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関東平野は面積約15,000平方キロメートル、北西から南東へ走る関東山地、北は那須火山帯や阿武隈山地が囲み、丘陵が平野にゆるやかに向かい、そこに常陸、武蔵野、相模原といった台地が続き、その間を利根川・鬼怒川・那珂川・相模川・荒川・多摩川が横たわる、一面にただ平らな平野なのではなく、実は多彩な自然に彩られているのです。湧き水にも恵まれ、米どころでもあったことから、酒造りは古くから行われていて、300年、200年の歴史を誇る蔵元も点在しています。
この地で本格焼酎を造る酒造場は栃木県が8場、千葉・埼玉県が各7場、茨城県が6場、東京都が4場(伊豆諸島を除く)、神奈川・山梨県が各2場、群馬県が1場で合計37場あります(各都県酒造組合調べ)。田んぼに囲まれた道沿いにたたずむ蔵元、山並を背に清流と森林に囲まれた旧家の蔵元などその姿は多様です。
本格焼酎の主流は、酒造好適米使用の清酒の絞り粕を原料とした粕取り焼酎です。今でも釜を置き下からもうもうと蒸気をたてる旧式の木製蒸留器を使う蔵元も多く、醪の特長が反映されて、その味わいはとろりとしたまろやかな味わいから、最新の減圧蒸留器を用いて造られたスッキリした味わいのものまで様々です。「同じ粕取り焼酎でも蒸留方法だけでなく、貯蔵方法の違いでもまったく異なった味わいになります」と蔵元さん。貯蔵焼酎を飲んでみると、うわ〜こんなにというほど、差がくっきり感じられます。ワインの貯蔵後の樽に貯蔵する蔵もあり、大半の蔵元さんが樽や甕に貯蔵した自慢の貯蔵酒を出しています。
平成15年度の焼酎乙類の1人当たりの消費量(国税庁調べ)では、7都県の平均増加率は5年前比で約182%という驚きの伸び率(最高は茨城県の233,3%)。東京都は3,8Lの消費量と、愛知・岐阜・福井県以北、日本の北半分ではトップ。新しい旨さを受け入れることに柔軟でポジティブな、まさに本格焼酎&泡盛の北上前線の最大消費地区といえます。
こうしたなかで、中断していた粕取り焼酎造りを再開する蔵元も現れています。また、この地域で生産される農産物の種類の豊富さは全国有数。地産地消ということから群馬では特産の上州麦やこんにゃくを用いた焼酎も造られ、茨城でも特産の原料で本格焼酎を造ろうとする動きもあります。さらに各種原料の本格焼酎が“地産”され、本格焼酎多様化の一翼を担う地となっていくのではないでしょうか。 |
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