「月を愛でながら飲む、日本のお酒」 大谷焼(徳島県)
鳴門金時をたっぷりと使った、和風スイートポテトのような月見饅頭に、山廃純米酒を合わせてみました。山廃ならではの複雑なコクが、さつまいものほっくりとした甘さと呼応して、なんともふっくらとしたお酒の味わいが楽しめます。盃に口が触れたときに感じる、陶器のぬくもりが、秋の日本酒を一層おいしくしてくれます。
澄み切った夜空に、ぽっかりと浮かぶ月。やわらかな明かりが、すぐ近くにあるようで、遠い銀河の宇宙に、つかぬ間の旅をしているようです。古代の人々は、この自然の美しさ、神秘に、神の存在を信じ、畏怖の念をもってお酒を捧げたのでしょう。
今宵は、ひとつ、無限に広がる宇宙空間に思いを馳せて、じっくりと日本酒を飲んでみませんか。
文・コーディネート/手島麻記子photo/亀谷進
今回のPick up―田村純子(たむら じゅんこ)―
田村純子(たむら じゅんこ)
- 徳島県鳴門市、大麻町大谷生まれ
- 1998年
- 女子美術大学 芸術学部卒業
- 日本新工芸展 日本新工芸奨励賞受賞(2回)
- 読売テレビ放送賞受賞(2回)
- 徳島県展特選 徳島県教育長賞受賞
- 日展入選(5回)
手にした瞬間のぬくもりを大切に、土・作り・焼どの過程にも心抜くことなく制作しています。
今回の酒器は、大谷の土を吟味し、燻焼で焼成しました。
使い込むほどに器に味が出て、落ち着いた色合いになってきます。