これに用いる器機には大きく分けて2つの型式があります。
1つは家電メーカー製のポット型酒燗器です。
基本機能は湯沸しポットと同じですが、加温限度が設定されていて、ポットの酒の温度が70℃までに加熱が終了するようになっていたり、希望の温度設定ができるようになったものなどがあります。
大抵は分離できるポットと、それに接する金属プレートを熱する部分を組み合わせています。直火燗に近い、やや辛い味の燗になることが多いようです。中には陶器のポットもあり日本の高度な焼き物技術が垣間見られます。
もう一方は、すし屋さんや居酒屋さんに設置されている、業務用酒燗器のスタイルです。
これにも様々な方式があって、一升びんが上部に逆向きに差し込まれている酒滴落下型とプール型(酒を上部の槽に貯める)に大別できます。いずれも重力によって下りてきた酒を加温部に通してから注ぎ口までポンプによってもう一度引き上げるものです。
加温部の構造には酒が通る螺旋状の蛇管を湯煎するタイプ、セラミックヒーターを通す急加熱型、ガラス管をヒーターで巻いたものなどがあります。いずれも、要する時間や分量の多少、連続して提供できるかどうか、終業後の残酒量に差があります。
利便性としては、酒を燗する専従者がいらない、省スペース、短時間でサービスが可能などと多いのですが、その反面、来店客個別の好み温度に対応できない、一品種以上の酒の銘柄への要望に対応できない、閉店時の酒燗器清掃(洗浄)に手間が掛かるなどのデメリットもあります。
続く