「浴衣で一献、夏の夕涼み」 三川内焼(長崎県)
少し大ぶりな酒器に氷をひとつ、そこへ充分に冷やしたフレッシュで飲み応えのある、本醸造酒のしぼりたて生原酒を注ぎます。卵の殻のように薄い繊細な磁器の地肌から、ひんやりとした冷気を掌に感じながら飲む一杯。
噛むほどに深くなる、焼あごの滋味深い味わいと共に、日本の夏に乾杯です。
猛暑のなか、汗を流して働いた一日の終わりには、ひんやりと冷たい冷酒はいかがですか。ちょっと早めに帰宅して、シャワーを浴びてさっぱりとしたら、浴衣に着替えて、夕涼みの一献の準備にとりかかりましょう。
夏の空が、ゆっくりと暮れていく様子を見ながら、盃を傾ける時間は、夏の日本酒の、最高に贅沢な味わい方のひとつです。
文・コーディネート/手島麻記子photo/亀谷進
今回のPick up―藤本江里子(ふじもと えりこ)―
藤本江里子(ふじもと えりこ)
- 長崎県佐世保市三川内生まれ
- 1998年
- 三川内陶磁器作品展入賞
- 2000年
- ながさき陶磁展入賞
- 2003年
- 天皇献上品絵付製作
- 2007年
- スウェーデン国王王妃献上品絵付制作
- 2008年
- 長崎空港エントランス「陶壁画」製作
「夫・藤本岳英が100年ぶりに再現した「卵殻手<らんかくで>」(極薄手磁器)の器に、夏らしい波千鳥の模様を伝統的な染付けで描きました。
この波千鳥の模様は、江戸時代の絵手本(藩主からの注文デザイン書)を再現したものです。」