これを目にすると決まってラベルの「ボレロ」が頭の中に流れ始めます。気持ちは静かになっていき、一方で「根拠のない意欲」がふつふつと涌いてきて、淡々と生きていけるような気分にさせられます。
ご存知のとおり日本酒は米の酒です。美しい田圃で生まれ育った米を、伝統の技と最先端のバイオテクノロジーによって醸したものです。日本酒をおいしくいただく方法のひとつは、お気に入りの稲の風景をもつことかも知れません。今、手にした一杯の酒がどこで、どのように育ち、どんな人と出会って来たのか。そこに思いを馳せることができれば、日本酒のおいしさは格段に増していきます。
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田舎に出かけてください。田圃や稲と自分をシンクロさせてみましょう。ふだん都会で暮らす者は、かなり贅沢な気分に浸ることができるはずです。
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Illustration/福田トシオ
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