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本格焼酎と泡盛
春秋謳歌 -南からの焼酎便り-
   
- 第23回 -
第23回 宇宙焼酎
 とても南国とは思えない一面の銀世界で今年は幕を開けた。降り積もった雪をどんぶりで掬い、焼酎を垂らして雪見酒で年の始まりを祝った。暑い夏のお湯割りもいいが、しんしんと降り積もる中での雪割りロックもなかなかのものである。凛とした冷たさと、口中で雪の粒がカリカリと音をたてる感覚が新鮮で、新たな年の始まりの祝杯にふさわしく思えた。さて、この白い世界から真っ先に芽吹くのはどの酒になるのだろう。

 雪の下に埋もれた世界に思いを馳せるのはやめよう。それよりもこの白い世界の上に広がる広大な宇宙を自在に飛び回ることを夢見よう。昨年、閉塞感に包まれた世相に、たとえひとときといえども、風穴を開け明るい光を差し込んでくれたのが宇宙探査機の「はやぶさ」であり「あかつき」だった。数々の危機を乗り越え7年にわたる長旅から帰還した「はやぶさ」に、逆境を乗り越える気概を貰い、金星の軌道に乗りそこねた「あかつき」に6年後のリベンジを期待しエールを送った。

スペースシャトルに夢を乗せて
スペースシャトルに夢を乗せて
 衛星は地球からの細い糸に操られながら広大な宇宙を疾走する。ときにわざとらしく交信を遮断し、見守る地球人を一喜一憂させる。なにやら焼酎つくりの微生物とそれを操る杜氏との関係によく似ている。広い宇宙と小さな酒の世界。小さな針の穴も目を近づければ広い世界が広がって見えてくる。小さな酒の世界も宇宙につながっているはず。そういえば「しょうちゅう」には「うちゅう」が含まれている。「焼酎」には「小宇宙」がある。せちがらい世情を離れて宇宙空間に飛び立ち、小さな地球のいざこざを笑い飛ばしてみたいものである。
 わが身を宇宙に飛ばせなければ、分身に宇宙旅行を体験してもらえばいい。分身にふさわしいのは、細い糸に操られているように見えながら、時に気ままに振舞う微生物たちがふさわしい。夢を託され帰還した微生物たちは、土産話を満載したロマン溢れる焼酎を造り出して、夢ある世界を広げてくれるだろう。
この夢を実現させようというプロジェクトが現在進行中である。
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