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日本酒スタイリスト 木村 克己
日本酒・目からウロコの話 10月号

「日本酒でカクテルを造る・日本酒でなければならない理由」

-日本酒のカクテルを考える-

第6回では簡単にできる楽しい日本酒のカクテルをご紹介しました。(9月分参照)
サケイチゴー、サケサンショー、サクラサケーッ!などです。
実はこれらのカクテルは日本酒ならではの特性を活かした、日本酒でなければならない事由によって考案されています。日本酒はいうまでもなく、そのまま味わって、おいしく、味の要素のバランスが良く、スムーズな飲み口を持っています。しかしながら、季節によって、たまに気分をかえて、あるいは少し飲み残してしまった酒や冷蔵庫に眠っていたものを利用したいときにカクテルにするというのも一つのやり方、アイデアでしょう。
そこで日本酒がもともともっている特徴や要素を見なおして、理にかなった方法を考えてみたいと思います。

-日本酒のもつ特性-

まず現代の日本酒には、ほとんど色がなく、無色透明に近いといえます。あるとしても極めて淡い山吹色ぐらいでしょうか。
香りはほんのりとフルーティーなものから、お米や餅などのほか、心地良い穀物や木を想わせるものがありますが、突出した派手な香りはありません。つまり「カクテルのベースとして」から見ると扱い易い素材だ、ともいえます。

-日本酒のカクテルを造るコツ-

日本酒の特性と味の要素を生かすか、または補うことができる副材料と組み合わせることが、日本酒をベースにしたカクテルを理に叶って造るコツになります。先に挙げた良い素因の反面、日本酒には鮮やかな色彩、香ばしい焦げ香や燻煙などのスモーク香、柑橘類にある切り込むようなシャープな酸味、渋味、清涼なグリーンさをもたらすクロロフィルやミント様の香味をほとんどもっていないこともヒントになると思います。

-日本酒のカクテルの可能性-

そうすると、色々な日本酒をベースにしたカクテルの副材料やデコレーションがいくつか思い浮かぶでしょう。私としては例えば。

  1. サケイクラ?
    材料:イクラ20~30粒、冷やした純米酒、小さな木のスプーン
    これはイクラをほぐし、薄い塩水と酒で洗ってぬめりを取り、ついでに塩抜きして、純米酒を注ぎいれるという、おつまみ入りカクテルです。
  2. サムライロック、別名 剣酒(ツルギザケ)
    材料:ユズ、カボス、ライムなどの青い柑橘類の半切りかジュース少量
    冷やした生酒、本醸造酒、カリッとしたかち割りの氷、切れ味あざやかな飲み口です。
  3. ニンジャ
    材料:アマレット(イタリア産ビターアーモンド)リキュール香り付け程度、冷やした本醸造酒、
    アーモンドピックのオリーブ1ケ
    色はほとんど日本酒のままでありながら、飲み終わった後から杏仁(生アーモンド)のナッティーな香りが長く続きます。
  4. 燻りガッコのカクテル
    材料:木酢1滴、秋田の燻りガッコ(寒干し大根の漬物の燻製)サイコロ切り1~2片、本醸造酒
  5. カリカリ小梅のカクテル
    材料:梅酒香り付け程度、カリカリ小梅、冷やした生酒か本醸造酒
  6. 抹茶のリキュー(利休)酒
    材料:抹茶小サジ2~3、純米酒、茶せん
    ボウルの中で抹茶を純米酒で溶き、茶せんでよく混ぜ泡立てる
  7. 万太郎酒(マンタローザケ)
    材料:スペアミントの新鮮な葉2~3葉、ソーダ水、生酒など
    フランスのカフェなどでミントシロップを水やソーダ水で割ったものを「マント・ア・ロー(ミントの水)」と呼ぶドリンクがあります。それの日本酒バージョンですが、ミントはリキュールやシロップではなく、生のスペアミントを手の平でたたいて浮かべ、少量のソーダ水で清涼感を高めるといったものです。

などとひらめいてきました。

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