日本酒を燗につける方法には、12月号で紹介した方法のほか、次のようなつけ方もあります。
これは鍋などが二重構造となっていて、スノコ状や穴あきの底敷きの下に熱水を沸かす蒸し器や中華料理で食品をふかす「せいろ」などに酒を注いだ徳利や片口を入れ、蓋をして蒸す方法です。これにはメリットが多くありますが、
第一に非常の湿潤な湿気の中で加温することでお酒からは水分やアルコール香気成分などが逃げ難いこと。焦げ臭などが全くつかないことが挙げられます。
第二に比較的短時間に複数の徳利に均等に燗がつくこと。これにある程度の慣れができると、希望の設定温度のところで火を止めると保温状態にすることができるので、ご夫婦がゆっくりと杯をくみかわすなど、一手間で済ますことが可能です。また、酒器全体の殺菌消毒もできます。
これは通称「チン」と呼ばれる方法です。電子レンジの原理はマグネトロンという電波を発する装置から派を1秒間に25億8千万回の波動を起こすマイクロ波が発射されて、食品中の水分子が振動、摩擦されて発熱する現象を利用したものです。
ところがこのマイクロ波は物の「細い部分」に集中する特性があって、徳利の場合には首の部分が非常に熱くなり、底の部分は生ぬるい(首部分70℃以上、低部30℃以下)、などの不都合が生じます。ですから、もう一度別の徳利に移し換えて、お酒の温度を同じにするような作業が必要となります。
また、電子レンジは500W~600Wの家庭用が良く、コンビニエンスストアなどの弁当を温める1500Wクラスの業務用レンジでは過加熱(オーバーヒーティング)が起こり、酒が沸騰し、あふれてしまうような場合もあります。レンジによってはアルミフォイルを庫内に入れてもかまわないタイプもあるので(取扱いマニュアルを熟読のこと)、徳利にフォイルの帽子を被せるなどするとうまく行きます。
続く